『フォートナイト』のUEFN制作では「一握りのクリエイターが配当金全体のほとんどを受け取っている」とのユーザー分析あがる。なかなかの格差世界

 

Epic Gamesより提供されている無料コンテンツ制作ツール「Unreal Editor for Fortnite」(以下、UEFN)。それによって得られた配当が、クリエイターにどのように配分されているか一覧でグラフにまとめたユーザーが現れた。そのユーザーによると、プレイヤー人口と配当金が上位のクリエイターに大きく偏っているとのことだ。


Epic Gamesはゲームエンジン「Unreal Engine」のほか、基本プレイ無料のTPSバトルロイヤルゲーム『フォートナイト』などの開発元として知られる米国の企業だ。同社は『フォートナイト』に向けて2023年3月よりUEFNを展開している。

UEFNとは『フォートナイト』上でプレイ可能なゲームを作成できるコンテンツ制作ツールだ。本作には以前よりクリエイティブモードとして、ユーザーが独自のマップを作ることのできる機能があった。UEFNでは、そのクリエイティブモードを元として独立したアプリケーションとしてさまざまな機能が追加された。

たとえばフォートナイト内に存在しないアセットをインポートし、オリジナルの3Dモデルやサウンドなどを制作マップで使用できるようにしたり、独自のプログラミング言語「Verse」を使うことで複雑なロジックを実装したりすることができる。

こうして制作されたコンテンツは他ユーザーも遊ぶことができる。Epic GamesはUEFNで制作されたコンテンツについて、「エンゲージメントプログラム」によって収益を分配するとしている。つまり多くのプレイヤーに、長く遊ばれるほどクリエイターにより多くの配当金が支払われる、ということだ。

エンゲージメントの詳細はEpic Gamesのほかにも、クリエイターが専用のポータルから確認できるとのこと。この情報を利用して、プレイヤーと配当金の具体的な分布をまとめたユーザーが現れたようだ。グラフを作成したユーザーは元プロゲーマーでプログラマーのkamyker 氏。

同氏の投稿によると、11月27日時点で集計されたデータでは、同時接続プレイヤー数は約109万人。グラフは横軸がクリエイターの順位で、エンゲージメントの多かった順に並べられているようだ。また縦軸はプレイヤー数となっている。各クリエイターのコンテンツに対して、どれほどの数のプレイヤーが同時にアクセスしていたかというグラフとなる。

グラフによれば、プレイヤー数は上位10名程度のクリエイターに偏っており、そこから急激に減少している。横軸の300を越えるとプレイヤー数を示す青線も見えなくなっており、プレイヤーの数は非常に少ないか居ないといった状況だと思われる。またkamyker氏の投稿によれば、全配当の90%が上位153名のクリエイターに支払われているという。人気のコンテンツには人が集まりやすい一方で、あまり人目につかないコンテンツは伸び悩んでいるようだ。


Epic Gamesからもクリエイターへの配当金に関する情報が公開されている。4月度のクリエイターへの配当額を年間換算し、年間でどれだけのユーザーがいくら受け取れるかが表としてまとめられている。表によれば、全クリエイターのうち5人のクリエイターが年間収益として1000万ドル(約15億円)の配当を受け取り、年間100ドル(約1万5000円)を受け取れるクリエイターは2167人になる。こうした公式データとすり合わせてみても、「収益の半分が上位15名に支払われている」とするkamyker氏の分析の精度は高そうだ。一部の上位クリエイターが大きな規模の配当を受け取り、多くのクリエイターは配当を貰えたとしても少額になっているようだ。

無料で利用可能なツールであり、国内でも開発者を募集する企業もあるUEFN(関連記事)。Epic Gamesによれば収益の配当額が大幅に上昇しているとされており、順調な展開を続けているとのこと(関連記事)。ただ活発な展開や成長を見せる一方で、一部の人気コンテンツに多くのプレイヤーが集まってしまい、その他のさまざまなコンテンツにプレイヤーが行き渡らないという、一極集中的な傾向もあるようだ。