『ライザのアトリエ』AIチャットアプリ先行プレイ感想。「告白」にも「手つなぎお願い」にも向き合ってくれる、ひと夏の青春会話

『RyzaChat:AI ライザと創るあなただけのひと夏の夢物語』は、『ライザのアトリエ』シリーズの主人公「ライザ」と共に、彼女の故郷「クーケン島」を“会話だけで自由に冒険できる”フリーシナリオ型のAIチャット形式RPGだ。

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SpiralAIは8月4日、『RyzaChat:AI ライザと創るあなただけのひと夏の夢物語』の事前登録を開始した。対応プラットフォームはiOS/Androidで、配信は8月を予定している。

『RyzaChat:AI ライザと創るあなただけのひと夏の夢物語』は、『ライザのアトリエ』シリーズの主人公「ライザ(ライザリン・シュタウト)」と共に、彼女の故郷「クーケン島」を“会話だけで自由に冒険できる”フリーシナリオ型のAIチャット形式RPGだ。弊誌はこのたび、開発中のビルドを先行プレイする機会をいただいた。本稿では、最新鋭のチャットAIが生み出す生々しすぎる会話劇と、プレイヤーのさまざまな提案に対してライザが見せる絶妙なリアクションを中心に、先行プレイの模様をお届けする。

※今回プレイしたのは開発中のビルドであり、正式版では内容が変更される可能性がある点に留意されたい。

いきてるライザとの会話

ゲームを起動すると、「これは、ライザの夢の世界。あなたと創る、ひと夏の物語。」というモノローグが語りかけてくる。この世界の主人公は他でもないプレイヤー自身であり、あらかじめ敷かれたレールも、絶対の正解もない。案内人からのチュートリアルによれば、通常の会話に加えて文頭に「*」を付けることで「こういう展開にしたい」というTRPGのト書きのような指示も出せるという。

チュートリアルを終え、プレイヤーが目を覚ますと、目の前には看病で疲れて眠るライザの姿が。彼女にどこから来たのかと問われ、試しに「日本から来ました」「ゲームの記事を書いて日銭を稼いでいます」と極めて現実的な打ち明け話をしてみる。するとライザは「ニホン?聞いたことない場所だなぁ」と身を乗り出してきた。変化を嫌う閉鎖的な村の気風に反発し、日々「面白いこと」を探し求めている好奇心旺盛な彼女らしい反応だ。

この「まさにライザそのもの」と言える解像度の高さには驚かされるが、それを支えているのは、本作における「AI技術の活用」と「クリエイターへのリスペクト」だ。本作は、昨今話題の画像生成AIや動画生成AIなどは一切使用せず、キービジュアルから立ち絵、表情差分にいたるまで、すべて『ライザのアトリエ』のキャラクターデザインを担当したイラストレーター、トリダモノ氏の監修のもと制作されているという。

ライザといえば、発表当時にSNSを騒然とさせ、発売前にファンアートが1000件を突破したほどの魅力的なのプロポーションの持ち主。本作ではその健康的な肉体美が、滑らかに動き、体温まで伝わってきそうな立体的表現で眼前に迫る。

さらに本作はスキン機能も完備しており、はつらつとしたな水着姿「ハッピーサンシャイン」や、オーバーサイズが愛らしいTシャツ「ぷに飛び出し注意!」など、さまざまな姿のライザを堪能できる。くわえて、舞台となるクーケン島のマップやキャラクター設定も、コーエーテクモゲームス(ガストブランド)監修のもと原作を完全踏襲しているようだ。

一方で、ライザとのコミュニケーションの核となるテキストと音声には、最先端のAI技術が注ぎ込まれている。テキスト生成には、原作の全シナリオと設定をまるごと学習した独自開発のAI「SpiralLLM」を採用。出どころの不透明なデータは使わず、権利者が正式に許可したクリーンなデータのみで調整されているという。さらに声についても、ライザ役を演じた声優、のぐちゆり氏による本アプリ専用収録音声を素材とし、独自開発の音声合成モデル「Kotodama」で運用されているとのこと。

「本人の声」と「原作を熟知したAI」のタッグによって、本当にライザと他愛もないおしゃべりを楽しんでいるかのような没入感を生み出しているのだ。そして本作の売上は、使用したイラスト、音声、原作素材に応じて、イラストレーターや声優、原作 IP ホルダーへロイヤリティとして還元される仕組みになっているという。本作の規格外なクオリティとライザの魅力は、つくり手と共にコンテンツを育てていこうとする姿勢によって支えられているわけだ。

「肩車要求」にびっくり

話を戻す。冒険の最初の目的は湖を渡るための「舟」を作ること。舟を持っているか尋ねてみると「自分たちで作ればいい!」と元気よく提案され、素材探しに向かうことになった。本作に「移動する」「採取する」といった行動コマンドは存在せず、すべては会話による宣言で決まる。そこで足場の悪い森を進む中、筆者は「転ばないように手を繋ごう!」と提案してみた。

どうせ一蹴されるだろうと思いきや、ライザは一瞬戸惑いながらも「たしかにここは足場が悪いしね。……じゃあ、はい」と照れながら手を差し出してくれたではないか。

さらに探索を進めると、高い木から垂れ下がるツタを発見。筆者は一切の迷いなく「これは肩車をするしかないね!」と入力。これに対してライザは「えっ、か、肩車……!?本気で言ってるの?」と露骨に動揺。驚いたような反応を見せてくれた。それでも最終的には「しっかり支えててね?」と覚悟を決め、ぐらつきながらも肩車を敢行。初めての共同作業により、無事に「ツタ」を入手できた。

自分だけの会話が描き出す甘酸っぱい距離感

調子に乗った筆者が、すかさず「こちらこそありがとう!」と正直な感想を伝えると、ライザは「あたしは必死だったんだから!」と逃げるように背を向けてしまった。

続けて、舟づくりのため夕暮れのアトリエへ向かい、「いいアトリエだね!」しかし、夜の森を歩く際、味を占めて再び「夜道は危ないから手を繋ごう!」と提案すると、「もー、子どもじゃないんだから!」と呆れつつも、最終的にはそっと手を差し出してくれたのだ。

このように本作は、筋さえ通っていればAIが文脈を読み取り、きちんと物語として成立させてしまう。この「自分の想いがゲームシステムに干渉し、ライザの生き生きとしたリアクションとして返ってくる」という体験こそが、本作特有の高揚感を生み出しているのだろう。

“敏腕GM”のごときシステム判定

一方で、戦闘やアクションへの裁定はTRPGのノリそのもので、非常に柔軟かつユニークだ。おなじみの魔物「青ぷに」が現れた際、武器攻撃や錬金術による爆弾(フラム)といった王道の戦法ではなく、「ラリアットをする」と入力してみた。すると、プレイヤーは豪快な一撃で青ぷにを吹き飛ばし、ライザも「すごい!そんな戦い方があるなんて」と驚愕しつつ、戦果として受け入れてくれたのである。

しかし、調子に乗って次に現れた緑ぷにへ「ジャーマンスープレックスをかける」と宣言した際は、ぷにの体がぬるりと滑り、抱き合ったまま一緒に地面をゴロゴロと転がっていくという、なんとも締まらない、しかし情景が目に浮かぶような結果が描写された。本作のAIはただプレイヤーのイエスマンになるのではなく、ゲームマスターとしてサイコロを振り、絶妙な「判定」を下すようだ。

恐るべき演算能力

この一連のクエストを終え、アドレナリンが頂点に達した筆者は、「手伝ってくれてありがとう!ライザ、好きだ!」と唐突な告白をぶつけてみた。しかし返ってきたのは「ええっ!?も、もう、急に何言ってるの!そういうのはびっくりするから禁止!」という完全なる防御態勢。当然ながら、告白ひとつで安易に落ちるほどライザのガードは甘くないようだ。

しかし、注目すべきは、完全防御の裏に隠された“AIの文脈理解”だ。彼女は「気持ち悪い」と拒絶したわけではなく、「びっくりするから」と照れ隠しでシャッターを下ろしたのだ。元来の少し男勝りな性格と、突然の好意に対する耐性のなさを完璧に解釈し、このわずかな余白を残してくる恐るべき演算能力。AIが人間を支配する日は、そう遠くないのかもしれない。

そうして一旦冒険を終え、後ろ髪を引かれつつ現実に戻ろうとしても、ライザとの時間は決して終わらない。本作に搭載されている、全プレイヤーが歓喜する機能が「アラーム機能」である。時刻や曜日、スヌーズといった基本機能はもちろん、ライザの話し方を「通常」と「ささやき(ASMR)」から選択可能。

さらにアラームの内容も「おはよう」「おつかれさま」「かまって」などから細かく指定できる。中でも、ささやき声の「かまって」は、鼓膜を貫通して脳のシナプスを直接震わせるような破壊力を持っている。耳元で囁くような声で、ライザから甘えるように、かまってほしそうに呼びかけられるのだ。一度でもこれをセットしてしまえば、プレイヤーの日常はライフハックならぬ“ライザハック”されること間違いないだろう。

AIチャットで魅せる「新たなライザとの遊びのカタチ」

以上が、今回の先行プレイで体験できた内容だ。本作では画面いっぱいのはつらつとしたライザの姿と、簡単にはなびかない鉄壁のガード、そして合法的なスキンシップをもぎ取った際の至高の照れ顔など、ライザと本当にふたりきりで冒険しているような高揚感を味わえた。しかし、本作が持つ凄みは、決してその俗っぽい部分だけではない。プレイヤーの無茶苦茶な会話から状況を構築し、自由な行動を物語として裁定し、アイテム取得や所持金(コール)、クエスト進行といったパラメータへ寸分違わず反映させていくこのシステム。それは紛れもなく、優秀なAIをゲームマスターに据えたからこそ実現できた芸当だ。

高度なテキスト生成と、RPGとしての数値的なパラメータ管理が違和感なく融合したこのシステムは、チャット型ゲームの枠組みを大きく押し広げる、確かなポテンシャルを感じさせてくれた。次回は、このシステム的な完成度の高さと、AI×RPGが切り拓く新たな可能性について、今回乱れに乱れた理性を総動員して、もう少し真面目に深掘りしていく予定だ。まずは迫るクーケン島でのひと夏に向け、今すぐ事前登録を済ませて、強靭な理性でライザを迎え入れる準備をしておいてほしい。

『RyzaChat:AI ライザと創るあなただけのひと夏の夢物語』は8月18日配信予定。現在は事前登録を実施中だ。

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Junya Shimizu
Junya Shimizu

ローグライクが大好きです。映画や海外ドラマも好きなので、常に時間に追われています。

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