カナリア諸島政府の公式プロジェクトとして、CANARY ISLANDS GAMESが地域のゲーム産業の振興を推進しているのだという。5月22日から日本・京都にて開催されていた「BitSummit PUNCH」には、そんなCANARY ISLANDS GAMESが出展。アフリカ大陸北西の沖より日本まで、カナリア諸島のゲームが展示にやってきていた。

ところで、カナリア諸島と聞いてどこのどんな地域であるのか、頭に浮かぶだろうか。調べてみると、暖かな観光地であり、大西洋のハワイとも呼ばれているというが、筆者も含め詳しくないゲーマーもきっと多いはず。今回は、そんなスペインの自治州「カナリア諸島」と現地でのゲームについて「BitSummit PUNCH」の会場で話を伺ってきたので、インタビュー内容をお届けしよう。

──まずは自己紹介をお願いします。

Javier Pascual de la Peña(以下、ハビエル・パスクアル)氏:
ハビエル・パスクアルと申します。カナリア諸島の政府の一員として、カナリア諸島のゲーム企業の支援に関する仕事をいろいろとやっています。「BitSummit PUNCH」には、proexcaというカナリア諸島政府の公営企業の代表として参加しています。

──多くの日本人にとって、カナリア諸島はあまり馴染みがない地域です。どのようなところなのか、ご紹介をお願いします。

ハビエル・パスクアル氏:
カナリア諸島は、国としてはスペインの一部です。スペイン本土のあるイベリア半島から約1500km、アフリカの海岸から200マイルほど離れた場所にある8つの島々です。年中暖かくて、自然が豊かで、いい暮らしが出来る場所なんですよ。人口は220万人程度なんですが、観光地としても有名で、観光客が年間約2000万人ほどやってきます。観光客のみなさんは、カナリア諸島の良い気候を求めてやってきます。自然にも恵まれており、火山や川などもあるんですが、そんな中でもパラダイス的なビーチを求めてやってくる方が多いですね。

──カナリア諸島におけるゲームについて伺わせてください。なぜカナリア諸島では、ゲーム産業に力を入れられているのでしょうか。

ハビエル・パスクアル氏:
カナリア諸島では、収入源が観光業に大きく依存しているところもありまして、リスクを分散するためにほかの分野にも投資しておきたいという背景があります。AV機器や航空産業、宇宙産業などほかにもいろいろあるのですが、カナリア諸島には撮影に適した自然環境があり、ゲームにもすごく将来性を感じていることから、約15年ほど取り組みを続けています。現在はアニメーションやゲームのスタジオが40ほど設立されていますね。

──カナリア諸島で作られたゲームで、有名なタイトルなどはありますか。

ハビエル・パスクアル氏:
有名なゲームでいうと『Blasphemous』*1のスタジオや『Human Fall Flat(ヒューマンフォールフラット)』*2を作ったスタジオがカナリア諸島にありますし、『League of Legends』のアニメ「アーケイン」*3の制作スタジオの拠点もカナリア諸島にあります。ほかにカナリア諸島には多くのハリウッド映画の撮影が来ていて、「スター・ウォーズ」や「ウィッチャー」の撮影もおこなわれていますね。

*1:『Blasphemous』は、スペインのスタジオThe Game Kitchenが制作。公式サイトによると、同社は2023年にカナリア諸島のテネリフェ島へ新しい拠点をオープンしたのだという。

*2:『Human Fall Flat』は、リトアニアのスタジオNo Brakes Gamesが制作。公式サイトによると、カナリア諸島にもスタジオをもっているようだ。

*3アニメ「アーケイン」は、フランスのアニメスタジオFortiche Productionが制作。カナリア諸島のラス・パルマスにも拠点をもっている。

──ちなみに、カナリア諸島ではどんなゲームが流行っているのでしょうか。

ハビエル・パスクアル氏:
若者も多いので、彼らはゲームをよく遊んでいますね。実際に私の息子もよくゲームを遊んでいて、新しいものにすごく興味を持っています。流行っているゲームは『Grand Theft Auto』や『Call of Duty』のような戦う系のゲームや、レース系のゲームもすごく人気です。ホラーも結構人気がありますね。

──万国共通というか、日本ともあまり変わらないんですね。

カナリア諸島の写真

──カナリア諸島の政府では、ゲーム産業に対してどういった取り組みがおこなわれているのでしょうか。

ハビエル・パスクアル氏:
大きく分けて2点あります。まず1つは、拠点を作ってもらう企業を探すことです。経済的にすごく優遇する制度を設けておりまして、カナリア諸島で会社を立ち上げる人や、スタジオを作ってくれる企業などを支援することが目的です。

もう一つが、カナリア諸島で作られているゲームの、ほかの地域へのプロモーションです。今回の「BitSummit PUNCH」では、日本とアジアの市場ですね。日本の企業とマッチングして、いろいろとコラボレーションしてゲームを作ることを支援するなど、さまざまな形で支援をしています。今回は10社を支援する形で出展しているのですが、いずれも技術のある素晴らしいゲームばかりなので、ぜひ遊んでみてほしいです。

アクション×タワーディフェンス×ローグライクを融合したというダークファンタジー作品『Archangel: Demon Rush』。銃火器や神聖なタレットなどを使い、悪魔の軍勢から拠点を守るのだという。「BitSummit PUNCH」展示作品。
3Dメトロイドヴァニア『Arico: Tales From the Abyss』。地底に眠る真実を追う中、探索、リソース管理、パズル、サバイバル要素などが待ち受けているそうだ。「BitSummit PUNCH」展示作品。

ハビエル・パスクアル氏:
また今回の「BitSummit PUNCH」のようにカナリア諸島のゲームを国外へ連れ出すのとは逆に、国外のクリエイターをカナリア諸島にお呼びする取り組みもやっています。日本の企業やクリエイターをカナリア諸島へ呼び、4~5日の間滞在してもらって、カナリア諸島について知ってもらったり、スタジオにお連れしてカナリア諸島でのゲーム制作について知ってもらったり、といったものです。そういった取り組みは年に1度おこなっており、コストはカナリア諸島政府が支払っています。カナリア諸島から世界へ向けて売り出すのと同時に、世界からカナリア諸島へ招いて知ってもらおうとしています。

スチームパンクFPS『OVER SAND』。飛行船の船長として、砂に埋もれた工業都市の上空を漂い、戦いも繰り広げていくようだ。「BitSummit PUNCH」展示作品
「Project Node」。ミステリーと、ポーカーに着想を得た戦術カードバトルが展開されるという。「BitSummit PUNCH」展示作品

──最後に読者へ向けてメッセージをお願いします。

ハビエル・パスクアル氏:
読者のみなさんには、まずカナリア諸島を知ってもらって、スペインにも来てほしいですね。ご飯も美味しくて気候もいいので、興味をもったらぜひ遊びに来てほしいです。また今回出展したスタジオの作品はいずれもいいゲームばかりなので、ぜひ遊んでみてください。

──ありがとうございました。

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