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スクウェア・エニックスが2022年11月4日に発売した生活シミュレーションRPG『ハーヴェステラ』。農業や料理などの生活要素が特徴だが、ストーリーRPGとしての側面も強い作品だ。そんな『ハーヴェステラ』のNintendo Switch版が5月10日までSteam版が5月9日まで半額で売られるセールが開催される。「没入できるゲームがほしい」「興味あるけど、内容がわからない」そんなユーザーを含む、このゴールデンウィークに遊ぶゲームを探している方に向けて、本作の魅力についてお伝えしたい。

『ハーヴェステラ』について、第一印象で生活要素が強く、ストーリーは薄めなのではと考える方もいるかもしれない。しかし、実は本作はストーリーRPGの側面がとても強い。メインストーリーだけでもかなりのボリュームがあり、さらにキャラクタークエストやサブクエストも加えるとかなり読み応えがある物語が展開されている。


筆者は『ハーヴェステラ』を“ひとつの世界を体験する”ゲームだと考えている。本作はプレイ体験を通じて世界に没入することが魅力となるゲームなのだ。農業や料理といった生活要素で世界の文化を知り、人々の存亡をめぐる壮大なストーリーで世界を解明し、キャラクターと交流することで世界と触れ合う。そんな本作の魅力をご紹介したい。

世界に根ざす問題を知り、体験する

本作の舞台は「シーズライト」と呼ばれる巨大な4つの結晶体が存在する世界だ。4つの結晶体は「春のシーズライト」「夏のシーズライト」のようにそれぞれ四季の名前を冠しており、そのシーズライトに近い都市ほどその季節の恩恵を受ける。人々はシーズライトの恩恵にあずかりながら毎日を過ごしているのだ。しかし、いつしかシーズライトに異変が生じ、定期的に作物が枯れ、人々が外を出歩けなくなる「死季」が発生するようになる。

物語はとある死季の日に、主人公が辺境の村で行き倒れるところから始まる。秋のシーズライト近郊の村医者・クレスに助けられた主人公は、村の厚意で郊外の空き家と畑を与えられ、そこで自給自足の生活を営むことになる。

死季はこの世界に住まう住人にはもちろん、プレイヤーにとっても厄介な存在だ。丹精込めて育てた作物は枯れてしまうし、外を出歩くこともできない。できることといえば家で孤独に過ごすのみ。世界を覆う災害の苦しさがゲーム体験からも伝わってくるというわけだ。人にも動植物にも被害を及ぼす死季は、もちろんこの世界の正常な季節ではない。メインストーリーではこの異常な季節の謎に触れ、その過程で“この世界”についても知っていくことになる。


世界を知り、死季の問題を解決するメインストーリーは壮大なスケールで描かれる。未来からやってきたアリアという少女を軸として、時空をまたいだ二転三転する物語が綴られるのだ。『ハーヴェステラ』の世界観は一見すると中世風のファンタジーのようだが、実は骨太なSF要素も含まれる。ストーリーを通じて世界を知り、より愛着を持って生活に臨める贅沢なRPGなのである。

世界に住む人々を知り、交流する

『ハーヴェステラ』の世界を体験するにあたって、外せないのがキャラクターとの交流である。メインストーリーは世界の謎にフォーカスされているため、仲間たちとの交流は少なめだ。その代わりに彼らにはキャラクターストーリーが個別に用意されており、それらを進めることで仲良くなることができる。10段階のクエストを通じてキャラクターの抱える問題を解消し、少しずつ仲を深めていくことができるのだ。このキャラクターストーリーが非常によくできている。メインストーリーでは描かれなかった個人の過去や信条に触れ、仲間となったキャラクターたちの深掘りがされていくのだ。


たとえば浜辺の町シャトラで出会うハイネの場合、彼の大切な人について語られる。女好きでやや軽薄な言動が目立つハイネだが、その裏側にはとある“後悔”があるようだ。キザったらしく見える男の心に見え隠れする古傷がお好きな方は、ぜひともハイネのキャラクターストーリーをプレイしてほしい。画像は公式のキャラクター紹介にも抜粋されているセリフだが、クエストクリア後だと彼の内心が垣間見え、じんわりと心に染み入るものがある。

キャラクターを語るにあたって忘れてならないのは、アリアの存在だ。この世界とは異なる時代からやってきたという彼女は、メインストーリー進行中は一つ屋根の下でともに暮らすことになる。少し気の強いところもある凛とした女性だが、可愛い部分もたくさんあるのだ。

妖精のことは虫のようで見た目が少し苦手らしい。可愛い。
夏の町の風景を見ての笑顔。可愛い。


ストーリーが進むにつれてそんな彼女の可愛らしい一面や意外な過去を知り、相互理解を深めていくことができる。筆者は彼女のことがとても好きになり、クリアした今でもパートナーとして一緒に暮らしている。毎日「おはよう」「おやすみ」「いってらっしゃい」と声をかけてもらえ、農作業にもいっそうの精が出るのである。

サブクエストのなかには仲間に加入するわけでないNPCを深掘りするようなクエストもある。たとえば筆者のお気に入りは、夏の街シャトラにある酒場のマスターのクエストだ。彼がなぜシャトラで酒場のマスターをしているのか、酒場の歌姫であるエモとの関係はどのようなものか、秘められた過去など、いちNPCにもかかわらず非常に丁寧に描かれる。

そのほかにも文通のやりとりを手伝うハートフルなクエストから、「花粉症」なる病気をどうにかしようと奮闘する人を助ける、現代人から見ればちょっぴり面白テイストなクエストまで、さまざまなサブクエストが取り揃えられている。クエストを通してその世界に息づく人々と触れ合えば、もっと『ハーヴェステラ』の世界が好きになることうけあいだ。

農業や料理を通じ、この世界で生きる体験を

『ハーヴェステラ』の特徴として、農業や料理といった生活パートがある。本作の基本はストーリー重視のRPGなのだが、その世界観で生きるというロールプレイのフレーバーとして、生活パートは非常に良い味を出している。“この地で生きている”という実感をプレイヤーにもたらしてくれるのである。

生活パートでできることは、一般的な農業系RPGとそう変わらない。土を耕し、種を撒き、水をやって作物の成長を見守る。オムドリやメーチェと呼ばれる家畜を飼って卵やミルクを生産する。獲得した生産物はマヨネーズやチーズにしたり、ジュースや小麦粉、燻製などに加工することも可能だ。


作物の活用方法は主に料理。『ハーヴェステラ』で作れる料理のレシピは非常に幅広い。レシピは各都市で購入できるのだが、四季折々の都市ではどのような作物が採れ、どんな料理に活用されるのかを垣間見ることができる。料理のグラフィックもクオリティが高く、筆者はプレイしながらずっとお腹を空かせていた。

作った料理は各地の酒場に納品して報酬を受け取れるほか、ダンジョン内で仲間と一緒に料理を囲み、会話イベントを楽しむこともできる。特に会話イベントはキャラクターの好みや食べ方などに触れる場合もあり、彼/彼女らのことを知るきっかけにもなっていくことだろう。


以上、『ハーヴェステラ』は、“ひとつの世界を体験する”ゲームであることをお伝えしてきた。メインストーリーを通じて世界の問題に触れ、仲間や住民との交流を通じて世界を知り、生活パートで世界に実際に住まう体験をする。本稿を読んで気になった方はぜひ、この練り込まれた世界観を存分に浴び、『ハーヴェステラ』の世界を体験してみてほしい。クリア後に読んでみると、筆者の言わんとすることが伝わるはずである。

『ハーヴェステラ』はNintendo Switch/PC(Steam)向けに発売中だ。なお、Nintendo Switch版は5月10日まで、Steam版は5月9日まで半額セールが実施される。ゴールデンウィークの機会にぜひ、お手にとってみてはいかがだろうか。

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