ラセングルが現在プランナーを募集中だ。ラセングルといえば、『Fate/Grand Order』(以下、FGO)の開発・運営を担っている会社である。ディライトワークスからゲーム事業を承継し、ラセングルとなってはや1年。組織改革を経て、現在は積極的に人材を採用しているようである。
そして、ラセングルで今特に求められているのがプランナーだ。『FGO』を担当するスタッフはもちろん、さまざまなプロジェクトを担うプランナーを募集しているという。一方で、ラセングルでプランナーとして仕事をする上では、どのようなスキルを求められるか、想像がつきづらい人もいるかもしれない。ということで、今回は叶良樹氏と宮前公彦氏に話をうかがった。
叶氏といえば、今や『FGO』の顔ともいえる第2部開発ディレクター。宮前氏といえば、『メギド72』のプロデューサーとしても実績を残したクリエイター。現在はジェネラルマネージャーとしてクリエイティブDiv.の開発組織を統括しているという。ラセングルのゲーム開発の中核を担う2名に、濃厚にこれまでのキャリアとゲームプランナー論を語ってもらった。なお、ラセングルのプランナー職は、以下の職種を募集している。
・ゲームディレクター
・ゲームデザイナー[応募はゲームプランナーページより]
・ゲームプランナー
・レベルデザイナー[応募はゲームプランナーページより]
・スクリプター
・プロジェクトマネージャー
・運営プランナー[応募はゲームプランナーページより]
・オープンポジション(企画職)
上記以外のポジションも数多く募集中。以下の求人サイトをチェック
「株式会社ラセングルリクルートサイト」
──自己紹介をお願いします。
叶良樹氏(以下、叶):
叶と申します。プログラマーとしてセガに入社し15年ほど勤務していました。セガではプログラマーとして4年、その後リードプランナーとして2作品を担当し、残りのキャリアはディレクターとして仕事をしていました。セガを退職後GameBankに転職し、1年ほど新規未発表タイトルのディレクションを行い、その後、一緒に仕事をしたことで縁のあった庄司さん、バスター石倉さんの誘いで、ディライトワークスに入社しました。
宮前公彦氏(以下、宮前):
宮前です。1999年に当時のスクウェアに3Dデザイナーとして入社し、10年間3D背景のスペシャリストとして活動しました。その後モバイルゲームに興味を持ちエイチームに転職、フィーチャーフォンやスマホのゲーム開発、運営に携わりました。約6年エイチームに在籍した後、DeNAに転職して『メギド72』というタイトルの開発・運営を担当し、デザイン部の部長や企画部の副部長も兼務していました。2021年の3月からディライトワークスに入社し、今3年目になります。
ベテラン2人が考える“プランナーとは”
──お二方の現在関わられている業務を具体的に教えてください。
叶:
私は『FGO』の開発ディレクションをメインに活動しています。具体的には、TYPE-MOONさんとともに『FGO』の未来を設計し、その設計をラセングルとTYPE-MOONさんとの間で調整する仕事です。開発内での進行のやり方やTYPE-MOONさんとのクオリティのコントロール等も含めて、現実的にできるラインと目指すラインを調整するのがメインの業務になります。
──レベルデザイン含めて、とにかく多岐に渡る部分に携わられている印象です。今も仕様書を書かれてたり……?
叶:
さすがに『FGO』では仕様書は書いてないです(笑)。本当に手が足りない時ぐらいですね。あ、でも聖杯戦線はいまだに自分で設計してたりするな……。あ、他タイトルでも仕様書は書いてるかもな……。
宮前:
やってる(笑)。
叶:
(社長の)小野さんに怒られることもあります(笑)。でも、楽しいんですよ。仕様書を書くの。
──バリバリ最前線ですね。宮前さんの業務について教えてください。
宮前:
僕は主に開発の統括として、開発課題への対応や社内の調整を行っています。具体的にはクリエイティブDiv.の各スタジオのGame Design Studio、Tech Studio、Design Studioの横の繋がりをスムーズに行えるよう開発体制を構築したり、事業計画の策定、重要KPIの選定、コスト管理、あとは採用などにも関わっています。少し前は開発スケジュール方針策定なども対応していましたが、それは叶さんが調整したいということで、現在は叶さんにお願いしています。
──宮前さんが入られてから『FGO』の運営の方向性が変わったと評するユーザーもいます。
宮前:
サービスの方針などは我々の一存では決まるわけではなく、多くの関係者との対話をしっかり重ねています。キャンペーン施策などではメンバーの壁打ち相手としてネタ出しをする時はあります。敵の強さなどはFGOでは口出しはしていません。キャンペーンについても、決断するのは担当スタッフですし、相談役という感じです。社内の雰囲気づくりには気にかけているのでそういったことが影響しているならうれしいですね。
叶:
運営の方向性については、宮前さんが入ったことで数字への意識もより強くなったという事は大きいかもしれません。というのも、宮前さんには、分析の部分でアドバイスをしてもらっています。ユーザーの皆さんがどういう動きをしていて、それが数字としてどう表れるのか。ちゃんと分析した上で、『FGO』をよりプレイしやすくするための課題を見つけてもらっています。それに対して僕らで解決方法を見つけて対応していく、そうしたことをやり続け今の運営が構築されています。今は数字での結果をしっかりと見ながら、いい方向に活用していこうというスタンスです。
──先ほど自己紹介の中でもありましたが、叶さんのもともとのキャリアはプログラマー、宮前さんはアーティストとのことでした。プランナー業に携わったきっかけは何でしたか。
叶:
プログラミングを大学から大学院在学中の6年間ずっとやっていました。セガに入社した後も4年間プログラマーをやっていたのですが、実はセガ時代の最後の時期にはプログラムのディレクションもやらせてもらっていました。ポジションとしては少し上の、プログラムディレクターのような位置づけです。
僕は新卒の頃から結構人に意見を言うタイプで。うるさいぐらいの(笑)。そういう事をしていたので、その頃から将来ディレクターとかやった方がいいかも、と考えていました。そんな折にプランナーのマネージャーと飲む機会があり、「俺、もうちょっとゲームに対して口を出したいんですよね。」と話をしてみたら、上に伝えておくと。それでリードプランナーに転向しました。
──専門的なスキルが必要なプログラマーから、全体視点をもって実行するプランナーへの転向はキャリアにも大きな影響があると思います。懸念はなかったのでしょうか。
叶:
自分のキャリアとして20~30年プログラマーとして仕事を全うする以外の道を考えた時に、ゲームを面白くするアイデアとかコミュニケーション能力とか、そういう面だとこの人たちにも負けていないと思って。それがディレクターに転向しようと思ったきっかけでした。
僕は人を楽しませるのが好きなんです。セガ時代にあるプロジェクトでエフェクトの担当をしていた時がありました。ある日、デザイナーからこんなエフェクトを入れてほしい、とテクスチャーを1枚渡されたんです。その日、徹夜して頑張って作りました。次の日の朝にデザイナーが、ビューワー上に発注したエフェクトが出ているのを見て「あ!エフェクト入ってんじゃん!」と驚いてました。嬉しい反応でしたね。
僕は、そういうサプライズを楽しんでやるタイプなんです。人が要求するさらにその上の楽しみを提供するのが得意だったので、そういうのがディレクター業に活きるかもと思っていました。
プログラマーではなくプランナーとして手がけた作品は『アウトラン2SP』です。続いて『アフターバーナー クライマックス』でリードプランナーを担当しました。そこでの仕事が認められ、『ボーダーブレイク』のディレクターを務めました。『ボーダーブレイク』は、原案書を自分が書きセガの上層部にプレゼンしにいったので、想い出深いですね。
──ありがとうございます。若いころからご自身を客観視してキャリア選択をされていたんですね。
叶:
仕事を取ってくるタイプの人たちは、会社内での自分のポジションを考えて、自己ブランディングを率先してやっている気がします。だからこそ、いろんな人からお願いが飛んでくるんじゃないかな。宮前さんもそういうタイプだと思っています。
宮前:
そうかもしれませんね。キャリアの観点の話に戻すと、僕はちょっと叶さんとキャリアの毛色が違うかも。僕はスクエニに入ったときは『フロントミッション』をやりたかったんです。フロム・ソフトウェアの『アーマードコア』みたいなロボットのデザインをやりたくて。
叶:
僕、『ボーダーブレイク』やってましたし、PS2版『超時空要塞マクロス』もやってたので、かすってますね!
──ち、近いような、遠いような。
宮前:
じゃあロボゲー作りますか(笑)。というのは置いておいて、入社後研修のときに作った背景が評価されて、『ファイナルファンタジー』の背景チームに配属されて、結果としてそこから背景のスペシャリストになりました。その仕事も楽しかったんですが、今思えばやりたいことに届かず、ロボゲーをやるチャンスをもらいたくて背景の仕事をやっていたら、背景のスキルが伸びたという感じです。
──アーティストから始めた宮前さんは、今では数字や分析を主に担当されていると。
宮前:
数字見るの、好きなんですよね(笑)。
──(笑)。宮前さんがプランナー業務を始めたきっかけはなんでしょうか。
宮前:
エイチーム時代の上司からの依頼です。当時モバイルゲームはまだ少人数でゲームを創っていて、デザイナーの僕以外はほぼ全員プログラマーという状況だったんです。プランニングはみんなで行い、仕様書はプログラマーが書いていました。プロジェクトを増やしていくにあたり、開発経験がある人に上に立ってほしいからプランナー兼マネージャーをやってほしいと依頼され、結果引き受けました。当時のプランナーはなんでも屋だったので、企画書を作って社内外の関係者と折衝をしたり、売上をまとめたり、サービスの判断をしたり。自分がデザイナーじゃなくなることに対する違和感はありましたが、やるしかないという状況でしたね。もちろん職場自体はすごくいい職場でした。計画をすることも好きなので、楽しんでやっていました。
その後、大阪の新設拠点で開発の責任者を担当することになりました。その頃にはモバイルゲームも徐々にスマホのゲームへとリッチ化が進んでいて、チームの規模も大きくなっていきました。専属のグラフィッカーも増えたので、彼らに任せる仕事を多くして、自分はディレクションやプロデュースに本格的にシフトしていった感じです。ゲーム性と収益のバランスを考えながら取捨選択をしたり決断したりするのが好きなので、この頃にはプランナーも向いているなと感じていました。
──ありがとうございます。お二方は現在でもプログラマーやアーティスト業務をされることはあるのでしょうか。
叶:
プログラムの中身は見ないですね。たまに作業ツールを作ったりはします。
宮前:
叶さんはChatworkのプラグインを作って特許を取ってるんですよ(笑)。
叶:
週末に趣味でJavaScriptを書いて、みんなにサプライズで「こんな便利なやつ作ったからインストールしてね」と送って。みんな使ってくれています。みんな驚くだろうなと思って作りました。そういうのが好きなんですよ(笑)。
宮前:
僕はこの会社に入ってからは、ほぼないですね。ただワークフローの提案をしたり、グラフィッカーから仕事の相談を受けた時にキャリアの話とか考え方の話はします。
──ありがとうございます。お二方はご自身をどういうタイプのプランナーであると思われますか。
叶:
僕自身は何かを深くやるタイプじゃなく広く浅くタイプなので、「何でも屋」だと思います。お願いされたことは何でもやる、技術を吸収して、何かしらの結果をアウトプットとして出すタイプです。人と人を繋げるのが得意だからこそ、何でもやらなければいけないと思います。そこからさらに深堀りすることに関しては、メンバーに手伝ってもらうことが多いです。
宮前:
僕は調整役ですね。レベルデザインができるタイプではないので、フィニッシャーというよりは起点になったり整理する役割が多いです。
叶:
お互いに総じてコトとコトを繋げる接着剤的な感じですね。ただモノ創りのタイプで言うと、僕と宮前さんはまったく別種だと感じます。
宮前:
そうですね、僕は事業計画の数字を作ることとか好きなんですけど、叶さんはまた別の観点に重きをおいていたりしますよね。
叶:
僕はどちらかというと、感覚から入るタイプなんですよ(笑)。受け手の顔とか心を先に定義するんです。たとえばゲームの仕様を考えるときに、まずはユーザーの皆さんの顔が喜んでるかどうかを考えます。その感覚が正しいかどうか、ユーザーの皆さんが求める表現にどうやったらたどり着けるかを、最初に頭の中で想像する。「ここなら絶対クスクス笑ってくれるだろうな」とか「ここなら飛び跳ねて喜んでるぞ」みたいなイメージをつけてから、そこの道筋に必要な要素を論理的に具体化していく感じです。
──そういったユーザーさんが喜んでいる姿が想像できるというのは、経験則で培ったものなのでしょうか。
叶:
そこは経験則ですね。ただ、プログラマーとしての経験則ではないような気がします。実は新卒から数年間、プランナーから来た仕様書を「こうやった方が絶対面白いよ」って、僕の方で書き直してプログラミングしてたんです。その当時からそれができたのは、また昔からいろいろやっていたからだなと思っています。
ちょっと過去の話になりますが、小学生の時、僕は大迷路大会を企画したことがありました。数人で迷路を作って、みんなに体育館に集まってもらって、誰が一番早くゴールできるか競うみたいなイベントです。ゴールできた人は表彰したりして、小学生の時からそういう企画をやっていました。
中学のときは文化委員長で、そこでもイベントやっていましたね。お祭り大好きだから、普段の生活の中でも人を楽しませることを結構やっていて、経験則でいうとそこで「誰かが喜んでくれることを想像する」スキルが培われているかもしれないですね。
──今の『FGO』にもその思想は反映されていますね。宮前さんはいかがでしょう。叶さんのようにお客さんのリアクションを想像されることはありますか?
宮前:
あります。お客さんに限らず、相手がどうリアクションするか考えながら日々過ごしているところもありますし、こういうことをすると相手がこうなるだろうな、と考えますね。さっきの叶さんの話に通じる部分かもしれないですけど、僕も休みの日に知人を呼んでおもてなしするとか好きです。僕料理好きなので。
叶:
おや、僕宮前邸に呼ばれてないですよ?
宮前:
……まあコロナだったしね。
一同:
(笑)。
──お二方の信頼関係が伝わってきます。そんなお二方が考える、お互いの長所といいますか、尊敬できる部分はどこでしょうか。
叶:
宮前さんは人とのコミュニケーションをものすごくクイックに取られるので、そこがすごいと思います。僕はプロジェクトの中ではディレクターを、組織の中ではGame Design Studioの副ジェネラルマネージャーもやっています。作業量も管理するメンバーも多いので、正直手一杯な状況でした。そこを宮前さんがフォローしてくれたからこそ、なんとかうまくできていると思います。
宮前:
叶さんは本当にリーダー気質が強い人だと思います。リーダーに一番大事なところである「やりたい」気持ちがすごく強い人だなと。いろいろなことに口出しするけど、甘噛みじゃなくちゃんとやるので、尊敬しています。僕も大概自分のことを働く方だと思うんですけど、その僕から見ても「すごく働くな」と思いますね。
叶:
僕は猪突猛進型なんですよ。切り込み隊長といいますか、今担当している『FGO』だけでなくほかのプロジェクトでも、向かうべき方向だっていうところにとにかく突っ込んでみる。突っ込んだ後をみんなで整理し動かしていく。
宮前:
僕はその調整役です(笑)。それぞれが得意な領域とやりたい領域がちょっとずつ違っているので、そういう意味でもお互い噛み合っていると思っています。叶さんがやろうとしていることに対してこっちもサポートしていけば、お客さんも含めてラセングルが前に行く気がしています。
ラセングルが求めるプランナーとは
──ここからは、今応募されているプランナーの業務についてお聞きさせていただきます。ラセングルの業務内容としては、プランナーはどういう仕事をするのでしょうか。
叶:
プランナーの枠の中でも役割が細分化されています。中途の方とか経験者に関しては、ゲームデザイン、レベルデザイン、スクリプトの役割を担っていただいています。
たとえばゲームデザインであれば、仕様書に書いた設計をエンジニアとデザイナーと相談しながら、具体的な設計にすべくコミュニケーションをとって進めていく。その後実装されたデザインを確認する。それが想定と違った、何か仕様の漏れがあった場合はその都度調整していく役割です。最終的なアウトプットが出るまでそのループを繰り返していくのがラセングルのゲームデザインの業務です。
レベルデザインでいうと、いわゆるゲームのバランスを調整する役割になっていて、ゲーム内のボスやエネミーの強さ、サーヴァントのパラメータに関して等、その間のバランスを取る仕事がインゲーム側のレベルデザインです。
ほかにアウトゲーム側のレベルデザインがあるのですが、たとえば皆さんゲームをやっていると「この大変さでこの報酬か…」と感じることがあると思います。そういう報酬設計を調整する役割が、アウトゲーム側です。ユーザーの皆さんの今の報酬の所持量含めて「このイベントでこのぐらいの報酬を取れるといいよね」というのを考え、その報酬を全体のクエストだったりミッションだったりにどう割り振るかを設計するのがアウトゲーム。そのふたつがレベルデザインのチームです。
次にスクリプトです。『FGO』ではストーリーの魅せ方にとてもこだわっています。最近はアドベンチャーパート、トークパートの表現力に力を入れています。ライターさんから来た純粋な文字ベースのデータに演出を想像してライターさんとすり合わし、表現を膨らませてユーザーの皆さんに視覚的に伝えていく仕事です。
あとはプロジェクトマネージャー(PM)ですね。開発全体のタスクの進行管理をしていく仕事です。『FGO』で言うと各施策が全部同時進行で走っているんですが、各施策にPMがついて管理しています。アプリ申請からリリースまで、データの入力までを追いながら調整するのがPMです。
さらに、運営企画というチームがあります。キャンペーンを設計したり、聖晶石召喚の計画を立てたりするチームです。分析班と連携してどういうキャンペーンが必要なのか、どういう召喚が今求められているかを、データをもとに設計していくチームです。
最後に、シナリオマネジメントというチームがあります。これはラセングルが独自に作っているユニットです。ライターさんとシナリオのやり取りをするほか、音声収録の立会い、その音声データとシナリオデータを管理するチームです。シナリオマネジメントチームが最初にシナリオでどういうデータが必要になりそうかを分析し、スクリプト班と共にシナリオを組み上げていくための素材を割り出していきます。と、ざっと紹介しましたが、これが今のラセングルのプランナーのそれぞれの役割です。
宮前:
『FGO』チームだとそんな感じです。『FGO』海外版チームや、『MELTY BLOOD: TYPE LUMINA』とか『魔法使いの夜』などのプロジェクトはもう少し規模が小さいので、そこは細かく分けず全体で動いている感じですね。
──かなり細分化されているんですね。ちなみに、ラセングルだからこそ味わえる、プランナー職の魅力はなんだと思いますか。
叶:
『FGO』でいうと大量のシナリオを扱える点ですね。『FGO』ではキャラクターとストーリーが重要です。サーヴァントの魅せ方にすべてのこだわりを込めて開発しています。このこだわりはおそらく他タイトル以上じゃないかなと。
──今特に求めている部分、強化したいと考えている職種は何でしょう。
叶:
今はゲームデザインですね。なぜかというと、もっと新規タイトルを創りたいからです。もちろんほかの職種も増やしていきたいんですが、やっぱりすべての起点となるのがゲームデザインなので、より強化したいと思っています。
──求めるのは「ソーシャルゲーム」のゲームデザイナーではない?
叶:
はい、ソーシャルゲームに限定したゲームデザイナーを求めているわけではないです。というのも、例えば『FGO』であればかなり特殊な運営をしていて、特にイベントはその都度まったく新しいゲーム性になることが多いです。同じ枠組みでシナリオとサーヴァントを変えてやるのではなく、ゼロからすべてのイベントを創っている感じです。TYPE-MOONさんもどんどん新しい驚きを取り入れていきたいという想いを持たれているので、我々も毎回新しいイベント機能を提案して議論しています。なので「ソーシャルゲーム」というカテゴリーに縛られた考え方だとギャップを感じてしまうかもしれません。
また、ソーシャルゲームに限らない新たなゲーム開発のプロジェクトも進んでいるので、そういう理由から「ソーシャルゲームのゲームデザイナー」には限定していません。
──では今、ラセングルで求めているプランナーとは、ズバリどのような人材なのでしょうか。
宮前:
中途社員には、プロフェッショナルとして対応できる幅や責任感。考えて自走できる、やりきれるマインドがある方ですね。働き方が多様化していますが、多くの仲間と協働していることや、業界でもトップクラスの人気タイトルなのでその責任を楽しみ、やり遂げる力は必要になると思います。ゲームは一人では創れないので、ケアし合う姿勢もほしいですね。
叶:
私が欲しい人材をズバリ言うと、口出しするプランナーです。以前のインタビューで「考えられる人」と言ったのですが変わっていません。考えた末、自分の考えがその議題に対して異なる場合にちゃんと主張するタイプ――そういう物を言うプランナーが欲しいですね。もちろん今のラセングルにそういったメンバーはいますが、『FGO』の運営を長い間やっているので、TYPE-MOONさんと全体のグランドスケジュールを作ったうえでモノ創りをしている都合上、トップダウンな形になりがちなんです。
『FGO』は作業量が多いので、決められたスケジュールに合わせて、各分野のメンバーが個々で生産していく形が多くなっているんですが、それだとメンバー同士の本心が引き出しにくかったりするんです。物を創る過程においては、もっとお互いに言い合いながら創りあげていきたいな、という話をつい最近もチーム内でしていました。
──難しいお話ですね。相手との信頼がないとはっきり言い合えないし、議論しやすい環境がないと議論しづらいと思います。活発な意見交換を求める以上、そういう環境はご用意されているのでしょうか。
叶:
今は組織が大きいので、マネージャーやリーダーが動いて、開発フローの課題をひとつひとつ解消しています。議論する場は、それぞれのメンバーが作っている状況です。みんなが何も言わず業務だけやっているとストレスがたまります。特にリモートワーク下だと顕著ですよね。そのため、意見を吐き出せる場が必要だとは考えています。最終的に意見が食い違った場合は「ごめん、最後叶が決めるから」と言って、私が決断することはあります。でもやっぱりみんなが意見を言ってくれないと、今どういうふうに思っているのかがわからなくなってしまうので、どんどん言えるように整備はしています。
宮前:
一般的にも、自身の意見を抱え込んでしまい、善意で動く人たちが割を食っている状況も事実としてありますよね。何が駄目だったのか、どう思ってるのか、それを話した上で、双方の視点でどうしていくかという話をしています。意見を出してもらい、なぜそう思ったのかを伝え、その中でどういうふうに次の手を打つかが重要だと思います。叶さんが言っているように、気兼ねなく議論できる環境が一番いいと思います。
──ありがとうございます。ではお二方が考える、プランナーという職業に求められる資質とは何でしょうか。
叶:
僕は人の心を読む、心を理解できるかという部分が重要だと思います。「面白さを創る」ということはプランナーの花形の部分であり重要な部分ではあるんですけど、そのもう一歩その先をイメージできるかということが重要ですね。
たとえば仕様書ひとつ書くにも僕なりのこだわりがあるんです。仕様書を誰が一番見るかと言えば、エンジニアが一番見るわけですよね。エンジニアがこの仕様書をちゃんと理解して作ってくれない限り、自分がやりたいことができないじゃないですか。であれば仕様書も、いかにエンジニアが見やすく、かつ読み間違えないような文章で書くかをこだわるべきだと思っています。こういった細かい事でも、見ている人、受ける人、それを発注する発注先とか、ユーザーの皆さんがどう思うかという、もう一歩先をイメージできるかが重要だと思っています。
──今のお話を聞くと、叶さんのメールはとても詳細に書かれているようなイメージなのかなと思いました。
叶:
むしろ逆で、どシンプルです。誤解されないような言葉選びをしつつも、簡潔にしてます。
──宮前さんは何を重視されますか。
宮前:
僕は対応力だと思っています。考えの軸として2つあると思うんですよ。自分が面白いと思う軸と、求められているものに対してどうアンサーするかの軸。企画って自分が思った通りに進まないことが多いので、そのときにいかに柔軟に対応できるかが重要です。最初の軸を再調整する場合もあれば、振り出しに戻して考え直すこともある、その時の気持ちの持っていき方や思考も含めて、対応できるかどうかだと思っています。
知識が必要な職業でもありますが、知識は必要に応じてインプットしていけばいい。知識が必要だと思った時に、先んじて吸収しにいけるかどうかを判断するのも対応力だと思いますし、柔軟性だと思います。最終的に創ったモノを出すときに「言われたからこうしました」じゃなく、「ここが面白いんです」とか「こうだからこう楽しんでもらえるんです」という本人のアンサーがあれば、あらゆることに対応できるんじゃないかなと思います。
──対応力は、ほかの言い方でいうとどういう能力でしょうか。
宮前:
目標や理想には必ず課題があり、各課題には解決すべきゴールがあって、そこにたどり着くまでの時間がある。その中で、求められることを逆算して取捨選択していく力でしょうか。対応力は基本的に場数によって培われるものだと考えています。
叶:
僕は苦境に立つことが多いんですが、そのストレスで潰れてしまわないことを自覚しています。それは経験によって対応力が鍛えられていて、突破の選択肢を多く持っているからかなと思っています。経験によって選択肢をたくさん持つことも対応力のひとつかもしれません。それと僕はできないことをできないとはっきり言うんです。そこは素直に助けてもらう。そういう時にヘルプできるか、そしてヘルプしてくれる仲間を繋げる力も、対応力といえるかもしれません。
──ありがとうございます。お二方の話を聞いていると、ラセングルにおいてはゲームプランナーとしてまずマインドや志が重要なんだなと。逆にゲーム設計の能力はそれほど問われることはないのでしょうか。
叶:
当然能力も重要です。特に中途採用の方は得意な部分を伸ばしてもらうのがいいと思っています。僕の経験値として、ある一定のフェーズからは幅広く伸ばすのではなく、その人が得意なところを伸ばして一級品になっていくキャリアの積み方がいいと思っているので、面接では得意なところを引き出して見させていただいてます。
──メンタリティとして共感性や対応力を重視しつつ、スキル面では特化した部分を面接で見つけて、そこを伸ばしていくという採用が多いということでしょうか。
叶:
中途採用の場合はそういったケースが多いです。
宮前:
年齢の高い方の場合はプランナーの経験値を問う時もあります。ある程度の規模感の開発経験であったり、自身のアイデアをどう実現してきたかなどもありますが、成功だけでなく、過去にどんな失敗がありそれを今はどう受け止めているかなど。決してヒット作に関わってきたことだけが重要ではなく、これまでを活かしてどう成長していきたいかが重要で、それがラセングルの成長とフィットしそうかを考えています。
叶:
次のステップに進みたい方には、面接で芽があるかどうかを見させていただきます。たとえば今まで機会がなかったけどマネジメントをやりたいという場合には、過去のマネジメントに関する経験のお話を伺ったりします。プロジェクトを組閣してきたとか、メンバーの評価をしてきたとか。そういう話を色々な切り口で聞かせていただいていますね。
──採用されたプランナーはどのプロジェクトにどのようにアサインされていくのでしょうか。
叶:
はっきりと『FGO』に携わりたいという方もいらっしゃるので、その方にはどのポジションがいいかを伺い、過去の経験や実績からマッチするかどうかを見させてもらっています。新規プロジェクトでの応募については、ラセングルとして取り組んでいく開発方針とご経験やスキルがマッチするかどうかを見させてもらっています。
──面接の段階である程度アサイン先のイメージが決まっているのですね。逆に言うと応募する人は、どこに当てはめてもらうかを意識すれば良いということでしょうか。
叶:
そうですね。やりたいことを具体的に言っていただければ、内定後のオファー時に具体的にご説明し、ご入社いただけるかどうかを判断してもらいます。
進むリモートワーク、課題と対応はどこまで進んだのか
──ここからはリモートに関するお話をうかがっていきます。ラセングルは積極的にリモートワークを取り入れられていると以前のインタビューでもお話しいただいたのですが、現在のリモートワークの状況について教えてください。
叶:
約9割のメンバーがリモートで業務を行っています。会社に人がいません(笑)。
宮前:
基本的にはリモート勤務のため、ミーティング等会話を行う場合は、カメラをオンにしてコミュニケーションを行うことで解決しますし、ホワイトボードで何か書きながらやるようなケースもできるだけ共有ツールを使いながら議論しているので、ある程度リモート化できています。
──リモートワークに最適化できていると感じますか。
叶:
はい。ただ全員が出社していた時にはできていたことが、リモートになってできていない部分も残っています。オフィス勤務だったらこの問題は発生しなかっただろうなという部分はまだまだありますね。
宮前:
例えば、困っているメンバーにひと声かけてあげるという文化は難しくなったと思います。僕がこの会社に入った時には既にリモート環境下だったので、前がどうだったかわからない部分はありますが。リモートワークでは、手伝ってくれと言えないメンバーに通りすがりに「手伝ってあげようか?」と声をかけることができないんです。
叶:
それはありますね。メンバーの体調とかも直接顔が見れないと分かりづらいところはあります。オンラインだとライトの映り方で全然違うように見えるじゃないですか、疲れ具合とか。そういったところが見えづらいのは、なかなか難しい所だなと思います。
──以前エンジニアチームにインタビューさせていただいたときに、ちょっとした相談がしやすいよう毎日の会議の中で時間を作るなど、いろいろと工夫をされていると伺いました。プランナーチームはどのような対策をされていますか。
叶:
プロジェクトの序盤など細かい確認や調整が発生する時は対面でコミュニケーションを取るようにしています。逆に言うと『FGO』の開発・運営がリモート環境下で成り立っているのは、運営タイトルだからこそですね。イベントごとに遊び方は異なるように創っているのですが、端末上のベースとなるゲームシステムは同じなわけです。土台から作るのではなくて、そこに載せられる機能を入れながら新たなイベントを創っていく。『FGO』でもさすがにこのイベントはリモートだけでは難しいという時は集まってもらうこともありますが、ごく稀です。そこが9割リモート化できている要因だと思います。
──ラセングルはリモートワークによって、いろいろな地域から働けるというのが特色のひとつになりつつあると思います。プランナーチームでも、東京近郊以外で生活されている方は多いですか。
宮前:
京都、大阪、長野などから勤務しているメンバーが3~4名います。開発全体で、エンジニアやデザイナーも含めると10名弱はいると思いますね。
叶:
元々東京で働いていて、ちょっと実家に戻らなければいけなくなったメンバーがいて、でも今だったらリモートでできるので機材を一式送りました。今も変わらず一緒にやれています。
宮前:
中途採用で入社して、ずっと大阪で仕事しているPMが1人いるのですが、戦力になってくれていますね。
──成功例があるのは心強いです。ということは、採用の際に東京近郊在住であることは必須ではないのでしょうか。
叶:
マネージャーやリーダークラスは、対面で話す必要があるときはなるべく出社できるようにしたいと思っています。そうではないスペシャリストのメンバーたち、スクリプターやアーティスト等はリモートで問題ないですね。集中して業務に取り組む役割のメンバーほど、家で行うほうが集中できるからです。
──ちなみにリモートワークの不満として、先輩の背中を見ながら勉強しづらいという声をよく聞きます。そこに対する対策は何かされていますか。
叶:
プランナーの中ではペアワークを推奨しています。たとえばスクリプトチームだと、メンバーがスクリプティングをしているところをオンラインで見せながら、ここはこうやったらいいんだよとか助言をしてあげる。この逆もあって、スペシャリストのメンバーが、スクリプティングを実際にやっている画面を見せてあげることもあります。スクリプトだけじゃなく、インゲームとかマスター班でもペアワークを実施しています。
──なるほど。先輩から学ぶための取り組みは用意されているんですね。
「ラセングルでプランナーをやる」オススメできるその理由
──ここからはラセングルで実際に働くことになった場合の質問をさせてください。ラセングルで働くプランナーのキャリアパスのイメージ例を教えていただけますか。
叶:
ディライトワークス時代からプランナーのキャリアパスを書いているのですが、新卒採用の場合は縦割りではなく、横に全部やろうという方針があります。数年間のうちに役割をローテーションしながら、3年から5年の間に自分の得意な分野を見つけ、そこを伸ばしていく。僕のようにコミュニケーションとか、何かのサプライズ、面白さを生み出すことが得意であればゲームデザインの方に適性があるというように、メンバーの適性をマネージャーやリーダーと話をして路線を決めていきます。
大きく分けて、スペシャリスト枠とゼネラリスト枠で考えてます。ゼネラリスト枠はいわゆるプロデューサーとかディレクターとかPMです。かたや、先ほどプランナーの業務で説明したほとんどのところ、ゲームデザイン、レベルデザイン、スクリプト、あとシナリオ関連ですね。それらのメンバーは基本的にスペシャリストとして、そこを極めていくっていうイメージですね。
ディレクターやプロデューサーにならなければ待遇が上がらないわけではありません。適性のあるメンバーにディレクターやプロデューサーを任せ、専門的なスキルに適性のあるメンバーはスペシャリストとしてキャリアを伸ばせる仕組みです。
ディレクターができるって本当に稀だと思うんですよ。そうはいっても、プランナーはキャリアパスでディレクターとかプロデューサーを目指さなきゃいけないとなりがちじゃないですか。でもそれはラセングルでは違うんですよね。得意なことは得意なメンバーがやればよい。そうじゃない場合は、そこのサポートをするプロジェクトとしての軸になればいい。
スクリプトのスペシャリストがいたら、ディレクターはそのスクリプトを任せられるんですよね。その分ディレクターはゲームの全体の骨子を創っていくことに集中できる。レベルデザインもレベルデザインのスペシャリストがいれば、ディレクターとツーカーで注文、設計しながらモノ創りができます。
宮前:
僕が思っているのは、スペシャリストになりきれなくても良いということ。例えばアーティストでもいわゆるトップを目指していたが挫折してしまったという話は良くあると思います。アーティストとして成長が鈍くなっていって、じゃあその先にキャリアがないのかというと、そうではない。その人たちがゲームの創り方を理解していく中で、PMみたいなポジションになり、プロジェクトを円滑に回す経験者として調整していくこともキャリアプランとして描きたいなとは思っています。
そうすると、トップアーティストにはなれなかったからセクションリーダーはできないと考えている人も、業務フローの中核になれると思うし経験が活きてくると思います。あとは今後、新卒採用も強化していくので、新しいメンバーに対して入社後いろんな形でケアしてくれるミドルマネージャーみたいにもなってくれるといいなと思っています。
──現在のチームの年齢層や、リーダーの年齢層を教えてください。
叶:
リーダークラスは30代中盤から40代前後です。リーダー以外のメンバーは30代前半から中盤、33歳前後が平均だと思います。
──40歳ぐらいの方は、ベテランの域に入りつつあるという点で転職をちょっと迷いがちな人が多いと思うのですが、ラセングルとしては歓迎すると。
叶:
ウェルカムです。僕も39歳で転職しましたから。第2の自分の人生、ゲーム業界の人生で、ラセングルに来たら楽しいと思いますよ。
また、大企業は流動性という点で動きづらいと思うんですね。そういう会社でマネジメントをやるか、ラセングルという緩い粘土のようないくらでも形が変わりそうな会社で、モノ創りを極めていくか。どっちが楽しいかっていうところで、ラセングルを楽しそうだなと思ってくれる方に、ぜひ来てほしいですね。
ラセングルは今、会社をこれから先どう動かしていくか、何年先までもの計画を立てながらやっているんです。その計画に対して、どう自分が動いたらいいか、どう組織を動かしていくといいかというところに、喜びを見出せる方はウェルカムです。
──ラセングルでプランナーをするメリットは何か、お二方はどう考えておられますか。
叶:
いろいろありますね。正直、この会社で働くことが楽しいです(笑)。やりたいことは小野さんに納得してもらえればなんでもできる。もっとも僕ら自身が小野さんとは近い位置にいるからこそそう感じられるだけで、メンバーはまだそこまで感じきれてないかもしれないですけど……。僕らGM陣も新しいゲームを創る機会を窺ってます。宮前さんは、こないだ企画書出してたもんね。
宮前:
遊びで書いたようなものだけどね(笑)。そうやって何か気軽に考えて出せる、そもそも企画を出すことが億劫じゃないというのは重要だと思っています。そういうのも含めて、僕らとしてはある程度オープンにして風通しよくしているつもりです。
──楽しいのは大事ですね。
叶:
あとは、今は本当に政治と派閥がないんですよ。GM陣も仲はいいです。単なる仲良しというわけではなく、お互いにお互いを尊重してしっかり言うことは言った上で、会社を成長させていこうという一体感があります。
宮前:
僕がディライトワークスに入った時、「縦割りのセクショナリズムを一切なくすんだ」という指示を小野さんからもらいました。『FGO』を軸にしながら、一体感を持った開発文化を作り、そこから新しいモノ創りができる状況にしようと。僕らはそこを意識して動き、それが今結果として形に出ていると思います。
叶:
今は会社もまだそれほど大きな規模ではないですし、何かしら新しいプロジェクトを立ち上げようとなった場合は、すべてのスタジオで協力し合う雰囲気になっています。採用が進んだことで人員にも余裕が出ていて、喧嘩は起きてないです(笑)。
──横のつながりに関しては、社内の風通しはいいようですね。では縦の風通しはどうでしょうか。下から上へ案を出しやすい環境かどうかは、気にされる方も多いと思います。
叶:
小野体制になって変わった点として大きいのは、会社の考えていることを毎月全体のビデオ会議で発信するようになったことです。「今会社としてこう考えている」「こうやろうとしている」そういうことを、社員全員に対して伝えています。メンバーひとりひとりが、ラセングルが今どこに向かって何を考えているか、伝わるようになってきたんじゃないかなと。
宮前:
雰囲気が変わったというのは、ディライトワークス時代からいるメンバーたちも言ってくれています。
叶:
わかりやすく下から上への例で言うと、企画募集コンテストを実施しています。今年も第2回目を開催して、その中の優れた3つの企画はモック制作の段階に進んでいます。会社の方針として、みんながゲーム創りに対して、頭と熱を使って取り組んでいこうという流れができつつあります。
──いろいろな側面から風通しがよい環境作りに取り組んでいるんですね。
宮前:
そうです。例えば問題が起きた時も問題について?責するのではなく、なぜ発生してしまったのかの振り返りをしながら、次どうゆうアクションを行うべきかをみんなで話し合って解決に向かいます。メンバーみんなの声を吸い上げて対応する方針です。トラブルが起きても犯人捜しをするんじゃなくて、何かどうしてそうなっちゃったのかと、次にどうしたらいいのかを考える文化を大事にしています。
叶:
今『FGO』の中では課題解決チームというのを作っています。開発過程で問題があった時は、リーダーとかメンバーからどんどんそこに意見をポストしてもらって。今度はチーム側が主導になって、その課題は実際どうすればよかったかという意見を各セクションから拾っています。ことの本質を掴んでその解決の次につなげていくために動いていますね。
──最後に、ラセングルのプランナーに応募するにあたってお二方が「合いそうだな」と参考になる指標、望ましい能力や知識、コミュニケーションスキル、ざっくりと言ってしまうとお二方の「好きな人材」について教えてください。
叶:
ゲームが好きな人……というのはちょっと月並みかな(笑)。好きな人材で言うと、前向きにいろんなことを考えられる方は好きですね。苦境に立ったとしても、面倒くさい仕事があったとしても、それを自分なりに楽しみに変えていける。僕もそういうタイプです。面接に入らせてもらうとそういう素質を感じる方がいるんですよ。どんなエピソードの中でも、最終的にその人なりの楽しみを見つける。そういう方は好きですね。
宮前:
自分のやりたいことを持っているのはもちろんですが、他人のやりたいことをそれと同じレベルで考えられるマインドを持っている方は好きですね。自分のやりたいことだけを主張する人は結構いるし、自分のやりたいことがまったくない人も良くないと思っています。例えば叶さんが「こういうことやりたい!」と言ったら、同じ気持ちで「じゃあやりましょう!」と言えることはチームワークとして大事です。またそこに、「こうしても面白いと思うんですけどどうですかね?」とちゃんと提案していけることも大事だと思います。相手の意見を大事にし、そこに自分の意見を重ねていけるという事は、それを自分ごとにしながら応えられるよう自己研鑽をしている人だと思うので好きですね。
叶:
そうですね。僕が「物を言うプランナーが欲しい」理由はまさにそれだし、人を楽しませるということにも繋がります。
TYPE-MOONさんと『FGO』を創り始めたとき、僕自身が楽しみを見いだした点が「TYPE-MOONさんが期待している、やりたいことの100%を超えた結果を出す!」というものでした。大変だなと思いつつもTYPE-MOONさんがニヤリとする、最終的にはユーザーの皆さんがニヤリとする未来が想像できる。そのビジョンを見ているから頑張れるのかもな、と思います。自分がポジティブに、楽しみとして仕事を進められるかは、最終的には自分がコントロールすることだけど、自分の中でちゃんとマネジメントができているからこそ、相手に対しての楽しみっていうのも、理解できるのかもしれないですね。
──お二方の美学が伝わってきました。ありがとうございました。
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[執筆・編集: Junichi Matsui]
[聞き手・執筆: Aya Furukawa]
[聞き手・編集: Ayuo Kawase]
[撮影: Maho Ikemi]