『鬼武者 Way of the Sword』、清水寺の舞台は「床板の枚数」まで同じ。音にも映像にも徹底的こだわり、開発陣と“京都でロケ地巡礼”までしながら教えてもらった

本作サウンド部門のスタジオツアーと、作中に登場する寺院や神社を巡る“ロケ地巡礼”の様子をお伝えする。

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弊誌AUTOMATONは7月21日と22日、株式会社カプコンの本社にて実施された、『鬼武者 Way of the Sword』の先行プレイ体験会に招待された。本記事では、体験会と一緒におこなわれた本作サウンド部門のスタジオツアーと、2日目に実施された『鬼武者 Way of the Sword』に登場する寺院や神社を巡る“ロケ地巡礼”の様子をお伝えする。

『鬼武者 Way of the Sword』は『鬼武者』シリーズ最新作。本作にてプレイヤーは時の剣豪「宮本武蔵」として、瘴気によって不可思議な姿と化した江戸時代初期の「京都」を舞台に、はびこる幻魔を斬り伏せながら、己が戦う理由を探し求めていく。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア)/Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|Sで、発売日は9月4日だ。

今回のサウンドツアーでは、BGMなどを制作するサウンドスタジオと、SEの収録をおこなうフォーリーステージを訪れることができた。サウンドスタジオでは、本作のオーディオディレクターを務める諏訪駿一氏のほか、ミュージックディレクターの鈴木まり香氏、リードコンポーザーの大本望美氏などが登壇。『鬼武者 Way of the Sword』に採用されている「オブジェクトベースオーディオ」の詳細や、サウンド関連の制作裏話などについて聞くことができた。

オブジェクトベースオーディオとは、ゲーム内に登場する音源(風、木の葉、敵)などに位置情報を設定し、プレイヤー側のサウンドシステムにあわせて設定する技術。5.1サラウンドなど、ハイエンドな音響機器が自宅になくても、音の距離や高さといった情報をプレイヤーに伝えることを可能とする。本作では、この仕組みを利用して立体音響を、京都の空気感や幻魔の異質感、戦闘の迫力といったものを表現する、ゲームデザインの一部として活用しているとのこと。ちなみにカットシーンに関しては、オブジェクトベースではなく7.1.4chとなっているそうだ。

その後、BGMの制作過程の話へと移る。江戸時代に幻魔が襲来するというダークファンタジーな世界観を描くため、和楽器によるオーケストラが軸となり、そこにシンセサイザーといった電子楽器によるサウンドを組み合わせるかたちで、幻魔や地獄の恐ろしさを表現したという。またボス戦の楽曲には、敵キャラクターの性格などを表す“キーサウンド”が含まれていると同時に、主人公である武蔵の心境も感じられるようになっているとのこと。発売後は、どのサウンドがどういった役割を果たしているか、考察するといった楽しみ方もできそうだ。

またこの説明会では、『鬼武者 Way of the Sword』のメインテーマ曲が初めて“フル尺”で公開された。武蔵の剣の道に対する葛藤や成長、仲間への思いなどが込められているほか、「水琴窟」という水滴の音が、鬼世界とのつながりなどを表すために盛り込まれているとのこと。

サウンドスタジオでの解説が終了したあとは、先述したフォーリーステージへと移動することになった。そもそもフォーリーとは、登場人物の動きや感情などにあわせて生制作、録音された効果音を指す言葉だ。本作の場合は、鬼ノ武具や刀のつば競り合いといった部分のSEにフォーリーが活用されている。

剣戟の音作りにあたっては、ダーティーかつ粗暴な刀の効果音を生み出すことに注力したという。当初は、いわゆる(時代劇のような)綺麗な刀の音を検討していたそうだが、最終的に武蔵の手段を問わない性格などを盛り込んだ、荒々しく重たい効果音を使うことが決定されたそうだ。

刀のフォーリーは、音響効果刀というオーダーメイドの刀剣を使って収録されており、今回、どうやって効果音を作ったかの実演がおこなわれた。使用されたのは1本の鉄骨と音響効果刀。鉄骨の上に刀を滑らせると、鉄骨のデコボコが良い働きをして、目指していた音がサンプリングできたそうだ。ちなみに筆者が聞いた限りでは、この完成した音は体験版などで聴ける受け流しの音とほぼ同じだった。

フォーリーの実演では、鬼ノ武具の収録についても実演が披露された。鬼ノ武具については、現実に存在する日本刀とは異なり架空の装備であるため、現実世界にはない、やや未来感もあるサウンドを目指したそうだ。そして収録に使用された物品は、なんとスーツケース。この上で、壊れたドラムのピックのペダルやドアノブ、工事現場で使うクランプなどを組み合わせて動かし、そこにエフェクトを合成することで完成版のSEが誕生したという。

なお今回の取材では、フォーリースタジオ内の撮影も許可された。手前に置いてあるものが『鬼武者 Way of the Sword』で使用されたものだが、奥にも籠や筋肉型のスーツなどさまざまな物品が置いてあるのが確認できた。こういった物を組み合わせて試行錯誤することで、多くの効果音が生み出されたのだろう。

取材の2日目には、『鬼武者 Way of the Sword』に登場する寺院や神社を実際に京都に赴いて巡り、理解を深めるという“聖地巡礼ツアー”が実施された。訪れることができたのは、体験版の舞台になった清水寺、六道珍皇寺、安井金比羅宮、建仁寺の4箇所。どの場所も作中で大きな役割を果たす場所となっている。

まず訪れた清水寺は、778年に開創された寺院。1994年にはユネスコ世界文化遺産へと登録されており、境内には国宝と重要文化財を含む30以上の堂塔伽藍が建ち並ぶ、言わずと知れた名所である。ちなみに現代に至るまでに戦乱などで何度も火災に見舞われており、我々が知る「清水寺」は、1633年に再建された建物となっている。

実を言うと、筆者は清水寺を訪れるのが人生初だったのだが、体験版のムービーで印象的だった“清水の舞台”の再現度合いには感銘を受けた。開発チームによると、舞台の床板の枚数も同じになるよう3Dモデルが作り込まれているという。

その一方で、ゲームとして遊びやすいような調整もおこなわれており、例えば本物の舞台はやや傾斜があるのに対して、作品内ではほぼフラット(水平)な作りになっている。また階段といった段差についても、アクションを妨げないよう、なだらかな形状に“整え”られていることが比較できた。

*清水寺での二瓶Dと門脇P

ところで『鬼武者 Way of the Sword』の開発では、舞台にしたい寺院などにスタッフが赴き、さまざま許可取りをおこないながら制作が進められたというエピソードがある。建物の登場の許諾はもちろんのこと、ゲーム内容の“可否”についても、擦り合わせが実施されたというのだ。たとえば、清水寺は通常、舞台から建物側を向くと「秘仏十一面千手観音立像」が見える作り。しかし、本作のムービーシーンには残虐な描写が含まれることから、調整の結果、戸を閉めてゲーム内では仏像が見えないようにするといった配慮がおこなわれたそうだ。

昼食後に筆者たちは、六道珍皇寺へと向かった。この寺院は作中の登場人物である、小野篁(たかむら)に縁深い場所で、ゲーム内では小野篁や出雲阿国などがいる拠点兼ハブのようなロケーション。体験会では、インタラクトすることでチュートリアル空間にワープできた「迎え鐘」もあり、実際に鳴らすことができた。

また、本堂では六道珍皇寺の住職である坂井田良宏氏から、小野篁にまつわる物語を語っていただくことができた。小野篁は実在の人物ながら、現世と地獄を行き来していたという伝説を持つ人物で、夜になると閻魔大王の裁判の補佐官を務めていたという異色のエピソードを有している。そんな小野篁が地獄との往来に使っていたとされる2つの井戸が、こちらの六道珍皇寺にあるのだ。

この井戸は、「冥土通いの井戸」と「黄泉がえりの井戸」というもので、普段は近づいての写真撮影はNGなのだが今回は特例として接写することが許可された。体験会の範囲では、井戸に関連するイベントは発生しなかったのだが、小野篁本人が登場していることもあり、何らかの描写がある可能性は高いだろう。製品版でのストーリー展開に期待したい。

冥土通いの井戸
黄泉がえりの井戸

次に向かった安井金比羅宮は、本編ではボスの「羅掌願」と戦う場所だ。羅掌願は縁切り縁結びと称して、京都の住民に悪行を働くという幻魔。実は、本物の安井金比羅宮も「縁切り神社」として有名で、形代が貼られた「縁切り縁結び碑」をくぐることで、悪縁を切り、良縁を結ぶことができるとされている。

体験会では、花咲き乱れる仙境のような領域となっていたが、実際の安井金比羅宮は木々が点在する落ち着いた雰囲気。独特の趣きを放っていた八大力尊も社に祀られていた。ちなみに目玉のひとつである「縁切り縁結び碑」については、実際には近年に作られたものとのことで、作中では幻魔が作ったような物を置いて、雰囲気を調整したそうだ。

ゲーム内の安井金比羅宮

巡礼のゴールとなったのは、建仁寺。1202年に開創した京都最古の禅寺だ。「十一面観音菩薩坐像」などが祀られているほか、国宝の「風神雷神図屏風」や「花鳥図」、「雲龍図」といった重要文化財も展示されている。境内にある雄大な枯山水「大雄苑」も見所のひとつだ。

施設内はお寺兼美術館のようになっており、歩きながら文化財や展示を見ていけるつくり。個人的に見所と感じたのは、入ってすぐの畳の間。ライターという仕事上、筆者もある程度撮影を嗜んでいるが、中庭の「潮音庭」を含めて、“構図”が固まっているように見えたのだ。また奥の法堂の天井に描かれている「双龍図」もインパクト抜群。2匹の龍が来場者を見下ろすように鎮座している姿に圧倒されてしまった。

先述したように、今回紹介した清水寺、六道珍皇寺、安井金比羅宮、建仁寺は、『鬼武者 Way of the Sword』内のロケーションとして登場する寺院や神社だ。開発チームによると、可能な限り忠実にディテールを再現しつつ、厳密には江戸時代に存在しなかったものの、知名度の高い要素については、あえて盛り込んだ部分もあるという。どういった部分に“調整”が施されているのか、製品版で見比べてみるのも面白いだろう。また本編にはこれら以外の名所も数多く登場するとみられる。クリアしたあとに京都を訪れれば、ロケ地を巡る楽しい旅ができそうだ。

鬼武者 Way of the Sword』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S向けに9月4日発売予定だ。

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Satofumi Inoue
Satofumi Inoue

大作洋ゲーから、インディーゲーム、VR系まで幅広く遊ぶ雑食派。いろいろ遊びすぎて一つのタイトルに使える時間が減り気味なのが悩み

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