『リングフィット アドベンチャー』を継続プレイすると「抑うつ症状が改善する可能性」示す研究。運動不足だけでなく、メンタルにも効きそう

継続してプレイすることで抑うつ症状などの緩和にも効果がある可能性が研究によって示されている。

任天堂が2019年に発売したNintendo Switch向けソフト『リングフィット アドベンチャー』は、専用の「リングコン」や「レッグバンド」を体に装着することで、遊びながらトレーニングができるフィットネスゲームだ。運動不足を改善できるとして一躍ブームとなった同作だが、継続してプレイすることで抑うつ症状などの緩和にも効果がある可能性が研究によって示されている。

中国・吉林大学の黄可欣氏および宋雷氏を共同筆頭著者とする研究チームでは、「閾値下うつ病」の参加者を集めて『リングフィット アドベンチャー』がもたらす効果を探った。閾値下うつ病とは、抑うつ症状が見られる一方で、大うつ病性障害(うつ病)と診断される条件を満たしていない病状のこと。閾値下うつ病に該当する場合には運動療法が効果的であるとされているが、運動を継続することの難しさが課題となっている。

そこで本研究では、Nintendo Switchを用いたエクサゲームであり、運動への参加を促すことで知られる『リングフィット アドベンチャー』が、閾値下うつ病に該当する参加者がもつ抑うつ症状、不安症状、睡眠の質にどのような影響を与え、参加者がどのような体験を得るのかを調査することにしたそうだ。

研究の対象となったのは、中国東北部の3つの大学の学生のうち、閾値下うつ病に該当する成人84名。そのうち半数にあたる42名の介入群には、『リングフィット アドベンチャー』を用いたプログラムを、1回50~60分間、週に2~3回のペースで8週間実施。残りの42名は対照群として、通常の日常生活を継続した。

その結果、プログラムの実施が終了した8週目から16週目にわたって、抑うつ症状や睡眠の質に有意かつ持続的な改善がみられた。不安症状については、全体の傾向としては統計的に有意であると判定される基準には達しなかったものの、それぞれの評価時点においては、対照群と比較して軽減されていることが確認できたそうだ。

また参加者へのインタビューの結果、ゲームの段階的なレベルアップやカスタマイズ性が、参加者の没入感やモチベーションの維持に繋がったことが示された。こうした実験結果を受けて研究チームは、『リングフィット アドベンチャー』をはじめとするエクサゲームが閾値下うつ病の状態にあってもアクセスしやすく、魅力的な早期のメンタルヘルス支援のためのツールとして有効であると結論づけた。

ただし、参加者のインタビューでは、騒音や天候を気にせず運動できる実験室の環境の良さや、スタッフによる定期的なリマインダーが、運動継続の鍵となったことなどが述べられている。研究チームは、実際の家庭環境で一人でプレイした場合の結果や、より長期間継続した際に現れる効果についても検証する必要があるとの展望を示している。また大学生以外の年齢層についても同様の効果がみられるかどうかにも、さらなる調査が必要となりそうだ。

『リングフィット アドベンチャー』がもたらす健康効果についてはさまざまな研究が存在し、たとえば2021年には千葉大学の研究チームによって、慢性腰痛の痛みを緩和する効果が確認されていた(関連記事)。適度な運動が心身の健康にもたらす効果については広く認識されているが、日常的に運動する習慣がない人に継続してもらう方法が課題とされる。『リングフィット アドベンチャー』のようなフィットネスゲームを活用することによって、日ごろの運動をより促せる可能性が示唆されたかたちだ。

先日には、国内で初めて小児期における注意欠如多動症(ADHD)の治療補助を目的としたゲームアプリが登場するなど、ゲームを治療に活用する例も増えている(関連記事)。親しみやすく継続しやすいゲームの導入によって健康にプラスの影響を与える方法の模索は今後も続いていきそうだ。

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

記事本文: 890