EAがTwitterで「1人プレイ向けゲーム好き」を馬鹿にしてツッコミ殺到。身内も呆れる

 

Electronic Arts(以下、EA)公式Twitterアカウントが、ゲーマーの嗜好を揶揄するようなツイートを投稿。多数ユーザーから瞬く間にツッコミが殺到する事態になっている。

EAはアメリカのゲーム企業だ。多数の傘下スタジオを擁し、パブリッシングを手がける人気作も多数。『Apex Legends』や『Battlefield』シリーズのほか、「EA Sports」ブランドでもお馴染み。そうした人気作品を抱えるかたわら、近年では同社が手がける作品の失敗もしばしば取り沙汰されている。

例としては、リリース直後に多くの不評が集まり、大改修を発表したものの計画が中止になったマルチプレイアクションRPG『Anthem』がある。ほかには、バグの多さやパフォーマンス問題などで評価とプレイヤー人口が低迷し、現在アップデートで改善を目指している『Battlefield 2042』といった例も。EAは人気作を擁する大手ながら、ユーザーたちは最近の同社の作品に懸念も抱いている状態なわけだ。そして7月1日、EA公式Twitterアカウントがあるツイートを投稿。あらゆる層のゲーマーたちから盛大なツッコミを受けることになる。

『Apex Legends』


EAが投じたツイートは「あいつらは完璧だけど、1人プレイ向けゲームしかやらないのが……」という内容。どうやら、1人プレイ向けゲームを好むプレイヤーに文句がある様子だ。この投稿の背景を知ると、意図がさらによくわかる。というのも、EAのツイートは最近流行のネットミームに便乗しているのだ。

そのネットミームとは、海外TikTokやTwitterを中心に「彼/彼女は完璧(10点)だけど、○○なのだけが……」というテンプレートで語るもの。基本形としては、理想の恋人像などを想像し、それを帳消しにするほどの「タマにキズ」な欠点を付け加える遊びである。つまり、EAの投稿は「1人向けゲームばかりを好むのは、人として大きな魅力減点ポイントだ」とはっきり伝えているわけである。ネットミームに乗っかった形とはいえ、ゲーム企業の公式SNSとしては不適切な発言だろう。

大手ゲーム企業公式アカウントの突然の放言に、多くの英語圏ユーザーたちが反応した。反応としては怒ったり、呆れたり、皮肉を投じたりとさまざま。一致しているのは、ほとんどの意見がEAの発言に批判的という点だ。そしてユーザーはおろか、ジャーナリスト・人気YouTuber・同業者、果ては身内であるEA傘下スタジオ開発者までもが反応。外からも内からも、ツッコミと批判の集中砲火状態だ。

EAに対するツッコミの例としてよく見られるのが、評価低迷した『Anthem』や『Battlefield 2042』をあげつらうパターンだ。例としては、そうした作品の低評価スコアを並べ「こんなマルチプレイゲームしかないなら、一体なにを遊べと?」と問いかけるツイートがある。また、EA傘下スタジオでは現在『Star Wars Jedi: Survivor』や『Dead Space』リメイクなどの、1人プレイ向け新作が開発中だ。そのため、1人プレイ向けゲームを売り出しながら、そのプレイヤーを否定するEAの言葉にツッコミを入れる者も出ている。EAは低評価マルチプレイタイトルのリリースで信頼性が下がるなか、期待をかける顧客まで馬鹿にしてしまったわけだ。

https://twitter.com/YourFunnyYou/status/1542659644673429504

著名人のEA発言への反応としては、人気YouTuberのJacksepticeye氏が「そんなツイートを良いとおもっちゃう所が……」とEA発言をもじった皮肉でチクリ。米ビジネス誌Forbesなどに寄稿するジャーナリストのPaul Tassi氏からもEAへの批判リプライが寄せられた。ゲームパブリッシャーのAnnapurna Interactiveは「下書きで止めておくべきだったね」とコメント。ほかにも、著名ストリーマーなどから皮肉のコメントが寄せられている。EAはただの1回のツイートで、あらゆる層のゲーマーたちを呆れさせたようだ。

極めつけには、Respawn Entertainmentを率いるVince Zampella氏までEA発言に反応している。Respawn Entertainmentといえば、EA傘下で随一の人気作『Apex Legends』を手がけ、現在『Star Wars Jedi: Survivor』を開発中のEAグループの稼ぎ頭。そしてZampella氏は、稼ぎ頭を率いる存在というわけだ。同氏は多くを語らず、手で顔を覆って呆れ返る絵文字だけを、EAのツイートに向けて送っている。親会社から放たれた浅慮な発言に、言葉さえ出なかったのだろう。

EAは“1人プレイディスり発言”の後、弁解と取れなくもないツイートをしている。そちらでは、批判を受け止めるとしつつ「1人プレイ向けゲームを遊ぶ人は完璧以上(11点)だよ」と掌返し。しかし、スラングや略語なども交えてやけに砕けた様子であったり、誠意は見えない。こちらのツイートには「火に油を注いだだけ」との声が多数寄せられている。謝罪とも弁解とも受け止めづらく、雑にゲーマーにすり寄る発言はあまり歓迎されなかったようだ。

突然の不適切発言により、全方位から集中砲火を受けるEAの公式Twitterアカウント。しかしとにかく気になるのは、EAがなぜ突然1人プレイタイトル好きのゲーマーをディスろうとしたのかだ。SNS担当者の個人的偏見か、ネットミームへの便乗か、それもとさらなる事情が背後にあるのか。謎は深まるばかりである。