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「ヘンテコ警報発令、ヘンテコ治療待機」。そんな院内アナウンスが今にも流れそうなカオス病院を経営できるシミュレーションゲームがある。その名も『ツーポイントホスピタル:ハートフルコレクション』だ。病院は嵐に見舞われ、周辺地域では奇病が流行り、患者もスタッフも個性的な面々ばかり。病院が赤字にならないように設計や効率化を突き詰めたい一方で、巻き起こる奇想天外な事象の数々にはつい笑いがこぼれてしまう。

そんな本作が、セガにより2018年に発売された『ツーポイントホスピタル』と、これまでに配信されたDLCをすべて収録した完全版となって、Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S向けに登場する。9月16日23:00よりデジタル版、11月6日にパッケージ版となるフィジカル版が発売予定で現在予約受付中だ。

このたび弊誌は、『ツーポイントホスピタル:ハートフルコレクション』のPS5版を試遊する機会に恵まれた。本稿では、医療知識を必要としない気軽さとお茶目な世界観に惹かれた筆者が、予想を上回る自由奔放さの中で病院経営をどのように最適化していったのか、その奮闘模様をお届けしよう。

ヘンテコ患者にはヘンテコ治療を

本作の舞台は、奇病が蔓延するツーポイント州の空っぽの病院。まずは受付や部屋の配置、スタッフの雇用、院内の温度管理から丁寧なガイドに沿っておこなっていく。何もないところにポンっと手軽に部屋や医療機器を設置できるのはとても気持ちがいい。患者も少しずつ来院してきて受付から総合診療科へと案内されていき治療方法が確定されていく。なんだか聞いたことのない病名も多いが、幸先の良い開院である……この時までは。

次第に患者が増えてくるとある一通のお知らせが届く。なんと頭が電球になってしまう「白熱頭症」の患者を治療するため、頭部を交換できるデラックス交換装置が必要だそうだ。元の頭を3Dプリンターで作成するという、なんともダイナミックな治療方法である。他にも無意識に鍋を身につけてしまう「病みなべ症」やふざけた行動を取りがちになる「ピエロ・コンプレックス」、さらに身体の色を失ってしまう「気まグレー病」や自分を犬だと思ってしまう「いぬばか症」など、コミカルな見た目や動きをした患者が次々と来院してくる。患者の症状に対応した治療室がないと、長いこと待たせた挙句に怒って帰ってしまうため、新しい治療室を設置して速やかに対応しよう。

また、今作で登場する医療機器や研究機材はハイテクなものばかりで、機器の見た目やシステムがユーモラスにデザインされている。遊び心満載の治療方法が細かな動きで表現されているため、患者が元気になる様子を観察して楽しめるのも魅力の一つだ。そんなハイテク機器であるが、使用度によって故障してしまうという欠点がある。故障したまま放置しておくと火災の原因にもなるので、管理人を雇ってメンテナンスをしてもらおう。万が一火災が起きた時のために、機器がある部屋の周辺には消火器を多めに設置しておくと安心だ。

ハチャメチャな院内でも管理はしっかり

そうしてさまざまな症状を抱える患者を元気にすると、病院の評判も上がっていく。病院の稼ぎも増え、安定した経営や患者の完治率の高さに筆者も手ごたえを感じてくる。そんな時を見計らって襲いかかってくるのが院内ハプニングだ。診察待ちの患者による渋滞や、清潔な空間を保てないなどの一般的な問題に加え、救えなかった患者がおばけ化して院内を混乱させるなど、ハプニングの同時発生は日常茶飯事になっていく。対処しきれないと患者は必要な治療を受けられず、スタッフは疲労困憊になり、病院は赤字へと傾いてしまう。

そこで筆者が重要視したのが院内の導線設計だ。たとえば、患者が最初に訪れる受付や総合診療科付近を混雑しないように広めの導線で設計すると、自動販売機や雑誌棚、はたまたクレーンゲームなどといった娯楽設備を置けるので、患者の待ち時間を充実させることができる。また、火災やおばけに対処できる管理人が駆けつけやすいよう、一つの院内に部屋を詰め込みすぎないのもポイントだ。無理せず病院の別棟を建てて、各棟ごとに治療室や病棟メインの設計にするなど患者やスタッフが院内をスムーズに行き来できるようにしよう。

特になかなか病名が決定せず、総合診療科や診断室をたらいまわしにされてしまう患者には注意が必要だ。実際の病院でも何度も検査に送られるのは負担が大きいだろう。なぜ患者はたらいまわしにされているのだろうか。それはスタッフによる診断スキルの低さと病院における治療方針のレベルが嚙み合っていないからであることに気づく。診断スキルはスタッフに研修を受けさせることで獲得したりレベルアップできるが、おもちゃ箱をひっくり返したような院内でスタッフの空き時間を生み出すことは容易くない。

そんな問題を解決する方法の一つが、病院における治療方針の変更だ。本作ではゲーム内で一年が経過するたびに表彰式がおこなわれ、病院の詳細なデータも画面に表示される。治療方針はここで変更が可能となっており、診断基準値を下げることによって患者を迅速に治療室へ送ることができる。ただ診断基準値が低いと、当然患者の完治率も下がるので慎重に設定しよう。ゲーム序盤は診断基準値を少し下げておき、スタッフの診断スキルが上がってから再び高めに設定するといった方法で、筆者はたらいまわし問題を解決の方向へと導くことができた。

ホワイトな職場環境で3つ星病院へ

病院の規模が大きくなるにつれて管理の幅も広がっていき、だんだんと病院の良い評判を獲得するのが難しくなってくる。3つ星評価を獲得できるミッションをクリアするため、先述した病院の詳細データをくまなく確認していると、ふとスタッフのデータに目が留まった。スタッフの士気が異様に低いのだ。

確かに患者の治療や院内のハプニング対処を最優先していたため、スタッフへの配慮は無いに等しい。また、頻繁に辞職願も出されていたような気がする。これは良くないと思い立ち、スタッフ目線で病院を改革することを決める。時には経営者として俯瞰的に眺めるだけではなく、患者やスタッフの視点で院内の環境を整えていくことも大切なのかもしれない。ここでは筆者がスタッフ目線で気づいたことや改善策を書いていこう。

まず、スタッフルームとトイレの配置だ。この二つの部屋は小さいスペースでも設置できるため、診療室や治療室を配置した後の空きスペースに設置していた。しかしスタッフの動きを見てみると休憩と同時にトイレへ駆け込むことが多い。そのためスタッフルームとトイレを隣接して配置し、多くの患者が訪れる総合診療科の付近には広いスペースで設置した。

するとどうだろうか。スタッフのトイレへのアクセスが格段に良くなるだけではなく、スタッフルームや人の多い総合診療科付近に設置した自動販売機で喉やお腹を満たすことができるなどの相乗効果が生まれたのだ。患者を待たせずに休憩や交代をすることも可能だ。

さらに部屋の充実度である名声を上げることにも注目した。殺風景な部屋で勤務し続けるより、一息つけるアイテムがあったほうが良いだろう。筆者のお気に入りはネコリーマンのポスターだ。ペタペタと簡単に壁に貼れるし、ともに仕事に励んでいる感じがあってかっこいいのだ。こうしてスタッフの職場環境を整えていくにつれて、スタッフの士気は上がり、3つ星病院達成への道も見えてくる。忙しい病院だからこそ、スタッフが快適に働けるホワイトな職場環境が必要不可欠だったのだ。

テンポの良い忙しさにのめりこむサンドボックスモード

3つ星病院を達成することができ、病院経営者としてワーカーホリックになっていった筆者。最終的に辿り着いたのは、ゲームを進めるとアンロックできるサンドボックスモードだ。本作でまるまる収録されたDLCのマップでも遊ぶことが可能で、最初の所持金額や病気の難易度など、自分好みの病院にカスタマイズして経営することができる。

病院経営に味を占めた筆者が選んだマップは、エイリアンと出会えるかもしれないゴールドパンだ。収益倍率と患者到着率は約1.5倍、病気の難易度はハード、スタッフは全員若手とし、いざ挑戦。次々と来院する患者に、追いつかない資金と部屋の設置。みるみる赤字になった病院を、ローンを組みながら火の車で回すヒリヒリ感がたまらなく面白い。そんな経営者としてあるまじき精神で病院経営していると、やがてローンをローンでまかなえなくなり、あっけなく医療崩壊した。本作にゲームオーバーは無いが、赤字続きでは消火器ひとつも買えないので、文字通り病院が燃え盛ることになる。

さすがに筆者には高難易度過ぎたので、患者到着率と病気の難易度のみを少し上げて再度挑戦。患者の増加に合わせてどんどんスタッフを雇用し、研究で部屋の種類を増やし、さまざまな娯楽設備を設置していく。テンポよく患者を完治させられるとミッションやスタッフのリクエストにも応えることができ、病院の収入も右肩上がりだ。本作に収録されているDLCのファンシードレスパックで、スタッフの制服を魔法使いの恰好にしたりゾンビに変えたりするのもハチャメチャ感が増して面白い。ついつい深夜までプレイしてしまい、やめ時がわからなくなるほどであった。

カジュアルながら深みにハマる独創性

『ツーポイントホスピタル:ハートフルコレクション』は、独創的でシュールな世界観ながらも病院経営をしっかり突き詰めることができる、絶妙なバランスが持ち味のゲームだ。プレイヤーの思いのままに病院を設計できるカジュアルさの中で、病院の状況をデータとして可視化することにより、だんだんと経営戦略に夢中になってしまう。また、愛嬌のあるキャラクターたちがハプニングに見舞われると、さながらコメディ映画のような場面ができあがることもあり、院内は見ていて飽きることがない。

時間を忘れてのめりこんだらすぐにクリアしてしまうかも……という心配も本作なら必要ない。なぜなら本作にはDLCがたっぷり収録されており、 「南の島」「タイムトラベル」「芸術」「セガ」などをテーマにした新たな病気や治療器具、アイテムが多数追加。よりバラエティ豊かでユニークな病院経営を楽しめる完全版だからだ。「寝る間も惜しまずゲームに没頭したい」そんな思いのあるプレイヤーは、このトンデモ病院経営を遊びつくしてみてはどうだろうか。

ツーポイントホスピタル:ハートフルコレクション』は、Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S向けに9月16日23:00よりデジタル版が販売開始、11月6日にパッケージ版となるフィジカル版が発売予定で現在予約受付中だ。

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