妖怪風呂屋経営ライフシム『Spirittea(スピリットティー)』発売初日に開発費回収。1週間で収益約1億5000万円を達成するヒットに

パブリッシャーNo More Robotsは11月21日、Cheesemaster Gamesが手がけた風呂屋経営ゲーム『Spirittea(スピリットティー)』について、発売から1週間で100万ドル(約1億5000万円)の収益を上げたことなどを明らかにした。

パブリッシャーNo More Robotsの代表Mike Rose氏は11月21日、Cheesemaster Gamesが手がけた風呂屋経営ゲーム『Spirittea(スピリットティー)』の売り上げなどのデータを公表。発売から1週間で100万ドル(約1億5000万円)の収益を上げ、すでに開発費を回収したことなどを明らかにした。

『Spirittea』は、田舎暮らしをしながら風呂屋を運営するライフシミュレーションゲームだ。ゲーム内は日本語表示に対応。日本風の世界を舞台とし、プレイヤーは都会からとある田舎町へと引っ越してきた主人公となり、住民と交流するなど日々の生活を送りながら、妖怪ともいえる精霊のための風呂屋を営む。

町には悪さをする精霊が存在し、プレイヤーは住民からの情報をもとにその居場所を突き止める。そして改心させると、風呂屋のお客になってくれる。風呂屋では、窯の火や湯の管理から、手ぬぐいの洗濯・乾燥、料理の提供などをこなす。また、精霊には相性や湯の好みなどがあり、どの精霊をどの湯船のどの場所に案内するかといったことにも気を配らなければならない。そして代金をもらい、それをもとに風呂屋を増築。さらなる精霊を探してお客を増やしていくのだ。

https://twitter.com/RaveofRavendale/status/1726625123548156204

本作は、PC(Steam/Microsoft Store)/Xbox One/Xbox Series X|S版が11月14日に、Nintendo Switch版が日本では11月16日に発売。販売元を務めたNo More Robotsの代表Mike Rose氏によると、それから1週間で収益は100万ドル(約1億5000万円)に達したという。特にNintendo Switch版が力強い売れ行きとのこと。発売初日には早くも開発費を回収しており、1週間経った時点では開発費の3倍の利益を得ることができたそうだ。

また、本作の累計プレイヤー数は15万人を記録。本作はXbox/PC Game Pass向けにも提供されており、同サービスでは10万人以上がプレイしているとのこと。これに関連してRose氏は、Xbox/PC Game Passを通じてプレイした人が、なぜかSteam/Nintendo Switch版を後で買い求める動きが多く聞かれると報告。奇妙ではあるが、面白い経験であると同氏は述べている。

ちなみに、本作の発売前にRose氏は筆者とのメールのやり取りのなかで、『Spirittea』は日本からのウィッシュリスト登録が非常に多いと語っていた。本作は、映画「千と千尋の神隠し」やアニメ「夏目友人帳」などから影響を受けて開発されたそうで、その和の雰囲気に興味をもったゲーマーが多かったのかもしれない。売り上げにも貢献したものと想像される。


このほかRose氏によると、No More Robotsが販売した作品はこれまでSteam版がよく売れ、その後数か月かけてコンソール版も売れていく傾向にあったという。しかし『Spirittea』においては、Nintendo Switch/Xbox One/Xbox Series X|S版の売り上げが現在80%を占め、Steam版がもっとも売れていないという逆転現象が起きているとのこと。

この背景についてRose氏は、Steamストアのここ数年の変化が影響したのではないかと指摘する。近年SteamではAAAタイトルのリリースが増え、ユーザーの注目もまたそうした作品に集まるように。結果として、そうしたAAAタイトルの少ないNintendo Switchにおいて、本作のような小規模作品に陽が当たるようになったのではないかと分析している。Nintendo Switchのダウンロードランキング上でも、本作は好調とのこと。

またRose氏は、本作はローンチ時期にYouTuberにまったく取り上げられなかったことも報告。動画を制作する代わりに金銭を要求してきたYouTuberはいたそうだが、同氏は拒否。それでも成功を収めることができたとし、結果に満足している様子である。同氏は、本作のプレイヤーに感謝の言葉を述べている。

https://twitter.com/RaveofRavendale/status/1726627109978968266

本作は、もともとは2022年に発売される予定だったが、Xbox/PC Game Passへの提供が決まったことで計画を見直したという。開発期間を延ばして本作をより巨大にし、改善を重ね、100時間以上分のコンテンツを収録することとなった。おそらく同サービスへの提供により、まとまったお金を確保できる保証を得られたことが背景にあるのだろう。結果として、その判断も本作の成功に繋がることとなったかもしれない。また、今後長期間にわたりアップデートを配信し、新たなコンテンツを追加していくそうだ。

『Spirittea(スピリットティー)』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Nintendo Switch/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。またSteamとNintendo Switchでは体験版も配信中だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

Articles: 6856