『アサシン クリード4』リメイクは、「完全新作級」の作り直しだった。オリジナル版のコードは使えず、“15スタジオ”動員でほぼ全部再構築

『アサシン クリード ブラック フラッグ RE:シンクロ』の開発においてオリジナル版のコードはまったく使えず、実質的にすべて再構築する必要があったという。

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Ubisoftは7月9日、『アサシン クリード ブラック フラッグ RE:シンクロ』を発売した。『アサシン クリード4 ブラック フラッグ』のリメイク版となる本作ながら、開発においてオリジナル版のコードはまったく使えず、実質的にすべて再構築する必要があったという。

『アサシン クリード ブラック フラッグ RE:シンクロ』は、2013年発売のアクション・アドベンチャーゲーム『アサシン クリード4 ブラック フラッグ』(以下、アサシン クリード4)のリメイク版だ。舞台となるのは、海賊の黄金時代と呼ばれた18世紀のカリブ海。プレイヤーは海賊でありアサシンとしての能力も身につけている主人公エドワード・ケンウェイとなって冒険を繰り広げる。

リメイク版となる本作では最新のAnvilエンジンが採用され、各種ゲームシステムが改善。戦闘や海戦、ステルスやパルクールなど主要な各要素に手が加えられており、より現代的なゲームプレイとなっている。またレイトレーシングやDolby Atmosといった技術に対応するなど、グラフィックや音響もパワーアップ。さらに黒髭やスティード・ボネットに焦点を当てた新ストーリーコンテンツなども追加された。発売後まもなく高い人気を博しており、販売本数は発売から1週間で300万本を突破していることが報告されている。

そんな本作のゲームディレクターを務めたRichard Knight氏に向けて、人気ゲーム系YouTuberのJorRaptor氏がインタビューを実施。開発におけるさまざまな裏話や、ニューゲーム+の実装予定について語られた。そしてRichard氏によると、『アサシン クリード ブラック フラッグ RE:シンクロ』の開発は端的に言って“完全新作ゲーム”を作るようなものだったという。

というのも本作では『アサシン クリード4』オリジナル版のコードは使えず、グラフィックだけを新しくすればいいというわけでもなかったという。オリジナル版のゲームエンジンにも最新版Anvilの前身となるAnvilNextが用いられていたものの、コードベースも技術も現在とは完全に異なっているそうだ。10年以上の歳月を経て技術も刷新されているわけだろう。

そのため開発においてオリジナル版のコードはあくまで「参考資料」として、どのように動作したり、仕組みがどう機能していたりしていたのかを確認するために用いられていたとのこと。3Dモデルについても、オリジナル版のアセットは新たなモデリングのための仮素材として使われる程度だったという。

たとえば『アサシン クリード シャドウズ』のような新作の機能であれば、各プロジェクトから集約された共有リポジトリから取り込んで利用できるコードもあるそうだ。とはいえオリジナル版ほど技術基盤が大きく異なる作品になるとそうはいかないとみられ、実質的な作り直しが必要になったとのこと。ときには優先順位付けも必要となり、あらゆるものをオリジナル版から完全再現できたわけではなかったという。

とはいえRichard氏によれば、いちから作り直すことで変更できる余地が生まれるメリットもあるとのこと。たとえば戦闘において、オリジナル版では敵を高所から蹴落とす際に用いられてた“蹴り”が、今作では敵を周囲のオブジェクトにぶつけるためにも使用できるアクションとなっている。オリジナル版に忠実にしつつも、「主人公エドワードならどうするか」「当時のキャラクターディレクターならどうするか」といったルールのもとで、何度も試行錯誤しながら現代的に改修された部分もあるという。

2013年発売の『アサシン クリード4』ながら、技術的には“ほぼ作り直し”になっていたというRichard氏の発言。類似の事例として、2009年に発売された『デモンズソウル』や、2013年に発売された『The Last of Us』のリメイクにおいても、オリジナル版をいちから再構築したことが伝えられてきた。比較的近年の作品がもとになっていても、現代の技術基盤で本格的にリメイクする場合には、大規模な再構築が必要になることもあるようだ。

なお『アサシン クリード ブラック フラッグ RE:シンクロ』においては中心となったUbisoft Singaporeのほか、水中を担当したUbisoft Barcelonaなど、合計15のUbisoft傘下スタジオが開発に携わっていた。大型タイトルのリメイクにあたり、大規模な開発体制が敷かれていたことがうかがえる。

そうした入念な改修を経たことも、さっそく300万本ものヒットを上げている一因となったのだろう。一方で本作の発売に際しては、開発に携わったUbisoft Belgradeは閉鎖されたことが報道。また先述したUbisoft Barcelonaではスタジオの約30%を占める51名のスタッフのレイオフが予定されており、スタッフらにより3日間の全面ストライキもおこなわれていた(関連記事)。本作が発売後に結果を出している傍らで、大規模開発を支えたスタッフが職を失っている点は問題視されている状況だ。Ubisoftは今年1月に組織・運営・ポートフォリオの大規模なリセットを発表しており、一連の人員削減はその一環とみられる。同社は「持続可能な成長」の回復を目標に掲げており、新たな体制では、開発を支える人員を維持しながら、そうした目標を実現できるかも問われることになりそうだ。

『アサシン クリード ブラック フラッグ RE:シンクロ』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Ubisoft Store)/PS5/XBOX Series X|S向けに配信中だ。サブスクリプションサービスUbisoft+向けにも展開されている。

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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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