『ファイナルファンタジーVII リバース』先行プレイ感想。熱中の9時間、27年の時を経て現れた理想の『FF7』体験は、筆者を引き込んで離さない

 

さかのぼること1997年、PS1向けにリリースされた『ファイナルファンタジーVII』(以下、FF7)は、多くの人々が3Dという表現と重厚な物語に魅了され、ゲームの歴史に名を刻んだタイトルとして今なお高い評価を受けているといって過言ではないだろう。派生作品も多数制作され、『FF7』自体が1つの大きなサーガとして世界に爪痕を残している。そのなかでも2020年に発売された 『ファイナルファンタジーVII リメイク』(以下、FF7 リメイク)は、『FF7』序盤の大きな山場であるミッドガル脱出までを、膨大なスケールと密度で再創造した。

『FF7 リメイク』の続編となる本作『ファイナルファンタジーVII リバース』(以下、FF7 リバース)は、ミッドガル脱出からオリジナル版においてのディスク1の最後にして、プレイヤーへ大きな衝撃を与えた「忘らるる都」までが描かれる。今回は9時間の範囲で先行試遊プレイの機会をいただいたため、本記事ではプレイして抱いた『FF7 リバース』の感想をお伝えしたい。

豊かにリアルに表現された当時の体験

まず試遊を開始して印象的だったのは、世界の広大さと色鮮やかさだ。『FF7 リメイク』ではミッドガルらしい機械的で薄暗いエリアが広がっていたが、本作『FF7 リバース』の舞台は周りを見渡せばどこまでも続く大地と青く澄んだ空、彩り豊かな花々が咲き乱れているのだ。

オリジナル版でも感じられたミッドガル脱出後、ワールドマップに足を踏み入れた時の感激や解放感がより強調されている。当時テレビの向こう側に想像していた『FF7』の芳醇な世界が、まさに目の前に現れたという感覚で、感動を禁じ得なかった。

『ファイナルファンタジーVII』


見えている範囲すべてに行けるというオープンワールドではなく、あくまでマップの端があるワイドリニアだが、その果てしなさはプレイヤーの探求心をくすぐる。オリジナル版だけでなく、前作『FF7 リメイク』に多かった一本道でリニアな進行との差異もあり、これからの冒険に対する期待感を高めている。


「トレジャースポット」というフィールドに点在する小規模な探索エリアが用意されており、どうやらワールドマップでの宝箱(街中・ダンジョン除く)はそのエリア内に指定された数のみ配置されているようだ。プレイヤーのなかには宝箱をすべて集めたいが、広大なマップの隅から隅までを目を皿にして探索するのが、あまりにもストレスという人も多いだろう。本作では宝箱が存在する範囲と数がはじめから提示されていることで、プレイヤーのわずらわしさを軽減しながら適度に探索欲を満たすのに成功している。


もちろん世界の端から端までじっくり巡りたいプレイヤーのためにも、本作で新たに追加されたアイテムクラフト用の素材があちこちに落ちていたり、モーグリショップで様々なアイテムと交換できる「モーグリメダル」が入った箱などがフィールド上の様々な場所に配置されていたりする。

さらに探索するなかで「チョコボストップ」というファストトラベルポイントの解放や、前作にも登場したチャドリーから依頼され、各地の通信塔起動などをしながら「ワールドレポート」を埋めていくと便利なマテリアを生成することができるといった要素も用意されている。つまり探索したい人にはした分だけしっかりとうれしい要素があるが、探索はほどほどでストーリーを早く進めたい人でも冒険に支障はないという、ユーザーのゲームに対する意欲のグラデーションを許容するデザインになっているのは白眉だ。

新システムで戦略的でメリハリの効いたバトルに進化

基本的なバトルシステムは、コマンドバトルとアクションを融合させた『FF7 リメイク』と同一。『FF』らしくATBゲージの管理をしながら、通常攻撃やアビリティを駆使し、バーストゲージを溜めていく。そして弱点属性での攻撃や特殊条件を満たして敵のヒート状態を誘い、プレイヤーが有利になるように立ちまわるというのが基本だ。


バトルの大きな変更点は「連携アクション」と「連携アビリティ」だろう。まず、「連携アクション」はガード中に可能なATBゲージを消費しない行動だ。『FF7 リメイク』におけるATBゲージが溜まるまで、通常攻撃しかできることがないという状況を防止できる。またガードという行動のメリットが上昇することで、前作以上にバトル中の敵からの攻撃を防ぐ手段として、回避とどちらを選ぶべきかリアルタイムで思考し続けなければならない、戦略性の高いバトルへと進化している。


そして「連携アビリティ」は、ATBゲージを消費することで溜まっていく「連携ゲージ」を消費することで発動する必殺技。強力無比な効果を発揮するとともに、専用のカットインが挿入されるのが特徴。バトル中の演出に動きが生まれ操作しているだけでも楽しいものに仕上がっている。また連携ゲージはパーティー共有ではなく個人単位で溜まるため、それぞれのキャラクターでアビリティを使わねばならないのもポイント。前作で筆者はクラウドばかりを使用していた記憶があるが、本作では「連携アビリティ」を使うために、いろいろなパーティーメンバーも操作してみようと思わせる自然な導線になっていると感じた。


以上の戦略的かつプレイヤーの裁量が大きい新システムのおかげで、『FF7 リメイク』で感じた人も多いであろう、ヒート状態を狙いバーストを繰り返すという作業感強めのサイクルにメリハリが生まれていた。そして本作の重要なテーマの1つでもある「仲間との冒険」という要素が強調される効果もあり、より仲間への愛着も増すだろう。

密度と解像度の高まった『FF7』体験は変わらず味わえる

自分にとっての『FF7 リメイク』の大きな魅力は、オリジナル版からディテールを膨らませた密度の濃いストーリー体験だった。本作で訪れるカームという街では、オリジナル版を尊重しながらも世界観をより鮮明にするような、新たなストーリーや濃密なイベントが用意されている。


たとえば新キャラクターとしてブロードなるキャラが存在。この人物は宿屋の主人であるが、実は反神羅カンパニーでアバランチ本家と繋がりがある。オリジナル版には影も形もないキャラクターだが、描かれていなかっただけで舞台のどこかにはいたのであろうと想像ができる。不必要なものが余分に足され『FF7』のイメージを損なう……といったものではなく、適切な形で物語の行間が埋められたという感覚であり、オリジナル版への解像度が高まるのだ。

作中で流行中のカードゲーム「クイーンズ・ブラッド」で遊べたり、なんでも屋クエストで街の問題を解決したりするサイドコンテンツも充実している。クエストそれぞれに異なるミニゲームや解決方法が用意されており、プレイヤーを飽きさせることがない。こうしたサブ要素を通して、ゲームへの掘り下げやインタラクション手段が豊富に用意されていることで、『FF7 リバース』への手触りが感じられ、より一層没入感が増している。


今回の試遊を通して感じたのは、なによりもこれからはじまる冒険へのワクワク感だ。まだ回収できていない要素や、まだ提示されていないシステムが多くあるだろう。だがこの最序盤を少し触っただけで、これほどまでに面白いのだ。プレイ前に感じていたミッドガル脱出後の世界をどうやって表現するのだろうという不安は、そのまま期待へと変換されている。『FF7 リバース』に少しでも興味を持っている方は、ぜひ触れてクラウドたちの物語の行く末を見守ってほしいと思う。

弊誌では本記事と同時に、試遊で気づいた40項目を紹介する記事を掲載しているほか、録画できた試遊範囲の動画をYouTubeで紹介している。こちらもぜひチェックいただけると幸いだ。

『ファイナルファンタジーVII リバース』は、PS5向けに2月29日発売予定。

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