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ヒット中のSteamダーク童話ローグライトアクション『Cinderia』、何が面白い?ゲームの「バランス」が「自分だけのビルドを創る」を楽しくする良作
パブリッシャーのNPC EntertainmentとデベロッパーのMyACG Studioが早期アクセス配信中の『Cinderia』が好調だ。本稿では、『Cinderia』がどのようなゲームであり、本作のビルド要素のどこが優れているのかをご紹介しよう。

パブリッシャーのNPC EntertainmentとデベロッパーのMyACG Studioが早期アクセス配信中の『Cinderia』が好調だ。
本作は童話の世界観をモチーフにしたローグライト・アクションゲームだ。プレイヤーは4人の少女から操作キャラを選び、荒廃した世界で生き残った人間たちを探して拠点に招きつつ、世界を滅ぼした魔女の討伐を目指す。
本作は本稿執筆時点で、Steamユーザーレビューにて、4073件中87%が好評の「非常に好評」ステータスを獲得している。4月時点で販売本数が10万本を突破したことも公式より告知されており、すでに一定の成功を収めていると言っていいだろう。

なぜ本作は高評価を得ることができたのか。筆者は実際に十数時間プレイした結果、“ビルド”、すなわちキャラを「創りあげる」おもしろさが、ほかのローグライト作品と比べても優れていることが、高評価の要因ではないかと感じた。
本稿では、『Cinderia』がどのようなゲームであり、本作のビルド要素のどこが優れているのかをご紹介しよう。なお本稿は、早期アクセスバージョンV0.6.10bにて検証を行っている。
圧倒的物量。なのに良バランスの強化要素
『Cinderia』はステージクリア制の、2Dローグライトアクションだ。プレイヤーは5つのステージを踏破し、ラスボスである「灰燼の魔女」の討伐を目指す。各ステージはいくつかの部屋に分けられており、部屋内に沸く敵を全滅させると次の部屋に進むことができる。部屋をクリアした際に報酬として入手できる強化要素でキャラクターを育成しながらボスに挑む、ローグライトジャンルおなじみのゲームシステムとなっている。

本作の強化要素は大きく「魔法カード」「呪炎の残り火」「装飾品」の3種類に分類される。「魔法カード」はアクティブスキルを追加できる強化要素だ。本作のプレイアブルキャラクターは、初期状態だと通常攻撃と、デフォルトで右クリックに割り当てられているスキルの2種類の攻撃しか使用できないが、「魔法カード」によってアクティブスキルを獲得することで、最大3枠までスキルを追加できる。
4体のプレイアブルキャラそれぞれに20種類以上のスキルが用意されていて、それぞれのスキルは4段階まで強化可能だ。バリエーションも豊富でどのスキルも個性的な性能を持つため、同じキャラクターでもスキルの取り方によってまったく異なる戦闘スタイルになるのがおもしろい。
どのスキルが入手できるかはランダムに提示されるが、リロールは可能。すこしゲームを進めれば、取得後のスキルを別のスキルに入れ替えることもできるため、3つの強化要素の中ではもっとも育成計画をたてやすい。どのスキルを取るかによってどんなキャラクターになるかがおおよそ決まる、ビルドのベースになる要素だ。

「呪炎の残り火」はパッシブ効果を追加する強化要素だ。特定の攻撃のダメージを増加させるシンプルなものから、通常攻撃のコンボから特定の技をはぶくといった変わり種まで、100種類以上の強力な効果が用意されている。
「魔法カード」や後述する「装飾品」と異なり所持数の上限がないのも特徴だ。だが、手あたり次第にとっていいわけでもない。「呪炎の残り火」取得すると、同時に「穢れ」がたまり、この「穢れ」が一定値を超えるとデメリット効果の「呪い」が発現してしまうからだ。どんな「呪い」が発現するかはランダムではあるが、解呪する手段が限られているので、なるべく呪われたくはない。「穢れ」をうまくマネジメントしながら、いかに強力な効果を選んで取得できるかが試される。

「装飾品」は最大で6個まで装備可能で、基礎能力値を上昇させ、追加効果を付与する強化要素だ。装飾品にはコモンからレジェンダリーまでレアリティが設定されており、高レアリティほど上昇する能力値が高く、強力な効果がつく。
おもしろいのが、ほぼすべての装備が最高品質のレジェンダリーまでアップグレード可能な点だ。アップグレードすることで、能力値の上昇量が増えるのに加え、既存の追加効果にプラスして、あらたな追加効果がつくこともあるため、低レアの装備でも“ハズレ”にならないのはよく考えられている。とりあえず装備していた装飾品が、強化によって思わぬシナジーを生むこともあり、ビルド要素のよいアクセントとしても機能している。
出現する装飾品は120種類以上用意されていて、それらのアップグレード分を含めれば、その総数は400種類以上にのぼる。リロールによってある程度狙って取得できる「魔法カード」「呪炎」と違い、入手は完全に運次第。本作の強化要素の中でもっとも種類が多いため、特定の装備を狙って入手しづらく、育成計画に組み込みづらいのが難しい点だ。

良バランスが生み出す、自分でビルドを開拓している感
ここまで、『Cinderia』には非常に豊富な強化要素があることを紹介した。ではこれらがいかにしてキャラクターを「創りあげる」おもしろさを生み出しているのか、ほかのゲームに負けない、本作のウリとはなにかについてご紹介したい。
筆者はローグライク/ローグライトゲームには、「壊す」楽しさと「創る」楽しさの2つがあると考えている。倍率の乗算や効果の掛け合わせによって戦力をインフレさせ、ゲームバランスを破壊する(あるいは、破壊しているように思わせる)のが、「壊す」おもしろさだ。近年のゲームで言えば、『Balatro』や『CloverPit』、『RACCOIN: Coin Pusher Roguelike』などが、倍率の掛け算によって巨大な数字を生み出してゲームを「壊す」快感に特徴のある作品だ。

一方で「創る」楽しさとは、たがいに連動するシナジーを揃えるなどして、特定の“完成系”に向かってデッキやキャラクターを最適化していくおもしろさだ。『Slay the Spire』を筆頭とするデッキ構築型ローグライクはおおむね「創る」楽しさに特徴があり、いかにしてビルドを完成系にもっていくかのテクニックや、どのビルドが有用であるかの研究に、おもしろさの比重が置かれているイメージだ。
筆者は『Cinderia』も「創る」楽しさに特徴がある作品だと感じたが、本作はデッキ構築型のそれともまた少し異なる、「完成系がわからなくとも完成する」おもしろさがあるように思う。

これは強化要素同士の関連性のわかりやすさに起因しているところが大きい。たとえば、初期キャラクターである「ルー」はナイフを投げて攻撃するスキルをいくつか持っているが、それらのスキルは説明文に必ず「ナイフ投げ」のキーワードがハイライト表示されている。「ナイフ投げ」に関連するスキルにはすべてこのキーワードが含まれているため、どの能力をとれば「ナイフ投げ」を強くできるかが、明確で理解しやすい。
キーワード化を含め、強化要素の説明はシンプルで理解しやすい文章にまとめられている。これにより、即興的にビルドを組み上げても、なにがどう作用してダメージが出るのか、何をすれば強いのかがわかりやすい。ビルドの完成系のイメージがなくとも、アクティブスキルを軸に、関連するキーワードでパッシブスキルを揃えていくだけで、それっぽい形にまとまるわけだ。

また、強化要素のパワーバランスが絶妙で、どのようなビルドでもちゃんと戦えるようなバランスになっているのも大きなポイントだ。筆者は数十回のプレイの中で、4体のキャラクターのさまざまなビルドを試したが、どんなビルドを使った時でも、敵の強さの上昇に置いて行かれるような感覚にはならなかった。いい意味でビルドが自由で、開発者のデザインしたビルドを強制されている感がないのだ。絶妙なバランス調整により、プレイヤーが自分でビルドを開拓している感が、しっかりと感じられるようになっている。
それでいて強化要素が膨大で、ビルドのパターンも多岐にわたるため、遊びがパターン化されづらいのも素晴らしい。毎回違ったゲーム展開になりながらも、強化要素のバランスが本当によく作られていることで、最終的にキャラが「完成」し、達成感と、アクションの爽快感を感じられる。この気持ちよさこそ、本作のおもしろさの本質であり、ほかのローグライトでは得難い体験ではないかと筆者は感じた。

もちろん本作はまだ早期アクセス配信中であり、改善点も多い。今後の追加要素によって、バランスが変わることもあるだろうが、少なくとも現バージョンにおいて、『Cinderia』は数あるローグライトの中でも、キャラを「創りあげる」要素の出来に関しては、上位に入るおもしろさだと断言できる。
キャラクターが完成してく、整っていく気持ちよさを感じたいプレイヤーには、ぜひ本作をプレイしてみることをオススメしたい。

『Cinderia』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。ゲーム内は日本語表示に対応している。価格は税込2000円。
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