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市場調査会社Circanaのゲーム部門シニアディレクターによる、米国でのPlayStation向けゲームの「パッケージ版売上本数」に関する報告が注目されている。

市場調査会社Circanaのゲーム部門シニアディレクターを務めるMat Piscatella氏による、米国でのPlayStation向けゲームの「パッケージ版売上本数」に関する報告が注目されている。PS向けゲームにおける物理ディスクの生産終了方針に反発が広がりパッケージ版ソフトの重要性が唱えられるなかでも、パッケージ版ソフトの売上は厳しい傾向があるようだ。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)は7月1日、2028年1月以降に発売されるPS向け新作ゲームの物理ディスク生産を終了すると発表。この発表を受けて、同社の決定に対する批判や、方針の撤回を求める声も寄せられてきた。オンライン署名サイトChange.orgでは「Don’t Kill the Disc」とする署名活動も開始されており、本稿執筆時点で33万件もの署名が寄せられている。
そうしたなかではPlayStation公式SNSアカウントによるさまざまな投稿に、投稿内容とは無関係な物理ディスク生産終了方針への批判が集中する事態もしばしば見られる。海外メディアKotakuによると、先日PlayStation公式YouTubeチャンネルにて公開された『Marvel’s Wolverine』の最新トレイラーには物理ディスクに関する1万件以上のコメントが寄せられているという。
Mat氏はそんなKotakuの報道に反応を示しつつ、Circanaのデータに基づいた米国でのPS向けパッケージ版ゲームの売上に言及して注目を集めている。同氏によれば、7月11日締めの週間売上において、1万本以上を売り上げていたゲームはわずか2作品。さらに今年、PS向けゲームでパッケージ版が10万本以上売れた作品は7本にとどまるとのこと。デジタル版との合算であれば数百万本規模の売上のゲームもあるなか、パッケージ版の存在感が薄れていることもうかがえる。
あわせてMat氏は上述したYouTube動画に寄せられたコメントについて、意見を発信するのはいいことだとしつつも、「コメントするだけなら簡単」といった皮肉も交えている。つまり、Web上では物理ディスクの必要性を訴える声が多く寄せられているものの、そうした声が必ずしも実際の購入には結びついていないとの見方を示しているのだろう。とはいえ、上述した週間売上データは、SIEが物理ディスクの生産終了を告知した後の期間に集計されたものであり、同社の方針を受けてあえてパッケージ版を購入しない選択をとっているユーザーがいる可能性には留意したい。
いずれにせよ、近年では各社の決算発表を通じて、ゲームのパッケージ版ソフトの販売比率が年々減少を続けていることがうかがえる。SIEは2025年度通期の決算発表で、PS5/PS4でのゲームのデジタル販売本数の比率が78%であったことを報告。2024年度は76%、2023年度は70%、2022年度は67%であったため、この3年でさらに全体の10%分近くデジタル販売のシェアが拡大したことがうかがえる。裏を返せば、PS5/PS4でのパッケージ版の販売シェアは約10%分減少し、22%まで落ち込んでいるといえる。また2025年度第4四半期では、パッケージ版の販売比率はわずか15%であった。物理ディスクの生産終了方針についても、そうした販売比率の減少が主要因になっているのだろう。
一方でパッケージ版ソフトの存在は、ゲームの保存といった観点でも重要視されている。デジタル版しかないゲームは何らかの要因で配信停止となった場合、新たに入手する手段がなくなるケースもある。またデジタル版ゲームの所有権はアカウントと紐ついていることから、予期せぬアカウント停止によって購入したゲームへのアクセス権が失われうる点も懸念されているようだ。
なおパッケージ版ソフトのシェアが業界全体で減少するなかでも、パッケージ版の売上好調を伝えるメーカーも存在する。2025年6月に、Nintendo Switch 2と共に発売された『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』のNintendo Switch 2版は、売上の75%をパッケージ版が占めていたという(関連記事)。同作ではゲームデータを64GBのゲームカートリッジに完全収録。「プラグアンドプレイ(挿せばすぐ遊べる)」設計が重視されている点が功を奏したとみられる。

任天堂の2026会計年度の通期決算発表によると、Nintendo SwitchおよびNintendo Switch 2ではソフト売上の45.4%をパッケージ版が占めている。任天堂ハードでもパッケージ版の売上比率自体は年々減少傾向もみられるものの、プラグアンドプレイ設計のタイトルの存在もあってか、ほかのハードと比べてパッケージ版の売上も一定の割合を維持している格好だ。
ただ任天堂ハードにおいては、Nintendo Switch 2にて物理キーカード方式が導入。パッケージにはソフトを起動するための“キー(鍵)”のみが保存されており、ゲームソフト本編のデータをインターネットを通じてダウンロードすることでプレイできるようになる製品だ。サードパーティータイトルを中心に採用される作品も増えている。

キーカードはメーカー側にとっては容量が大きいほどより製造コストがかかるとされる従来のゲームカードよりも低コストでパッケージ版を展開できる選択肢といえる。ただ本体に挿せばすぐにプレイできたり、ゲームを手元に保存しておけたりといった、従来のゲームカードにあったメリットは薄まっており、ユーザーからはさまざまな反応がみられる(関連記事)。
そうした流れも見るに、物理ディスクやゲームカードといったゲームの保存・所有が可能なメディアにゲームデータを収録する販売形態は、縮小していく局面にあるといえる。一方でキーカードに寄せられる不満や、SIEの物理ディスクの生産終了方針を受けた強い反発を見るに、ゲームを物理メディアとして手元に残したいという需要も根強いのだろう。今後、製造コストやセールス面などと折り合いをつけながら、ゲーム本編を収録するような物理メディアが存続できるのか。引き続き業界において注目のトピックとなりそうだ。
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