『ファイアーエムブレム 万紫千紅』にて謎の「ブリガンド大学」なる概念生まれる。力が伸びなきゃ“留年”、パワー系大学

『ファイアーエムブレム 万紫千紅』の物理職の育成方法を巡って、“ブリガンド大学”なるネットミームが誕生している。

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「てごわいシミュレーション」で知られる『ファイアーエムブレム』シリーズ最新作『ファイアーエムブレム 万紫千紅』(以下、万紫千紅)。本作は9月17日に発売されて以降、そのボリュームなどで国内海外問わず大きく話題になっている。そんな『万紫千紅』において、物理職のキャラクターを力の成長値目当てで「ブリガンド」で育成することが、主に海外ユーザー間で“ブリガンド大学(Brigand University)”などと呼ばれちょっとしたネットミームになっている。

『ファイアーエムブレム 万紫千紅』を含む『ファイアーエムブレム』シリーズでは伝統的に「成長値(いわゆる成長率)」という概念が存在する。これはキャラクターがレベルアップした時に各ステータスがどのくらいの確率で伸びるか、というパラメータである。たとえばHPの成長値が50のキャラクターであれば、レベルアップした時に50%の確率でHPが1伸びるとみられている(基本的にどの能力も1ずつしか伸びない)。1回1回のレベルアップで見ればどの能力が成長するかは運要素がかなり強いが、レベルアップ回数(試行回数)が増えていくにつれ如実に成長値の影響が現れ、よく伸びるステータスと伸び悩むステータスの数値は目に見えて変わってくる。とはいえ所詮運の積み重ねではあるので、本来すくすく伸びるはずの守備が全然伸びなかったり、逆にほとんど伸びないはずの魔力が妙に伸びたり、というようなこともままある。キャラクターごとの個性を決定づける要素でありながらも、各周回や、各プレイヤー固有の体験も演出してくれる、『ファイアーエムブレム』を代表するシステムと言えるだろう。

さてそんな成長値だが、キャラクター固有の成長値とは別に「兵種補正」も存在する。そのキャラクターが現在就いている兵種(クラス)によって成長値に補正がかかるというものだ。たとえば重装歩兵に就いているキャラクターは、守備とHPと力の成長値にプラス補正がかかるが、魔力と速さにマイナス補正がかかる。この兵種補正とキャラクターの成長値、そして得意技能などを吟味し、キャラクターの弱点をカバーするように育成するのか、それとも得意分野をひたすら伸ばすように育成していくのか、といった部分もまたプレイヤーの知識と腕(と趣味)が問われる判断となっている。

そしてここで登場するのが中級職である「ブリガンド」である。ブリガンドは剣、斧、格闘で戦う歩兵種なのだが、何よりの特徴は中級職で一番力の成長値への補正が高いことだ。具体的には、成長値が15も増加するのである。「力」は物理職にとってはダメージに直接関わる非常に重要なステータス。よほど割り切った育成か、それ以外の際立った個性がない限り、ある程度は伸びてくれないとそのキャラを一軍として起用し続けるのが難しくなってしまう。しかしこの『万紫千紅』というゲーム、速さは伸びやすい剣士系キャラや技は伸びやすい弓兵系のキャラといった、「微妙な成長値の力がちょっと下振れると一気に戦力として怪しくなってくるキャラ」が結構な数いるのである。結果、力の成長値に不安を抱えた物理職は、今後成長が下振れても戦力として最低限成立するだけの「力」を確保するため、一旦ブリガンドを経由するのが非常に有効な選択肢となる。“ブリガンド大学”の誕生である。

この“ブリガンド大学”は、海外ではすっかりネットミームとして定着しつつある。力の成長値目当てにブリガンドに転職させると「入学」、しっかり力を伸ばしきれると「卒業」、ブリガンドにしたにもかかわらず力が全然伸びないと「落第」扱いされるなど、かなり言いたい放題である。

さらに、ブリガンドに転職するための中級職の推奨レベルは「レベル20」。レベルを年齢になぞらえるとなんとも大学っぽさがあるのも絶妙なポイントとなっている。しっかり力が伸びてくれれば早期卒業できるのに、10レベル以上上げて30を超えてもいまだにブリガンド大学に在籍中……というような哀愁漂うストーリーが出来上がってしまうのも、このネットミームが面白がられている理由の一つかもしれない。

とはいえ物理職がブリガンドを経由すること自体は別に今作からの現象というわけでもなく、前作『ファイアーエムブレム 風花雪月』でも定番の育成ルートではあった。というより、ブリガンド育成の重要性だけで言うなら前作の方が高かったとまで言えるだろう。前作のブリガンドは「鬼神の一撃」という物理職なら全員欲しがる非常に強力なスキルを習得する兵種だったからである。しかも前作と違い今作は兵種による武器の装備制限が厳しいため、ブリガンドを経由させるのは武器技能的にも前作より窮屈になっていると言える。

ではなぜ今作で成長値だけのためのブリガンド育成がここまで話題になるのかというと、まずひとつに成長値が隠しステータスではなくなったことがあるだろう。キャラクターステータス画面や兵種変更画面でキャラクターや兵種の成長値がゲーム内で見られるようになったため、育成の方針が立てやすく、攻略サイトなどにわざわざ数値を見に行くようなプレイヤーだけではなく多くのプレイヤーが兵種補正などを意識するようになった。そしてもうひとつが、本作の成長判定に使われる乱数の仕様が独特で、生半可なセーブ&ロードでは基本的に厳選できないようになっているということだ。オートセーブの仕様とあいまって、「力の成長値は微妙だけど、これくらいならリセット厳選で誤魔化せる範囲だろう」が一切通用しない。チャンスが1度きりだからこそ、今まで以上に確率に気を使う必要が出てきた、という側面が間違いなくあるだろう。

非常に個性的で魅力的なプレイアブルキャラが多く揃った本作。お気に入りのキャラや、たくさん貢ぎ物をして食事も奢ってスカウトしたキャラを、せっかくならば強く使ってあげたいと思うのはプレイヤーの性であろう。未来の選択肢を広げるためにも、若いうち(?)からしっかりと力を伸ばしてあげたい。そんなプレイヤーたちの願いにも応えられるよう、ブリガンド大学の門戸は広く開かれているのだ。

『ファイアーエムブレム 万紫千紅』はNintendo Switch 2向けに販売中。

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Mizuki Kashiwagi
Mizuki Kashiwagi

PCとPS4をメインで遊んでいます。自分で遊んでも、観戦していても面白いような対戦ゲームが好きで、最近は格闘ゲームとMOBAをよく遊んでいます。

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