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「Steam Machine」の開発に携わるValveのエンジニアが、メモリ市場の厳しさについて改めて伝えている。

Valveは6月23日、ゲーミングPC「Steam Machine」を発売した。同製品はもっとも安価なモデルでも税込18万9980円であり、メモリの供給不足が一因とみられる値段設定には、不満の声も寄せられてきた。そうしたなか、Valveのエンジニアが現在のメモリ市場について改めて説明。同氏は、メモリは現在も調達が困難な状況にあり、2027年にかけては供給環境がさらに悪化するとの見通しを示している。
Steam Machineは、SteamOSが採用されSteam向けゲームのプレイに最適化されたゲーミングPCだ。AMD製のセミカスタムCPUおよびGPUを搭載。Steam Deckの6倍以上の性能だとされている。RAMは16GB DDR5 + 8GB GDDR6 VRAMで、内蔵ストレージは512GBと2TBの2モデルが用意される。日本では正規ディストリビューターのKOMODOから販売されている。

そんなSteam Machineは6月23日に販売が開始され、発売からまもなく売り切れとなるなど好調なスタートを切った。一方でもっとも安価な512GBモデルでも税込18万9980円という価格設定は、ユーザーから不満も集まっていた。Valveはその価格の背景として、「製造業の世界的現状」を表しているとし、過去6か月間にValveが確保してきたコンポーネントの価格が反映されていると説明。特にRAM(メモリ)とストレージコンポーネントのコストが大幅に上昇していることを伝えていた(関連記事)。AIデータセンター向け需要の急増を受けた業界全体でのメモリ不足が背景にあるのだろう。
ValveのエンジニアであるPierre-Loup Griffais氏は、もはやメモリを“契約”で調達することすらもできないと、その逼迫した供給事情を説明していた(Gamers Nexus)。メモリを手に入れるには、サプライヤーが毎月提示する価格をもとに、その都度購入するかどうかを決めるしかないのだという。そのうえ一度でもオファーを断れば二度と声がかからなくなると同氏は語り、昨今のメモリ調達の難しさを伝えていた。
こうしたパーツの供給不足はSteam Machineの内部構成にも影響を与えている。Steam Machineは当初、8GBメモリを2つ使用するデュアルチャネル仕様を予定していた。しかし8GBメモリを安定して調達するのは不可能と判断され、現在は16GBのメモリを一つ搭載するシングルチャネル仕様で発売されている(関連記事)。

深刻な供給不足が続くメモリについて、ValveのエンジニアであるYazan Aldehayyat氏およびGriffais氏はBloombergのインタビューにて改めて状況を説明している。Aldehayyat氏は、パーツ調達に懸念があることはあらかじめ承知していたものの、実際の状況は予想をはるかに上回るものだったと振り返った。さらに供給不足は改善するどころか悪化の一途をたどっているとし、その厳しい現状を明かしている。同氏は補足として、現在ユーザーが小売店で目にしているような状況は、Valveが大口供給の現場で観測している実情よりも、少なくとも3~6か月遅れていると言及。つまり現在の企業間のメモリの大口供給では、すでに小売市場から見える以上の逼迫が発生しているということだろう。
なおAldehayyat氏とGriffais氏は過去にDigital Foundryに向けたインタビューにおいてValveがSteam Machineを高額のまま維持したいわけではないとの見解を示した一方で、それが近いうちに実現する可能性は低いとの見方を伝えていた。コンポーネント不足が解消されない限り、価格改定を期待するのは難しそうだ。
メモリの供給を巡っては、サプライヤー側も厳しい見方を示している。大手メモリメーカーのSK HynixのCEOであるKwak Noh-Jung氏は、2027年はメモリにとって「過去最悪の年になるだろう」と発言。同社では積極的に供給能力の拡大を進めているとしながらも、供給能力が需要を上回るのは2030年よりも先のことだろうと見通しを伝えた(Reuters)。また大手半導体メーカーのマイクロンのCEO・Sanjay Mehrotra氏も同様の見解を示している。2028年からは業界全体で徐々に供給能力が改善するとの見込みを示しつつも、需要に追いつく時期については、現時点では見通しは立たないと述べている(IGN)。

なお今年6月26日にはマイクロソフトが、ストレージとメモリ価格の調達が困難になったとしてXbox Series X|Sの値上げを発表している(関連記事)。マイクロソフトの発表によれば本体に使用されるストレージとメモリ価格が従来の2.5倍以上に上昇しており、2027年秋までにさらに2倍になる見通しだという。Xbox Series X|Sは海外での値上げも含めると短期間に3回もの価格改定に迫られており、ゲーム業界全体でコンポーネントの不足が深刻化してきていることがうかがえる。
高額な価格設定に批判の声も寄せられているSteam Machineだが、メモリ供給の状況を踏まえると、当面の値下げは期待しにくい状況となっている。さらに、Xbox Series X|SをはじめPS5やNintendo Switch 2などさまざまなゲームハードで値上げが続く状況となっており、メモリの逼迫が悪化の一途をたどっているとの声を踏まえると、業界のハードウェア価格には今後も注目が集まるところだ。
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