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『鬼武者 Way of the Sword』レビュー。武蔵の奇譚時代劇は“火が付く”のがちょっと遅い。圧倒的作り込みの剣戟で魅せる、「令和のカプコン」流バッサリ感
本稿では、製品版相当のバージョンを先行プレイした感想や、その内容についてお伝えする。

株式会社カプコンは、アクションゲーム『鬼武者 Way of the Sword』を9月4日に発売予定だ。シリーズとしては約20年ぶりの続編となるが、実際にはどんな作品に仕上がっているのだろうか。本稿では、製品版相当のバージョンを先行プレイした感想や、その内容についてお伝えする。
なお本稿には製品版の一部ストーリーやゲームシステムに関する解説が含まれるため留意されたい。
※株式会社カプコンから提供された、レビュー用コード(PC版)でのプレイにもとづき執筆
『鬼武者 Way of the Sword』は、剣豪「宮本武蔵」を操作して、江戸時代の京都に襲いかかる怪物「幻魔」たちを斬りまくる、剣戟アクションゲームだ。幻魔が人間界に現れた理由とは何か、鬼武者となった武蔵はどのように剣の道を極めるのか、そして“宿敵”佐々木巌流(小次郎)との因縁の行く末はどうなるのか。本編ではそういった物語が紡がれていく。

やみつきになる境地の「バッサリ感」
『鬼武者』といえば、幻魔をばっさばっさと切り倒していく「バッサリ感」を、ゲームの軸に据えたシリーズだ。筆者は6月に先行体験会に招待され、その“続き”として今回のレビューを書いているのだが(弊誌先行プレイレポ)、ゲームクリアまで進めてみて、改めてその気持ちよさが本作にもしっかりと刻み込まれていると感じた次第である。
本作のメイン装備は日本刀1本(&脇差)で、この二振りがゲーム全編を通じての相棒となる。ともすれば、ゲーム中盤あたりで武器に少しマンネリが出てきそうな気もするのだが、実際に遊んでいる最中には、そういった飽きはまったくこなかった。斬る感覚がとにかく中毒的なのだ。


刀による弱攻撃と強攻撃は、ボタン連打で殴っているだけでも楽しい。威力が割と強めなので、雑魚敵ならガンガン倒していけるうえ、ヒット時の効果音もたまらない。また、敵の攻撃を防御しつつ反撃に転じることができる「受け流し」システムも、戦闘の気持ちよさを高めまくっている。受け流しは、タイミングよく防御ボタンを押すことで発動する、いわゆるパリィに相当する技だ。成功すると敵の攻撃を捌いて、大きく怯ませることができる。スキルを取得すると、一定の回数を受け流した後に攻撃力が一時的に上昇する「気焔状態」になることも可能だ。
そしてこの受け流しこそが、戦闘のキモでもある。本作のような剣戟アクションを遊んでいると、敵の攻撃が激しくなるにつれて脳が“オーバーフロー”してしまい、操作がおぼつかなくなった経験はないだろうか。筆者も激戦のさなか、そういった状態になり、悔しい結末を迎えたことが何度もあった。本作の受け流しは、アニメーションの時間が割と長く、発動すると“一呼吸”つくことが可能。脳が休憩できるので、忙しい戦闘でも長時間続けやすくなっているのだ。


また受け流しとは別に「弾き」というシステムも用意されている。これも防御技なのだが、受け流しとは異なり、敵の攻撃を完全に弾き飛ばして力動(体幹)ゲージを大きく減らすことができる。力動ゲージがゼロになると、敵に「崩し一閃」を差し込んで大ダメージを与えることが可能。ただ弾きは、受け流しに比べて生じる隙が少ない。なのでより慣れたプレイヤー向けの技と言えるだろう。ちなみに力動ゲージはプレイヤー側にもあるので、あまり攻撃を受けすぎると防御が破られてしまうので注意が必要。
受け流しや弾きについて長く述べたが、おなじみの「一閃」についても、本作では変わらず重要なギミックとなっている。一閃は敵からアタックされた際にタイミングよく攻撃ボタンを押すことで、大ダメージの斬り返しを繰り出せるというシステム。現代風に表現すると“反撃パリィ”に近い技にあたる。


一閃は、受け流しよりも受け付け時間がかなり短く、敵の攻撃モーションを完全に見切ることが要求される。だが成功した際の気持ちよさは格別だ。あくまでも個人差があるとは思うのだが、筆者は中盤を越えた頃から一閃を比較的、決めることができるようになってきた。斬る→受け流す→一閃→(相手の体力が残っていれば)弾く、といった流れが決まると、気分は完全に剣豪の気分。筆者は悔しくもそこまで辿り着けなかったが、極めた人なら一閃の連鎖を使って、常に敵集団を完全に圧倒することもできるだろう
因縁が交差する京「洛東」、名時代劇レベルの作り込み
ここからは物語のあらましと、本作の舞台となる“ワイドリニア”な京都(洛東)の町について語ろう。
まず武蔵だが、序盤の段階では、そこまで幻魔との戦いに乗り気ではない。なんなら鬼の籠手を嫌って、とにかく外そうとする。というのも、武蔵は腕一本で剣の世界を渡ってきた人物。鬼の力という“異物”で、自分が強化されたことが嬉しくないのだ。意図せず、この世のものではない異能を得てしまった武蔵が、どのように力と向き合っていくのかが物語を通しての見所の一つとなる。
武蔵、そして巌流という2人の因縁が交差する京都の町は、幻魔の侵略によって町中が瘴気に覆われている状態。ゲーム的には、この瘴気が行動できる範囲を狭めており、払うことで町の移動できるエリアが拡大するというシステムだ。京都の各地には、獄門と呼ばれる幻魔たちが湧き出るポイントが大量発生中。これを潰して、さらに強力なボス幻魔を成敗。そして最後に瘴気の源である、地獄ひまわり的な植物を切り倒す必要がある。

また体験版でも遊べた清水寺をはじめとする一部の地域は、1本道のダンジョンとなっており、京の市街地とはまた異なった雰囲気があるのが特徴。雄大な自然から怪しくも美しい建物内から、幽霊が出そうなおどろおどろしい場所まで、幅広い特色を有したロケーションがプレイヤーを待ち受けている。


京都の町の解放が進むと、サブクエストを受注できるようになる。サブクエは大きく分けて2種類。町人から受注できる小粒なタイプと、紫式部(!)から依頼される「京都奇譚」だ。後者はストーリー要素が強めのジョブで、多くは幻魔が絡むが、なかには意外な展開を見せるものも。また、メインクエストや他のサブクエで遭遇したNPCの後日譚になっている場合があるのも特徴だ。
このように書くと「歴史に詳しくないと置いて行かれるんじゃ?」と思う方もいるだろうが、そこはご安心を。武蔵は、京都の近況や故事に疎い人物として設定されており、偉人などに遭遇しても困惑することが多い。そこで周囲のキャラクターが背景事情などを(プレイヤー向けも兼ねて)伝えてくれるのだ。筆者の場合、紫式部について、あまり深い知識はなかったのだが、プレイしていて違和感を感じることはなかった。


京都の作り込みについては、もはや見事というほかない。筆者はインタビューなどで、開発陣からこだわりポイントをあらかじめ伺っていたが、今回長時間プレイして、改めて感服した次第だ(弊誌インタビュー記事)。本作に登場する寺院や神社については、カプコンが実際に許可取りをしたうえで取材と制作がおこなわれている。例えば拠点となる六道珍皇寺には、篁の逸話に絡む「冥途通いの井戸」というものがあるのだが、これはゲーム内でもばっちり再現。しかもストーリーにも絡んでくるという力の入れようだ(弊誌ロケ地巡礼記事)。


また個人的には、全体的な作風が“ダーティー”なのも好印象だ。国内でメジャーな時代劇といえば大河ドラマだが、同シリーズでは町並みや衣装、人の顔が良くも悪くも綺麗に描かれることが多い。翻って本作は、古くは映画「羅生門」、最近ではDisney+のドラマ「SHOGUN 将軍」のように、しっかりと当時を感じる汚しや荒れが施されている。そもそも武蔵自身、傷んだ外套を身に着け、着物もほつれや穴だらけ。実際武蔵については、生涯を通して沐浴しなかったとの逸話も伝わっているが、本作ではそんな“風呂キャン”の気配すら感じる。だがそれこそが、時代らしさを感じる素敵な要素だと筆者は思う。


ややスローテンポなストーリー。敵の使いまわしは気になる
ここまでかなり本作を褒めてきたが、実はプレイ中には「ん?」と思った箇所もいくつかあった。特に気になったのがストーリーに“火が付く”のが、やや遅いという点である。
ネタバレを避けるために深くは言及しないが、前述したように序盤の武蔵は、望まない力を得たあと、荒れた洛東に辿り着いて戦いに巻き込まれた感が強い。本人もあまり乗り気でないため、「なんとなく幻魔と戦って斬っている」という雰囲気がかなり続く。武蔵の覚悟や目指す心境も定まるまでに割と時間がかかるのだ。

もちろん、京の町では幻魔が絶賛大暴れ中。あちこちの路地には、死体の山ができあがっているという悲惨な状況だ。だが、その襲われる瞬間をムービーなどでほとんど見れないため、「ここを守らなくては!」という気持ちをプレイヤー側がやや抱きにくい。例えば『バイオハザード レクイエム』の冒頭のような、ゾンビ(幻魔)がリアルタイムで湧いて一般市民に襲いかかるシーンなどがあれば、より危機感を感じられただろう。
また、ボスの使いまわしが割とあったのも気になった部分である。本作は獄窓を閉じる際に中ボスが出現する場合があるのだが、「百穢」と「怒伐天」という敵が出てくるパターンがかなり多い。誤解のないようにお伝えしておくと、両ボスともに戦っていて楽しい、作り込まれた幻魔だ。だが、何度も遭遇するため次第に既視感が強くなるのである。


おそらく中ボスの再登場が多いのは、本作が相当に戦闘アニメーションに凝った作品であるからと筆者は推測している。特に顕著なのが受け流しなのだが、この技、武蔵の立ち位置や発動した瞬間に向いている方向などで、モーションが変化するのだ。遊んでいると、すべての動作が“自然”に見える。言葉にするとシンプルだが、これが実際には非常に工数のかかる作り込みであることは言うまでもない。
筆者としては、3Dモデルの形状変化などで、バリエーションを作ってほしかったという思いはあるが、裏を返せば、それが難しいほどにモーションが細かく作り込まれていることも感じ取れる。DLC展開やアップデートなどで、上手く中ボスクラスの敵バリエーションを増やしてほしいところだ。

剣戟の楽しさには文句無し。約20年ぶりの再出発にふさわしい佳作
『鬼武者 Way of the Sword』は、数十年ぶりのシリーズ再始動にあたって、現在カプコンが有する技術の全力が注ぎこまれた作品だ。ストーリー展開等にやや課題はあるものの、アクションゲームとしての仕上がりは格別の一言。全体的には、しっかりと面白いだけに「ここが少し……」という部分が目に付くのだ。なお今回筆者は剣戟(ノーマルモード)でプレイしたが、後半は難易度もかなり上昇。ボス1体に1時間近く費やすこともあり、歯ごたえのあるプレイングが楽しめた。もちろん、より簡単な活劇(イージー)モードも用意されているので、初心者は安心してほしい。
最後に余談としてライター目線にて語ると、フォトモードが実装されていたのも嬉しかった点である。フィルター類も完備されており、白黒に設定するとザ・時代劇といった趣きの写真が撮影できる。京都の町も見どころ満載なので、作中で訪れたお寺などにリアルで行ってみるのも楽しいだろう。ちなみに本作は体験版が配信中だが、先日アップデートが入り、プレイ範囲が拡張された。すでに遊んだ人も、発売前の予習を兼ねて、もう一度遊んでみてはどうだろうか。

『鬼武者 Way of the Sword』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S向けに9月4日発売予定だ。
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