『Hearthstone』第3弾拡張パック「旧神のささやき」が正式発表、新たな対戦基準はリリースと同時に施行される予定

 

Blizzard Entertainmentは、基本無料オンラインカードゲーム『ハースストーン』(原題:Hearthstone: Heroes of Warcraft)の第3弾拡張パック「旧神のささやき」(原題:Whispers of the Old Gods)を発表した。先日、「Hearthstone Americas Winter Championship」の開幕にあわせて明らかにされたもので、アゼロス(Warcraftシリーズに登場する架空の世界)の地中深くから解き放たれた古代の邪悪をテーマに、134枚のカードが新たに追加される。現在、カードパック先行購入キャンペーンを実施中。50パックを40パック分の特別価格で購入できるほか、限定のカード裏面デザインがもれなくついてくる。また、新たな機能「デッキレシピ」や最大18デッキスロットが利用可能になる最新パッチが配信された。そのほか、3月12日には「ハースストーン日本選手権」が秋葉原で開催された。2日間の激闘の末、mattun選手が見事頂点に立ち、今月末にアメリカで行われるアジア大会への出場権を手にした。

 

第3弾拡張パック「旧神のささやき」が降臨

『ハースストーン』の拡張版第3弾となる「旧神のささやき」では、アゼロスの遥か地の底から蘇る伝説の存在「クトゥーン」「ヨグ=サロン」「ヤシャラージュ」「ン=ゾス」をテーマにしている。旧神の脅威がアゼロスを襲い酒場を狂気に包み込んだ時、プレイヤーは134枚の新たなカードを通して呪われた古代の力に触れることになる。中でも、北米大会での初披露時にも紹介されていたレジェンダリーカード「クトゥーン」のメカニックは少し特殊で、そのパワーは陣地・手札・デッキのどこにあるかに関わらず、「邪悪の誘い手」や「黄昏の鎚の長老」といった信奉者カードの効果に応じて強化される。運用方法によっては、「攻撃力に等しい合計ダメージをランダムな敵に振り分ける」という「クトゥーン」の「雄叫び」効果が、試合を決する脅威のフィニッシャーとなるだろう。

3つの目玉が不気味に動く限定カードバック
3つの目玉が不気味に動く限定カードバック

「旧神のささやき」のキーカードとなる「クトゥーン」と「邪悪の誘い手」は、最初のカードパックを開封した際に、ボーナスカードとしてもれなく入手できる。また、後日発表されるスペシャルプロモーション期間中に『ハースストーン』にログインしたプレイヤーには、3つの「旧神のささやき」カードパックが無料で配布されるとのこと。なお、新カードは闘技場でも獲得可能だ。「旧神のささやき」は2016年4月下旬から5月上旬にかけてのリリースを予定。現在、先行購入キャンペーンとして、50パックが入ったスペシャルバンドルが、通常のカードパック40個分の価格で予約販売されている。アカウントごとに1つのみ購入可能。先行購入したプレイヤーは、ユニークなカード裏面デザインがもれなく受け取れる。

このほか、先日発表されたゲームモードにおける新たなスタンダード・フォーマットが、「旧神のささやき」のリリースにあわせて実装されることも明らかになった。新レギュレーションでは、最近リリースされたハースストーンカードに加えて、基本カードとクラシックカードといった、核となるカードのみを組み合わせて構築されたデッキを使用することとなる。毎年、新たなカードセットが追加されるたびに対戦で使用できるカードがシフトしていくという仕組みだ。また、スタンダードモードが実装された暁には、ランクマッチをプレイすることで「旧神のささやき」カードパックが手に入るスペシャルな新クエストも利用可能になる。

 

「デッキレシピ」と最大18デッキスロットが利用可能に

3月14日から配信された最新パッチにて、プレイヤーのデッキ構築をサポートしてくれる新機能「デッキレシピ」が実装されたほか、カスタマイズ可能なデッキスロットが最大18個に拡張された。また、もうすぐ導入されるスタンダード・フォーマットとワイルド・フォーマットに備えて新たなUI要素が追加されたほか、『World of Warcraft』のプロモーションにて入手可能な新パラディンヒーロー「リアドリン」が登場。そのほか、『ハースストーン』が新たにタイ語でローカライズされた。いまや世界のe-Sportsシーンで脚光を浴びる本作は、これで14もの言語に対応したことになる。

新パラディン「レディ・リアドリン」
新パラディン「レディ・リアドリン」

今回のパッチにあわせて、コレクションブックにさまざまな改良が施された。「デッキレシピ」はコレクションブックから利用可能。新しいデッキのコンセプトを手軽に試せるのが特徴だ。デッキを構築する際の「お勧めカード」も、これまでより“気の利いたもの”になったとのこと。また、コレクションブックでカード裏面デザインを右クリックした際の表示方法がガラリと変化している。さらに、カード検索に使用するキーワードに、攻撃力・体力・コスト・ゴールデンが新たに追加された。加えて、最大18個のデッキスロットが利用可能に。9人の基本ヒーローを全員アンロックすれば、9つのデッキスロットが追加で解放される。既にアンロックしているプレイヤーに関しては、新しいデッキスロットがすでにコレクションブックへ追加されているはずだ。

パラディンクラスの新キャラクター「レディ・リアドリン」は、『World of Warcraft』のキャラクターをレベル20まで成長させて、「Fledgling Hero of Warcraft」の実績を解除することで入手できる。ただし、実績はさかのぼって獲得できないため、日本時間で3月12日午前3時30分以降に解除したプレイヤーのみが対象となる。獲得後は、「コレクション」の「ヒーロー」タブに追加される。なお、『World of Warcraft』を持っていないユーザーも、Battle.netから「Starter Edition」が無料で始められるので、「リアドリン」を入手することは可能だ。また、これにあわせて、『World of Warcraft』の新マウント「Hearthsteed」も登場。『ハースストーン』の「プレイ」または「闘技場」モードで合計3勝すると、クエスト報酬「騎乗せよ!」が獲得できる。その状態で『World of Warcraft』にログインすればゲーム内メールで限定マウントが受け取れるという仕組みだ。

 

ハースストーン日本選手権を制したのは

今月12日、秋葉原の「e-sports SQUARE AKIHABARA」にて、国内最高の『ハースストーン』選手を決する大会「ハースストーン日本選手権」が開催された。「ハースストーン世界選手権」のツアーポイントで国内ランキング上位32名の凄腕プレイヤーたちが、翌日行われた8名による決勝戦を含め、2日間の激戦を繰り広げた。その頂点に立ったのはmattun選手。3月25日から同27日にアメリカで行われるアジア大会への出場権を手にした。

国内大会の頂点に立ったmattun選手
国内大会の頂点に立ったmattun選手

特筆すべきは、「DetonatioN」のcross氏や「DeToNator」のReneKuroi氏、「Unsold Stuff Gaming」のArusu氏といったプロチームに所属する選手や、前回の王者で世界大会ベスト4の実績を誇るKno選手を差し置いて、ベスト8に進出したファイナリストが全員新顔ばかりだったことだ。運要素が強いカードゲームだけに常に誰が勝っても不思議ではないことは否めないが、今大会では特段レベルの高い試合が繰り広げられたようだ。

大会の解説を務めたamanos氏によると、mattun選手が優勝した理由として「研究」と「向上心」が挙げられるとのこと。mattun選手は、過去の国内大会でどのヒーローがどれだけ使用されていたのかを入念に調べており、人気ヒーローやデッキ構成を徹底的に研究したという。相手のカードに対してどのカードで対応するべきなのか。海外の有名プロプレイヤーによる動画配信から学んだことも多かったと語っている。過去の猛者を倒すためのデッキ構築を念頭に、徹底的な下調べと準備から完成したオリジナルデッキが勝利の鍵となったようだ。アジア大会でのさらなる活躍に期待したい。

余談になるが、「旧神のささやき」のカードパック先行購入キャンペーン開始を記念して、3月15日に新宿東口のステーションスクエアにてライブペインティングのイベントが開催された。アーティストたちが巨大なキャンバスに「旧神のささやき」のロゴアートをリアルタイムでペイントするという内容で、午前10時から午後7時30分まで行われたイベントの様子はTwitchにて配信された。同時に、MCとゲストによるトークセッションも実施。完成したイラストは3月18日の午後8時まで展示される予定だ。昨年の日本語ローカライズを好機に、『ハースストーン』が国内でも確実に存在感を増していることを象徴するアートといえるだろう。