『スターフィールド』にて「熱心なファン」が、騒音系ストーカーであるとして注目集める。ねちっこくやかましく表明される重すぎる愛

 

Bethesda Softworksは9月6日、『Starfield(スターフィールド)』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam/Microsoft Store)/ Xbox Series X|Sで、PC/Xbox Game Pass向けにも提供されている。本作に登場するクルー(仲間)の一人「熱心なファン」の異様さが、国内外のユーザーから注目を浴び、笑いを誘っている様子だ。


『Starfield』は、『The Elder Scrolls』シリーズや『Fallout』シリーズの開発で知られるBethesda Game Studiosが手がけるRPGだ。本作では人類が太陽系外に進出している2330年の世界を舞台に、プレイヤーは希少なアーティファクトを求める宇宙探検家集団コンステレーションの一員として、広大な宇宙の星々を冒険することになる。

本作には100以上の星系に1000以上の惑星が存在し、プレイヤーはほぼすべての惑星について探索可能。また宇宙船にはさまざまなタイプが存在し、カスタマイズ・アップグレードが可能だ。プレイヤーキャラクターのカスタマイズ要素も充実。キャラのバックグラウンドも設定でき、初期スキルセットの選定に繋がる。それとは別にメリット/デメリットなどを含んだ特徴(Perk)による特殊な能力も取得できる。そうして作成したキャラクターで宇宙を旅する中では、プレイヤーに協力してくれるクルーを仲間にすることも可能となっている。


「熱心なファン」もそんなクルーの一人。その名のとおりプレイヤーの熱心なファンであり、そのほかの人物像は不明。ただただプレイヤーを敬い、コーヒーと紅茶が好きな謎の人物だ。熱心なファンを仲間にするには、キャラメイクの際に選べる特徴「崇拝される英雄」を備えている必要がある。この特徴を備えていれば、序盤のメインミッションを攻略後、町などを歩いているとどこからともなく熱心なファンが登場。プレイヤーに熱烈なラブコールを贈りつつ、仲間になろうとしてくる。

熱心なファンが備えているスキルは「隠匿ランク1」「重量挙げランク2」「漁り屋ランク1」の3つだ。特に重量挙げにより所持可能な質量がほかのクルーよりも多めで、心強い“荷物持ち”として活躍してくれることだろう。また漁り屋ランク1によりコンテナを探った際のクレジット量が増加。この効果はプレイヤーに適用されると見られ、懐のさびしい序盤には嬉しい効果である。またそもそもクルーの少ない序盤において苦労なく仲間にできる存在でもある。

ここまで見ると「崇拝される英雄」は取得しておいて損のない特徴のように思える。ただゲーム内の「崇拝される英雄」の説明を見るとファンは“厄介”と表現されていたり、「メリットはあるが……」と含みのある説明があったりと不穏。実際、熱心なファンにはステータス上では確認できない強烈な特徴がある。やたらとうるさいのだ。


プレイヤーは、旅に同行したり宇宙船に同乗したりする熱心なファンから、日常的にラブコールを浴びせられ続けることになる。「私はあなたという炎に飛び込む蛾」といった気味の悪い比喩表現を交えたり、側で空気を吸えることに感激して「分子一つ残さず吸い込まないと!」と情熱的に語ったり、あの手この手でプレイヤーへの強すぎる愛を伝えてくる。なお熱心なファンいわく、そこに恋愛感情はないそうだ。もっと“ピュア”な感情とのこと。

また本作では、船が離着陸する際などに搭乗しているクルーが発言することもある。ほかのクルーでは、その地でのエピソードや情報など比較的有益な話が聞けるのに対し、熱心なファンは基本的に何かにかこつけてプレイヤーを褒めることがほとんど。ほかのクルーを遮りつつ発言することさえある。そうして騒がしく、くどくどしい表現でプレイヤーに身勝手な情熱を伝え続ける熱心さは、良くも悪くも注目を浴びているようだ。


なお熱心なファンは、Bethesda Game Studiosの過去作『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』(以下、オブリビオン)のキャラ「熱狂的なファン」のセルフオマージュとして登場している。英語版では両作ともに名称がAdoring Fanであり、声優も同じCraig Sechler氏が担当している。見た目も上に尖らせた金髪などが似ており、発売前に公開された映像時点から注目を集めていた。ちなみに『オブリビオン』においては闘技場にてチャンピオンになることで仲間になるものの、熱心なだけで戦闘能力は有していなかった。『スターフィールド』では楽に仲間にすることが可能かつ戦闘力もあり、頼もしいキャラに出世したといえるだろう。うるさいことを除けば。

ちなみに熱心なファンは仲間としてのうるささだけでなく、初遭遇時に見せる異常な執着心も注目されている。たとえばこちらが宇宙服のジェットパックで高所に逃げても、瞬時に私服の上にジェットパックを装着して飛び上がってくる。さらに知り合ってもいないのに宇宙船にいつの間にか乗り込まれていたという報告も。プレイヤーに対し、熱心すぎて恐怖すら覚える執着を見せるようだ。

宇宙の旅路をやかましく彩って(?)くれる熱心なファン。賑やかなキャラクター性を魅力的とするユーザーもいる傍らで、うるさすぎて辟易とし始めたユーザーも一部いる様子。静かな旅を望む場合は会話によりクルーを解任するといった方法もあるので、怒りが爆発しないうちに別々の道を歩むのもいいだろう。あるいは“堪忍袋の緒が切れる”まで旅を共にするロールプレイも本作の遊び方のひとつかもしれない。


『Starfield(スターフィールド)』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに発売中。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。