『Fate/EXTRA Record』は原作を守りつつ「現代のJRPG」に進化、デッキ構築型バトルに大刷新。その狙いや“アニプレックス移管”の影響など、気になることを訊いた

『Fate/EXTRA Record』の刷新されたバトルや探索、サーヴァントとの交流を紹介しつつ、開発体制の移管や刷新の狙いについて訊いた。

Googleでお気に入り登録

株式会社アニプレックスは、2027年1月28日に発売予定の『Fate/EXTRA Record』についてメディアセッションを実施した。セッションの冒頭では株式会社アニプレックスのスタッフより、読者が一番気になるだろう『Fate/EXTRA Record』の開発体制についても説明が行われた。現在はアニプレックスが本作を手がけているが、移管されたことで開発状況やプロジェクトが大きく変わった、という意味ではないという。

もともと『Fate/EXTRA Record』は、TYPE-MOON studio BBのメンバーが企画として参画する一方、実際の開発は別の会社が担当する体制で進められていた。開発中には体制の見直しを含む試行錯誤があり、その中でメテオライズが開発を引き受けることになったという。今回の移管によって、それまで進められていた開発方針が大きく変更されたわけではなく、従来のコンセプトを維持しながら開発が進められていることが説明された。

こうした開発経緯を踏まえたうえで、本作が2010年に発売された『Fate/EXTRA』を現代のJRPGとしてフルリメイクするタイトルであることや、刷新されたバトルシステム、アリーナの探索、サーヴァントとの交流などについて紹介された。また記事後半ではメディアセッションで行われた質疑応答の様子もお届けしたい。

※画面は開発中のものにつき、実際の仕様とは異なる場合があります。

『Fate/EXTRA』を現代のJRPGとしてフルリメイク

『Fate/EXTRA Record』は、2010年にPSP向けに発売された『Fate/EXTRA』のフルリメイク作品だ。『Fate』シリーズ初のRPGとして登場した原作が持つ魅力を残しつつ、グラフィックを全面的に刷新するとともに、ゲームシステムを再構築。単なるリマスターではなく、現代のJRPGとして楽しめる作品を目指して開発されていると説明された。

物語では、穏やかな学園生活を送っていた主人公の日常が突如として崩れ、聖杯を巡る戦いへと巻き込まれていく。主人公は記憶を失った状態にあり、自分が何者なのかも分からないまま、サーヴァントと契約して「月の聖杯戦争」に身を投じることになる。

聖杯を巡って過去の英雄や偉人をサーヴァントとして召喚したマスターたちが戦う一方で、自分自身の存在にまつわる謎を追っていくことも本作の大きなテーマとして紹介された。主人公はセイバー、アーチャー、キャスターの3騎からパートナーとなるサーヴァントを選択でき、選んだサーヴァントによって戦闘スタイルが変化するのも特徴だ。

ワダアルコ氏のキャラクターを3Dで美麗再現

フルリメイクにおける大きな進化として紹介されたのがビジュアルだ。キャラクターデザインを担当するワダアルコ氏のイラストをもとに、3Dモデルによってキャラクターを再現。会話シーンでは描き下ろし原画をベースとしたSPINEアニメーションも採用され、キャラクターの表情や動きを細かく表現している。

さらに会話はフルボイスで展開され、場面によってキャラクターの立ち絵を中心に見せるだけでなく、ビジュアルノベルのように画面全体へテキストを表示する演出も用意されている。『Fate』シリーズでは長らくビジュアルノベル形式の物語表現が用いられてきたことから、本作でも複数の見せ方を組み合わせることで、物語への没入感を高めているという。

会話中には選択肢も登場し、選んだ内容によってサーヴァントの反応が変化する場面も紹介された。単に物語を読み進めるだけではなく、選択を通して主人公とサーヴァントの関係性を描いていくことも、本作における重要な要素だ。

7日間でアリーナを攻略し、対戦相手の情報を集める

続いて紹介されたのが探索パートだ。主人公は電脳世界に存在するダンジョン「アリーナ」を探索し、サーヴァントとの決戦に備えていく。各回戦には7日間の期間が設けられており、アリーナを攻略しながら「トリガーキー」を探し、キャラクターの育成や対戦相手に関する情報収集を進めていく。

アリーナは複数のフロアに分かれており、今回のセッションでは、まずフロア1を進みながら敵との戦闘や宝箱、アリーナ内のギミックなどが紹介された。フロアの奥には「ゲートキーパー」と呼ばれる強敵が待ち構えており、撃破すると強敵撃破報酬として新たなコマンド(カード)を入手可能。戦闘を重ねながら新たなコマンドを集め、デッキを構築していくことが本作の攻略につながっていく。

宝箱からはアリーナ探索に役立つアイテムのほか、マイルームで音楽を聴くためのレコードなども入手できるという。また、アリーナには拠点へ戻るための施設が点在し、探索中にサーヴァントのHPが減り、先へ進むのが不安になった場合などには拠点へ戻れる。ただ戻ることでゲーム内の時間が1日経過するため、限られた7日間をどのように使って探索するかも重要になるようだ。

アリーナでは敵との通常戦闘だけでなく、探索中に対戦相手のマスターやサーヴァントと遭遇することも。セッションでは1回戦の対戦相手である間桐シンジと、サーヴァントが登場する場面が公開された。遭遇戦では通常の敵とは異なる強力なサーヴァントを相手にすることになるが、アリーナでの遭遇戦は3ターンで終了するというルールが設定されている。

サーヴァント遭遇戦では、3ターン以内に一定量のダメージを与えるといったミッションが設定され、相手を倒すのではなく限られたターンの中で条件を達成することが求められる。たとえば特定ターンまでに50ダメージを与えたり、生き残ったりすることが目標となり、ガードを使って相手の攻撃をしのぎながらダメージを稼ぐ場面が見られた。

また、相手サーヴァントの真名は戦闘スタイルや弱点を知るための重要な情報で、戦闘中に使用する攻撃や会話の内容など、アリーナで得られる断片的な情報から相手の正体を探っていく。聖杯戦争を勝ち抜くために相手の情報を集めるという『Fate』らしい要素が、探索やバトルのシステムにも組み込まれている。

デッキ構築型に変化したバトルは戦況に応じた判断が重要

本作のバトルは、いわゆる「じゃんけん」型だった原作から一新され、デッキ構築型コマンドバトルへと変更されている。毎ターン配られるコマンドから、画面左側に表示されるAPの範囲内で行動していく。コマンドにはそれぞれ消費APが設定されているため、限られた行動ポイントを攻撃、防御、スキルやサポートのどこに振り分けるかを考える必要がある。

基本となるコマンドにはアタック、ガード、スキルがあり、カードによって異なる効果を持つ。アタックでダメージを与えるだけでなく、相手の予兆を見てガードを選択したり、スキルによって次の攻撃を強化したりと、配られたカードを見ながら行動を組み立てていく。

ガードには一定のダメージを軽減するポイントが設定されており、範囲内であればHPへのダメージを防ぐことができる。実演ではガードが残っている状態で敵の攻撃を受け、HPを減らさずにターンを終える場面が示された。一方で、攻撃がガードポイントを上回った場合には超過したダメージがHPに入るため、敵の攻撃を予測しながら必要なガード量を確保することが重要だ。

さらに、チェインマークが付いたコマンドを3回重ねることで「エクストラアタック」が発動。エクストラアタックはAPを消費せずに強力な攻撃を繰り出せるため、手札をどのように組み合わせてチェインにつなげるかも戦闘におけるポイントとなるようだ。

マスター自身によるサポートも用意されている。実演では「コードキャスト」を使用することで、ガードを強化したり、手札に入っているカードを入れ替えたりする場面が紹介された。さらに、HPを回復するアイテムや、コードキャストの使用に必要となるMPを回復するアイテムも存在しており、コマンドだけではなくアイテムやコードキャストを組み合わせて戦況を切り抜けていくことになる。

アリーナにはバトル以外のギミックも用意

アリーナの探索では、敵との戦闘だけでなくフィールド上のギミックを利用して先へ進む場面も。たとえば爆弾を投げてくる敵マスターの妨害を避けながら進む場面が紹介されたほか、特定の船形オブジェクトや鎖を操作して道を切り開くギミックも登場した。

サーヴァントとの交流イベント「サーヴァントタイム」もアリーナ探索中に発生。会話を通してサーヴァントの好みなどを知り、主人公とサーヴァントの関係を深めていくイベントであると同時に、ゲーム上ではサーヴァントのステータスを上昇させる効果もある。戦闘やメインストーリーだけでは見えないサーヴァントの一面を知りながら、ゲーム上の能力も強化できる要素となっていた。

『Fate/EXTRA』のさらなる展開については「現状では未定」

――『Fate/EXTRA Record』では、原作のゲームシステムをデッキ構築型コマンドバトル刷新した点、サーヴァントとの交流「サーヴァントタイム」など、原作にはなかった要素が盛り込まれています。フルリメイクにあたって、特に現代のJRPGとして作り直すうえで「変えるべきだ」と考えたポイントと、逆に原作から受け継ぐことを重視した部分について教えてください。

株式会社アニプレックス スタッフ:
当時遊んでくださった方に『Fate/EXTRA』のリメイクだと感じてもらえるよう、シナリオについてはオリジナルに準拠し、象徴的なセリフなどには変更を加えていません。そのうえでJRPGファンの方々に楽しんでもらううえでより面白さや厚みのあるゲーム体験をしてもらうことを念頭においたと開発陣から伺っています。それが、デッキ構築型の戦闘システムやアリーナの中での遊びの要素の中に表れており、総じてゲームシステムは作り直されています。

――開発のメテオライズさんは、本作制作の当初からstudio BBさんとやりとりをし、一して開発を担当していたという認識でよろしいのでしょうか

株式会社アニプレックス スタッフ:
開発の中で体制の見直しを含めた試行錯誤があり、協力会社を探しておりました。その中で、メテオライズ様に引き受けていただくことになった次第です。

――『Fate/EXTRA』ならではの「探索して情報を集め、相手の正体や戦い方を知っていく」ゲーム進行も体験できました。『Fate/EXTRA Record』では、探索や情報収集について、原作からどのようにブラッシュアップを施しているのでしょうか。

株式会社アニプレックス スタッフ:
敵陣営やNPCとの会話、相手の戦闘スタイル、資料の閲覧などの情報収集は基本的に原作の体験を受け継いでいます。一方で、情報収集フェイズ自体がわかりやすくなるよう工夫をしています。

――セッションではセイバーとアーチャーの性能について解説いただきましたが、キャスターはどのような性能になっているのでしょうか。可能でしたら、詳しくお教えいただけますと幸いです。

株式会社アニプレックス スタッフ:
キャスターは、時限爆弾的な「呪符」コマンドが特徴的で、うまくカードを組み合わせると時間差で非常に大きなダメージを与えられます。それ以外にも、相手に不利な状態異常を与えるような選択肢も豊富で、かなりトリッキーな性能になっていると思います。

――セイバーとアーチャーの性能についても、改めてご説明いただけますと幸いです。

株式会社アニプレックス スタッフ:
セイバーは薔薇コマンドをためたり合体させたりすることで、火力が跳ね上がる楽しさを味わえるようになっています。アーチャーはチェインをつないでコツコツとダメージを積み上げたり、狩人の印や投影宝具で一撃必殺を狙ったりと、さまざまな戦法を考えられるようになっています。

――試遊版ではアイテムをフィールドで使えませんでしたが、製品版でも同じ挙動なのでしょうか。

株式会社アニプレックス スタッフ:
試遊版ではメニューを開けない仕様としていましたが、製品版ではアリーナの道中でもアイテムを使用したり、礼装(コードキャスト)を入れ替えたりすることができます。

――デッキビルダー系のタイトルでは敵からのダメージを見ることができるのがスタンダードな印象があります。本作では見えなくしている理由を教えてください。

株式会社アニプレックス スタッフ:
ダメージ予測を出して細かく数字を計算するゲームになると、どうしても敷居が上がってしまうので、本作では表示していない、と開発陣から伺っています。

――バトルシステムが大きく変更されていますが、その狙いはなんですか。現在のカードバトル形式を採用した経緯を教えてください。

株式会社アニプレックス スタッフ:
RPG作品である、という点を大事にしています。リメイクにあたって、改めてゲームとしての遊びの厚みを持たせたいというのがまずあり、現代において戦略性の高いバトルをいくつか検討するなかで、デッキ構築型のシステムを選んだ……という経緯だと開発からは伺っています。

――デッキのカスタマイズによって、サーヴァントのバトルの幅はどの程度変化するのでしょうか。例えば「打撃に特化したキャスター」「アーチャーなみに手数の多いセイバー」といったことも可能ですか

株式会社アニプレックス スタッフ:
概ねサーヴァントごとに固有のカード、デッキとなります。なので入手できるカードの中で戦略を考えていくことになります。自由度が高いとそれはそれで難しくなってしまうので、そのバランスを調整することに苦心した、と開発陣も話していました。

――PSP版『Fate/EXTRA』の発売以降、『Fate』の世界が一層広がりました。その最先端として『Fate/EXTRA Record』が発売される形ですが、他の『Fate』作品から逆輸入する要素やファンサービス的なものは、現状明らかになっているもの以外でありますか

株式会社アニプレックス スタッフ:
申し訳ないですが、既に明らかになっていること以外はお答えできません。ですが、既に公開されていることでいうと、たとえばオリジナルで蒼崎姉妹が担っていた役割を累珠が引き継いでいるなどはあります。

――本作の反響次第では、『Fate/EXTRA』としてのさらなる新展開が生まれる可能性はあるのでしょうか。

株式会社アニプレックス スタッフ:
アニプレックスとして本作を引き受けた以上、そうしたことも考えていきたいと思っておりますが、現状では未定です。

Fate/EXTRA Record』はPC(Steam)/PS5/PS4/Nintendo Switch/Nintendo Switch 2向けに2027年1月28日に発売予定だ。

ⒸTYPE-MOON All Rights Reserved.

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Googleでお気に入り登録
Yuuki Inoue
Yuuki Inoue

RPGとADVが好きなフリーのゲームライター。同人ノベルゲームは昔から追っているのでそこそこ詳しい。面白ければジャンル問わずなんでもプレイするのが信条。

記事本文: 58