Respawnの「スター・ウォーズ」新作FPSが開発中止。既存のゲームや人気シリーズの新作開発に専念

 

Electronic Artsは2月28日、スタッフの5%にあたる約670人規模のレイオフを実施すると発表した。さらに、Respawn Entertainment(以下、Respawn)が手がけていた「スター・ウォーズ」シリーズのアクションFPSが開発中止されたという。


Electronic Artsは2月28日、公式サイトにて、同社のCEOを務めるAndrew Wilson氏が同社スタッフに共有したというメッセージを公開した。同氏はプレイヤーのニーズやモチベーションが大きく変化しているとして、変化を見せる業界で将来的に成功を見込めないと判断されたライセンスIPの開発から撤退すると表明。こうして集中力を高めることで、自社IPやスポーツ、大規模オンラインコミュニティでのビジネスチャンスが倍増するとした。またあわせて、世界中のファンに、コミュニティやカルチャーを形成させるような、より深くつながった体験を提供させるためとして、会社運営の合理化を進めるとしている。

そうした中で、今回のレイオフが決定されたようだ。Wilson氏によれば、レイオフの範囲は全スタッフの約5%に影響すると予想している。2023年時点でのスタッフ総数はおよそ1万3400人とされており、670人程がレイオフ対象となる見込みだ。

そして、先述の開発中止されたライセンスIPのひとつは傘下であるRespawnの開発中タイトルのようだ。Respawnは2022年に「スター・ウォーズ」関連の新作ゲームを開発中と発表。『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』に続くとされる作品、およびFPSタイトルとストラテジーゲームの3本が開発中であると明かされていた(関連記事)。

Electronic Artsの社長・Laura Miele氏がスタッフに共有したとされる声明によれば、そのうちのFPSタイトルが開発中止されたという。同作のディレクターはPeter Hirschmann氏が担当。数々の「スター・ウォーズ」ゲームに携わった経験があり、『Medal of Honor: Above and Beyond』のディレクションも担当していた。実績ある同氏が率いるチームで開発が進められていたものの、今回開発中止となったようだ。

『Star Wars ジェダイ:サバイバー』


なおMiele氏は声明にて、Respawnが手がけている作品のうち、『Star Wars ジェダイ』シリーズ、およびRespawnの自社ブランドのタイトルが特にプレイヤーに人気だとした。そのため、既存タイトルのサポートをおこないつつ、自社ブランドの新規プロジェクトに注力する方針とのこと。人気タイトルのアップデートやシリーズ続編にリソースを集中すると思われ、その影響もあって今回の「スター・ウォーズ」の世界をモチーフとした新作FPSの開発中止が決断されたとみられる。

加えてMiele氏は、『Battlefield』シリーズのストーリーキャンペーンを手がけているとされている、シアトルのスタジオRidgeline Gamesを閉鎖するとした。Ridgeline GamesはDICE傘下の新設スタジオであり、かつてBungieで『Halo』シリーズを手がけたMarcus Lehto氏が率いていた。一方で先日、Marcus氏は自らの意思で同社を退職。続けてRidgeline Gamesが閉鎖となったかたちであり、ストーリーキャンペーンに開発についてはCriterion Gamesが引き継ぐそうだ。またRidgeline Gamesのメンバーの一部は、ロサンゼルスに拠点を置き、同じく『Battlefield』シリーズを手がけているRipple Effectに参画するようだ。

なおレイオフに伴って影響を受けるメンバーについては、まず新しい役割分担や、他プロジェクトへの移行を見つけられるような機会を提供するとしているとのこと。それが不可能だったとしても、最大限の配慮をおこないつつサポートしていくそうだ。こうした影響の通達はすでに始められており、来四半期の初めにはほとんど完了する予定とされている。

今年に入って、レイオフや開発中のプロジェクト中止が相次いでいる。たとえばActivision Blizzardは今年1月、親会社であるマイクロソフトのレイオフ実施により、新作サバイバルゲームの開発を中止し、人員の一部を別の新プロジェクトに移すとしていた(関連記事)。またEidos-Montréalも今年1月従業員97名をレイオフ。『Deus Ex』シリーズ新作の開発を中止し、オリジナルのゲームの開発に注力するとしていた(関連記事)。