『Fate/EXTRA Record』TGS先行プレイ感想。バトルは「3すくみのじゃんけん」から「デッキ構築」へ。読み合いは形を変える

今回は原作ファンである筆者が『Fate/EXTRA Record』を試遊。実際にプレイして分かった手触りや、原作から大きく変化したバトルシステムを中心に紹介していきたい。

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『Fate/EXTRA Record』は、アニプレックスより2027年1月28日に発売予定のダンジョン探索型RPGだ。2010年に発売されたPSP向け『Fate/EXTRA』をフルリメイクした作品として長らく開発が続けられてきたが、度重なる発売延期に加え、2026年3月にはバンダイナムコエンターテインメントからの販売中止が発表。さらに企画・監督を務めていた新納一哉氏の退社など紆余曲折を経て、アニプレックスを販売元として再始動した形だ。そのような経緯があるため、待望のリメイクでありつつどのような形に仕上がっているのか、期待と不安の両方を抱いているファンも少なくないだろう。

筆者はTYPE-MOON作品のファンであり、『Fate/EXTRA』も発売当時にプレイした一人だ。今回は原作ファンである筆者が『Fate/EXTRA Record』を東京ゲームショウで試遊する機会を得た。本稿では実際にプレイして分かった手触りや、原作から大きく変化したバトルシステムを中心に紹介していきたい。

お馴染みのサーヴァントたちは、かつてどんな物語を歩んだのか

まず『Fate/EXTRA Record』を語るうえで、触れておきたいのが、16年という時間を経たことで変化した『Fate/EXTRA』の立ち位置だ。2010年にPSP向けソフトとして発売された本作は、『Fate』シリーズ初のRPG作品として、『Fate/stay night』とは異なる世界を舞台にした聖杯戦争を描いた。月面に存在する霊子虚構世界「SE.RA.PH」を舞台に、主人公はセイバー、キャスター、アーチャーのサーヴァント3騎からパートナーを選び、聖杯戦争に挑むことになった。

当時、セイバー、キャスター、アーチャーは『Fate/EXTRA』という新たな世界で出会うサーヴァントであり、主人公との関係を築いていくなかで、過去や価値観・人物像を少しずつ知っていった。誰が味方で誰が敵なのか、目の前にいるサーヴァントが何者なのか。主人公と同じ視点から情報を集め、サーヴァントへの理解を深めていく過程が、『Fate/EXTRA』の物語におけるポイントだった。

だが16年が経った現在では、『Fate』シリーズを取り巻く環境が大きく変化している。特に『Fate/Grand Order(以下、FGO)』をはじめとした関連作品を通じて、セイバー、キャスター、アーチャーの存在を知り、真名まで把握した状態で『Fate/EXTRA Record』に触れるプレイヤーも少なくないだろう。原作では「サーヴァントは何者なのか」という疑問を主人公と共有しながら物語を進めていたのに対し、現在のプレイヤーは、セイバー、キャスター、アーチャーについて別作品で描かれた姿や設定を知ったうえで『Fate/EXTRA』の世界に入ることになる人も多いだろう。原作当時と同じ意味での新鮮味は薄れる一方、『Fate/EXTRA』という世界でセイバー、キャスター、アーチャーがどのような立場にあり、主人公とどのような関係を築いていたのかを改めて見ることで、既に知っているキャラクターの別の側面を掘り下げる機会にもなるかもしれない。

逆に原作を遊んだプレイヤーにとっては、16年という時間そのものが新たな意味を持つだろう。『Fate/EXTRA』で出会ったセイバー、キャスター、アーチャーを、以降さまざまな『Fate』作品で見てきたうえで、改めてパートナーとして迎えることになるからだ。当時は知らなかった姿や、別作品で描かれた人物像を知ったからこそ、『Fate/EXTRA Record』では原作とは異なる印象を抱く可能性がある。本作はかつてPSPの画面で体験していた物語と、キャラクターを現代の表現で描き直すだけでなく、『Fate/EXTRA』を見つめ直す機会にもなりそうだ。

原作の「読み合い」を捨てず、判断の形を変えたリメイク

今回の試遊では、アリーナ「一の月想海」のフロア1およびフロア2を体験できた。エリアを進みながら敵とのバトルをこなし、最奥に待つゲートキーパーとの戦いまで、約15分でプレイできる内容だ。アリーナを探索しながら敵と戦い、トリガーキーを見つけて先へ進むという大枠は原作から受け継がれている一方で、RPGの中心となるバトルシステムには大幅な変更が加えられているのが特徴だ。

原作では三すくみの関係の「ATTACK」「BREAK」「GUARD」のコマンドとスキルを軸に、敵の行動を読みながら6手先までのコマンドを選択。開示された一部の行動情報を元に、敵のコマンドを予測し、「じゃんけん」のように有利な行動を重ねていくシステムで、相手の行動パターンを見極めることがバトルの比重を占めていた。だが『Fate/EXTRA Record』では、バトルシステムが手札からAPを消費してカードを選ぶ、デッキ構築型コマンドバトルへと変更されている。原作のように6手をまとめて決めるのではなく、ターン開始時の手札とAP残量から、戦況に合わせてコマンドを1手ずつ選択していく方式だ。

ただし、敵の行動を予測する要素自体がなくなったわけではない。戦闘中は「データアクセス」を呼び出すことで、敵が次にどのような行動を仕掛けようとしているのか、自分が持っているコマンドにはどのような効果があるのかを確認可能だ。敵が強化を行おうとしているなら今のうちに攻撃へと転じ、強力な攻撃が来るのであれば「ガード」コマンドを選んでガード値を上昇させておく。原作が行動予測の結果コマンドを成功させていく敵主体なシステムだったのに対し、本作では敵から得た情報と手札を照らし合わせ、臨機応変にプレイヤー自ら行動を選ぶゲームへ変化していると言えよう。

バトルにおける判断の変化は、サーヴァント固有のカードにも表れており、たとえばセイバーには、単体攻撃の「スラッシュ」や敵全体へダメージを与える「花の嵐」などのスキルが用意されていた。また手札にある「薔薇コマンド」の枚数に応じてダメージが上昇する「花散る天幕(ロサ・イクトゥス)」や、薔薇コマンドがデザインされた攻撃カードと強化カードを1枚ずつ獲得できる「薔薇の演舞」も確認できた。つまり目の前の敵へダメージを与えるためにカードを使うのか、薔薇コマンドを残して「花散る天幕」の威力を高めるのか。同じ手札を持っていても、状況に応じて選択肢が変わってくる。

アーチャーもカードの使い方が個性満載で、「投影」に関するコマンドを選択すると、APを消費しない「干将・莫耶」やランダムな投影宝具を手札へ加えられる。煌びやかで自信過剰なセイバーは薔薇というモチーフを手札に集めて力へ変えていくのに対し、さまざまな武器を投影して手数を増やすアーチャーは、手札を増やしながら連続行動につなげていく。原作でもサーヴァントごとに異なる戦い方が用意され、個性はスキルの性能や演出に表れていたが、『Fate/EXTRA Record』ではサーヴァントの人物像を「どのカードを使い、どのカードを残すのか」というプレイヤーの判断やコマンドのルールにまで反映させていた。

アリーナでの立ち回りまで手札を左右する戦略に

戦闘突入前のアリーナ探索にも、バトルシステムと連動する仕組みが用意されており、フィールド上ではサーヴァントによる攻撃を仕掛けることができ、先に攻撃を当ててから戦闘を始めれば、敵にダメージを与えた状態で戦える。一方、敵と接触した状態で戦闘へ突入するとバックアタックと判定され、「ネガティブ」コマンドが手札に1枚加わる。

バックアタックが単純にHP減少や敵から先制攻撃を受けるなど一般的なペナルティとは異なり、カードを選択して戦う本作では、不要なコマンドが加わるだけで選択の幅に影響を与える。手札を圧迫する「ネガティブ」が混ざれば、狙ったカードの組み合わせを成立させにくく、敵に先制攻撃を当てられるかどうかという立ち回りが、戦闘開始時の手札という具体的なリソースに反映される。

またバトル中はマスターからの支援として「コードキャスト」も用意されている。MPを消費して使用でき、今回確認できたものには敵へ固定ダメージを与えるものや、手札からカードを1枚捨ててデッキから2枚ドローするものがあった。たとえば後者を使えば、「ネガティブ」を手札から取り除きながら新たなカードを引き込めるが、手札を整理するためにMPを使うのか、敵への攻撃にMPを回すのかという判断が必要だろう。

総じて本作はデッキ構築型コマンドバトルへと変化しながら、サーヴァント固有のコマンドやAP管理などの遊びが加わったことで、敵の行動だけでなく、手札やリソースまで確認したうえで次の一手を考える必要が生まれた。原作の「敵の行動を読む」要素を再現するのではなく、情報と手札を組み合わせて次の行動を決めるゲームへ作り替えることで、プレイの核は残しつつシステムを現代的な形へ再構築しているように感じた。

16年越しのフルリメイクは、『Fate/EXTRA』をどう蘇らせるのか

今回体験できたのは、あくまで「一の月想海」のフロア1とフロア2の序盤までに限られ、物語・システムを網羅的に確認できたわけではない。触れられなかった要素によって、ゲームへの印象が変わる可能性もあり、約15分の試遊だけで16年越しのフルリメイク作が、どこまで原作の魅力を受け継ぎ、ゲームとして成立しているのかは判断することは難しい。

ただ試遊を通して見えてきたのは、原作を現代のグラフィック・遊びで再現するだけではなく、「いま『Fate/EXTRA』を遊ぶなら、原作をどのように作り変えるのか」という部分まで踏み込んだリメイクの姿だ。原作の戦闘にあった「敵の行動を読んで勝つ」という感覚を残しながら、サーヴァントの個性が反映されたデッキ構築型のコマンドバトルのあり方によって、戦闘中に下す判断の形を作り替えている。本作が目指しているのは16年前の『Fate/EXTRA』を単純な置き換えで蘇らせるのではなく、原作が持っていた魅力をピックアップし現代に通用するJRPGとして成立させるための再構築だろうとは伝わってきた。

『Fate/EXTRA Record』を発表から長らく待ち続けてきたファンにとっては、16年越しのフルリメイクとして期待がある一方、大きく変わったゲームシステムや、さまざまな変遷を経た開発環境に起因する不安もあるだろう。本作が期待と不安の双方にどのような答えを示すのかは、発売日以降に明らかになりそうだ。

Fate/EXTRA Record』は、PC(Steam)/PS5/PS4/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch向けに2027年1月28日発売予定だ。

©TYPE-MOON All Rights Reserved.

※画像は開発中のものにつき、実際の仕様とは異なる可能性があるとのこと

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Yuuki Inoue
Yuuki Inoue

RPGとADVが好きなフリーのゲームライター。同人ノベルゲームは昔から追っているのでそこそこ詳しい。面白ければジャンル問わずなんでもプレイするのが信条。

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