ウォーゲーミングが開発、運営をおこなっているマルチプレイヤー海戦アクション『World of Warships』が9月17日、正式サービス開始から7周年を迎えた。8年目に突入した本作は、新たな艦種である潜水艦の正式実装など、まだまだ精力的なアップデートが続けられている。

サービスが7年以上続いているゲームに今から参入するのは難しい、と思う方もいるかもしれない。しかし、本作は戦闘のコツや基礎知識を身に付ければ、新規プレイヤーであってもすぐさま楽しめるゲームだ。 今から始めてみたいという方のために、本作ならではの面白みを堪能できるまでの道のりを、筆者の入門時の体験を交えながら全4回にわたって紹介していく。


『World of Warships』とは?


『World of Warships』は、基本プレイ無料のマルチプレイ海戦アクションゲームだ。公式サイト、およびSteam/Microsoft Storeにて配信中。プレイヤーは1900年代前半から中盤頃にかけて就役した軍艦で海戦を繰り広げる。プレイヤー同士による対戦プレイとなる「ランダム戦」を軸に、Botが操作する敵艦隊を他プレイヤーと協力して倒す「Co-op戦」も実装されている。なお関連タイトルとしては、PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに『World of Warships: Legends』が基本プレイ無料で配信中だ。本稿で紹介する情報はPC版にあたる『World of Warships』をもとにしているため、留意されたい。

ランダム戦ではプレイヤーたちが2つのチームに分かれ、最大12対12の艦隊戦を繰り広げる。ゲームルールには、敵艦隊を全滅させるか敵陣を占領することで勝利となる「通常戦」、複数のエリアの占領と敵艦の撃破で一定のポイントを獲得することで勝利となる「制圧戦」などが用意されている。1マッチの試合時間は最長20分となる。

プレイヤーが操作するのは、第二次世界大戦下で活躍した日本、アメリカ、ドイツ、ソ連、イギリスなど各国の艦艇だ。軍艦をあまり知らない人でも聞き覚えのありそうな日本の艦艇を挙げるならば、超弩級戦艦・大和や金剛などが登場する。戦艦以外にも巡洋艦、駆逐艦、航空母艦が存在し、それぞれの艦艇が各々の立ち回りをこなして勝利を目指していくのだ。また、潜水艦も10月6日におこなわれたアップデート0.11.9より正式実装されている(関連記事)。潜水艦についてはやや特殊な運用法となるため、『World of Warships』の基本を伝える本稿では割愛させていただきたい。


艦艇の操作としては、初期設定ではキーボードのWSキーでそれぞれ増速、減速が可能。全速前進~全速後退まで6つの設定速度を、段階的に増速・減速する。そして、ADまたはQEキーでは、取舵(左)、面舵(右)など旋回操作が可能。なお、艦艇の設定速度はすぐさま反映されるわけではない。さらに戦艦などの大型艦艇では旋回も反映までに時間がかかるため、先の展開を予測しながら移動することが肝要だ。

そして戦艦、巡洋艦、駆逐艦では、マウスの左クリックで射撃となる。 甲板上に備え付けられた主砲による砲撃、そして魚雷を備えた艦艇であれば雷撃が可能だ。雷撃は直撃させるのに練度を要するものの、敵艦艇に大ダメージを与えられる。砲撃のダメージが低い駆逐艦でも機動力を活かして接近することで、厚い装甲を持つ戦艦さえも轟沈させられる可能性があるわけだ。 一方、航空母艦は砲撃や雷撃ではなく、艦艇に搭載された艦載機で攻撃をおこなう。飛行中隊で偵察のほか、敵艦艇へ雷撃や急降下爆撃を仕掛けることが可能。戦艦などの艦砲射撃主体の戦い方とはひと味違うプレイングとなるわけだ。

海上には砲弾が飛び交い、水中には魚雷が、さらに空中では敵航空母艦の艦載機が攻撃を仕掛けてくる。『World of Warships』ではそんな苛烈な戦場に身を投じ、チームメイトと共に勝利を目指していく。

本作は広い海を戦場に、急速な方向転換ができない艦艇を操作することもあって、FPSなどと比べゲームスピードは緩やかだ。その分敵味方の双方に、マップのどこを攻めるべきか、どこまで進むべきかなどをじっくり判断する余裕が生まれる。アクションゲームながら、戦略的なゲームプレイも特徴となるわけだ。そして最大12対12のチーム戦となる本作では、チームメイトとの連携も勝利の鍵となる。砲撃や雷撃の精度は大切なものの、それだけでは勝つことができない。これも、本作の特徴だろう。


いざ戦場へ船を出そう


ここからは筆者のプレイ経験も交えて解説していこう。まずプレイヤーは、最初に使用する艦艇を日本艦、アメリカ艦、ドイツ艦の3つから選択することになる。ひとまず筆者は 、Tier1の日本の巡洋艦である「橋立」を選択した。なおここで選ばなかった艦艇も手持ちの艦艇に加わるため、まずは気軽に好きな艦艇を選んでみよう。また本作には、日本、アメリカ、ドイツのほかにも多数の国からさまざまな艦艇が登場する。

日本艦には戦艦「大和」や、 駆逐艦「島風」など、馴染みのある艦艇が実装されている。また、日本の駆逐艦は実際に使用されていた酸素魚雷を反映してか、魚雷の性能が高い。一方で、アメリカの駆逐艦は砲撃が強い傾向だ。同じ艦種でも、国家によって特長が違っているわけだ。


初期艦は前述したとおりTier1の艦艇となる。本作では艦艇にTierと呼ばれるランクが設定されており、Tier1~10の上にTier★が存在している。このTierが上がるほど、艦艇の性能が上がるものと捉えて問題はない。ちなみに、Tier1がTier10とマッチングするなど、Tierが大きく離れたマッチングは基本的には起こらないので安心してほしい。この点も、本作が新規プレイヤーでも始めやすい理由の1つだ。

始めたばかりのプレイヤーが選択できるのはCo-op戦のみとなる。まずはこちらに挑戦してみよう。Co-op戦はプレイヤー対Botで対戦をおこなうことになる。マッチングしたプレイヤー側の人数が足りない場合でも、こちらにもBotが補充される。ちなみに、プレイヤーネームの両端を「:」で囲まれている艦艇がBotとなる。


初陣


戦闘は、自陣側からのスタートになる。まずはそのまま真っすぐ敵陣方面まで進んでみよう。すると敵艦が見えてくる、あるいはどこかに敵の赤いマークが表示されるはずだ。その赤いマークは敵の艦種、そしてその下の表示が敵艦までの距離となる。初期艦については、砲撃のみしか攻撃手段をもたず、その砲撃の最大射程は10kmに満たない程度となっている。敵を有効射程に収めたら、まずは敵に向けて砲撃をしてみよう。

ここで、砲撃の難しさを感じるかもしれない。巡洋艦の主な攻撃手段の1つになる砲撃は、巨大な砲弾が放物線を描いて飛んでいく。敵艦と何kmも離れていることもあって、着弾までには時間がかかる。そのため、動いている敵そのものを遠距離から狙っても簡単には当たらないのだ。そこで本作では“偏差射撃”が基本のテクニックとなる。

偏差射撃とは、相手の動きを予測して、敵の現在位置ではなくその移動予測地点を射撃するというテクニックだ。シューター系ゲームでも時おり必要となるテクニックながら、実をいうと筆者は偏差射撃を苦手としている。ただし、『World of Warships』では、敵も味方も艦艇だ。艦艇は急には止まったり曲がったりすることはできない。そのため、偏差射撃をする際にも落ち着いて狙いをつけることが可能となる。相手の現在の進行方向より少し先を意識して狙えば、砲弾を当てるのはそれほど難しくないはずだ。またShiftキーを押せば双眼鏡モードに切り替えられるため、慣れない場合はこちらを使用してみよう。視界がズームされて狙いやすくなるはずだ。

双眼鏡モードでは自艦の周囲が見えなくなる。一方で、右クリック中は双眼鏡モードを一時的にやめてフリールックが可能。こちらも活用しながら、周りの様子に気を配りつつ砲撃を当てていく。敵への砲撃に夢中になって目の前の島に座礁し、今度はこちらが狙い撃ちにされないようにしよう。


なお本作の砲撃には散布界と呼ばれる数値が設定されている。これは砲撃した弾が着弾地点からどれくらいバラけるかを数値化したものだ。これにより、どんなにうまく狙っても外れることはある。まずは外すことを恐れずとにかく撃ちまくり、本作ならではの当て勘を磨いてほしい。


次なる戦いに備える


Co-op戦が終わると、アクセスレベルが2に上昇する。アクセスレベルは、戦闘回数を重ねることで上昇し、新たなコンテンツがアンロックされていく。

アクセスレベル2では「艦艇の研究とアップグレード」がアンロックされる。これも本作の肝となるシステムの1つであり、新たな艦艇を入手するためには研究を進めていく必要がある。研究には各艦艇の艦EXPを消費。艦EXPは、それぞれの艦艇でランダム戦やCo-op戦に出撃することで取得できる。研究では各艦艇の新たな装備を研究することも可能なほか、次のTierの同種艦や別の艦種も研究可能だ。

まずは上位Tierを目指して、艦艇の研究を進めていこう。そのためには、まずはどの艦艇を目指すべきか、技術ツリーで目星を付けると良いだろう。筆者は“水雷戦”にロマンを抱いているため、まずは駆逐艦を目指すことにした。最短で入手できる日本の駆逐艦はTier2「海風」になる。まずは巡洋艦Tier1の橋立の船体を研究し、続いてTier2「筑摩」を研究。そして筑摩から技術ツリーが分岐するため、海風へと続く射撃管制装置を研究して同艦の完成を目指す形となる。 ちなみに、巡洋艦Tier3の研究も、筑摩で再び艦EXPを貯めることで可能となる。どんどん出撃をして艦EXPを獲得し、好きな艦艇を研究して入手していこう。


新たな戦いの幕開け


艦EXPを稼ぐためにCo-op戦を重ねれば、アクセスレベルも上がっていく。そしてアクセスレベル3に到達することで、ランダム戦が開放される。ランダム戦はCo-op戦とは違って、プレイヤー対プレイヤーで対戦をおこなうモードだ。ただし、対人戦と聞いて身構える必要はない。『World of Warships』では、Tierが低いうちは全員がプレイヤーとなることは珍しく、Botの中にプレイヤーが混ざることも多いからだ。

ここで、『World of Warships』のランダム戦のマッチングシステムについて説明しておこう。まず前提として、本作では艦艇のTierを基準にマッチングがおこなわれる。Tier1の艦艇がTier10の艦艇とマッチングしない、というものだ。またTierに加えて、各チームの艦種と数が同じ構成になるようにマッチングはおこなわれる。

さらに、試合数200戦未満のプレイヤーは新規プレイヤー、それ以上のプレイヤーが一般プレイヤーに区別されている。Tier1~4の艦艇を使用する新規プレイヤーには、新規プレイヤー用のマッチングが適用されるという。そのため、自分と同程度の経験を積んだプレイヤーとの対戦になるわけだ。また新規プレイヤーの数がチーム人数に満たない場合、ここにBotが加わる。新規プレイヤーがベテランプレイヤーに一方的な試合に持ち込まれないよう、マッチングの段階で配慮されているというわけである。新規プレイヤーにとってありがたい仕組みといえるだろう。

先述のように、200戦までプレイしていない状態でTier1~4までの艦艇を使用するのであれば、この新規プレイヤー向けマッチングが適用される。そのためランダム戦ができるようになったのであれば、遠慮なく挑んでいくのがオススメだ。新規プレイヤー向けマッチングのうちに、使い慣れない艦種を積極的に練習するのもいいだろう。なお分艦隊(パーティー)を組む場合は、メンバー全員がそれぞれ試合数200戦未満、Tier1~4の艦艇でなければ、新規プレイヤー向けマッチングが適用されないので気をつけてほしい。


艦長を任命


筆者もさっそくランダム戦に参加。試合の結果に一喜一憂するうちに、駆逐艦の海風を研究して入手した。海風には、橋立や筑摩と違って魚雷が搭載されている。前述のとおり、魚雷は敵艦に大ダメージを与えることができるが、水中をまっすぐ、砲撃よりもゆっくりと進んで着弾するため、慣れるまでは当てづらい兵器だ。しかし、敵艦に一気に近寄り、その横っ腹に魚雷を立て続けに命中させて轟沈させるプレイは非常に爽快だ。筆者はその爽快感が病みつきとなって、駆逐艦で敵艦に接近してあっけなく沈められたり、時に雷撃に成功したりを繰り返し、戦いを重ねていった。

そうした中でアクセスレベルはさらに上昇。どの艦艇でも艦EXPとして使用可能なフリーEXPを獲得できるようになったり、さまざまなアイテムを獲得可能なコンテナを入手できるようになったり、新しいシステムが開放されていく。そして、戦闘において重要となる艦長システムも開放された。本システム開放後は、各艦艇に艦長を配備可能となる。そして艦長EXPを入手して艦長たちのレベルを上げることで、スキルを取得することが可能。スキルの中には艦艇のHPをアップさせたり、敵に見つかる距離を縮めたりするものが存在する。プレイヤーごとの戦い方に合わせたスキルを取得することで、生存率や攻撃力を向上させられるわけだ。

艦長のスキルは艦種によって違っている。まずは艦種ごとに艦長を1人決めて育成していくのがオススメだ。上位Tierの艦艇を手に入れた場合は、今まで使用していた下位Tierの同種艦艇から新たな艦艇に艦長を乗せ換えていこう。なお、乗せ換えの際にも艦長EXPは必要となるため留意されたい。


そしてTier5へ。そこは真の戦場だった


雷撃の成功体験に酔いしれた筆者は、そのまま駆逐艦のTierを上げていった。とにかく敵に接近して雷撃を狙い、沈めたり沈んだり。Tier3駆逐艦「若竹」、Tier4駆逐艦「磯風」と、無謀な戦いで着々と艦EXPを獲得しては新たな艦艇を入手していった。

以上のように『World of Warships』では使いたい艦種や戦法を決めて遊んでいるうちに、アクセスレベルやTierがあっという間に上昇していく。重厚感あふれる戦艦、バランスよく堅実に戦える巡洋艦、雷撃のロマンを備えた駆逐艦、ひと味違うゲームプレイの航空母艦、そして実装されたばかりの潜水艦。これから始める人はいろいろな艦種に触れてみて、お気に入りの艦種を見つけてみてほしい。


そして、いよいよTier5の駆逐艦「睦月」を入手し、新たな艦艇で意気揚々と臨んだ 大海原。Tierがひとつ上がったそこは、まさしく“戦場”だった。ランダム戦のマッチング時の待機人数が、Tier4までよりも圧倒的に多い。そして、いざ戦いが始まれば敵味方ともに全員がプレイヤーで、Botは1人もいない。前述したとおり、Tier5艦艇を使用したことで、新規プレイヤーのマッチングではなく、一般プレイヤーのマッチングが適用されたのだ。

さらに、今まで見かけなかった航空母艦も本格参戦し、上空には敵味方の航空機が飛び交っている。忍び寄る駆逐艦や航空母艦の艦載機に発見された艦艇には、巡洋艦や戦艦の砲撃が容赦なく降り注ぐ。そして、プレイヤーはBotとは違って、こちらへ無謀に突っ込んでくるようなこともない。そんな戦場に身を投じて、筆者は思い知ることになる。Tier4まではチュートリアルのようなものだった。Tier5からが本当の戦いなのだと。次回は、Tier5からの本格的な戦場で役立つ情報として、新規プレイヤー向けに各艦種の役割や特性を紹介していこう。

『World of Warships』は公式サイト、およびSteam/Microsoft Storeで無料配信中だ。