『ポケットモンスター ソード・シールド』非公式クリスマスイベントで「本当にプレゼントが流れるのか」を調査した結果、失敗した

 

『ポケットモンスター ソード・シールド』では、非公式的なイベントも盛んだ。その代表的なもののひとつが、「オペレーション・デリバード」。現地時間のクリスマスの日とその翌日のボクシング・デイ(日本時間2019年12月25日17時~27日17日)の間、新しく『ポケットモンスター ソード・シールド』を手に入れた子どもたちや初心者のために、マジカル交換にてプレゼントを流してあげようではないか、という非公式の企画である(関連記事)。

SNSで「オペレーション・デリバード/ オペレーション デリバード」にて検索すると、参加している人々の少なくない声が存在し、発祥元である海外だけでなく日本国内でもそれなりに盛り上がっていたようだ。筆者もその盛り上がりを見て、興奮する一方で「実際のところ、オペレーション・デリバードでプレゼントが流れてくるのか?」という疑問を抱いたのである。準備も計画もない筆者らしい、勢いだけの浅はかな疑問から検証を始めたわけだが、結論からいうと調査は失敗に終わった。この調査はあてにはならない。企画当初の考えていたタイトルとしては、【ニュース】『ポケットモンスター ソード・シールド』非公式クリスマスイベントで「本当にプレゼントが流れるのか」を調査した、と堅めな感じにする予定だったが、それも無意味になった。全部水の泡になった。しかしながら、少なくない時間を費やしてしまったため、もったいないという気持ちが抑えられない。それらの調査を無に帰さないために、コラムという形で、見通しのあまい企画の失敗結果を共有させていただく。

 

マジカル交換で検証

調査結果の条件はこうだ。期間中の昼と夜に10回ずつのマジカル交換をおこなう。そして、期間外に同じく昼と夜に10回ずつマジカル交換をおこなう。25~27日で20回、28~29日で20回。計40回のマジカル交換をすることで、その差異を見るというわけだ。

オペレーション・デリバード 期間中に流れてきたポケモン

12月25日夜 0時前後

・ラフレシア 4V
・ドラメシヤ 4V
・ヒバニー 2V 御三家
・ニューラ 3V
・ドラメシヤ 5V
・メタモン 3V
・ガラルポニータ 5V バージョン限定
・ココガラ 3V
・ヤンチャム
・ココガラ

12月26日昼 12時前後

・イエッサン 5V 夢特性 バージョン限定
・バイウールー
・ボクレー 3V
・ココガラ 1V
・ヨーギラス 1V
・ハトーボー 2V
・スボミー 1V
・ヘイガニ 1V
・コイキング 3V
・カビゴン 3V 夢特性

オペレーション・デリバード 期間外に流れてきたポケモン

12月28日夜 0時前後

・ヤバチャ 5V
・ヒンバス 3V
・ドガース 1V
・ホシガリス
・ヒトモシ 4V
・キャモメ
・コイキング 1V
・ジュラルドン 5V 夢特性
・ギャラドス
・サダイジャ
・ネンドール 4V
・ユキワラシ 3V

12月29日昼 12時前後

・ペロッパフ バージョン限定
・ムンナ
・ジメレオン 御三家
・モノズ 3V バージョン限定
・タンドン 4V 夢特性
・サルノリ 御三家
・カムカメ 1V
・コイキング
・ココガラ 1V
・トランセル 1V
・ミツハニー
・ニャイキング

以上となる。プレゼントの定義が難しいが、今年のオペレーション・デリバードを呼びかけていた氏の定義にのっとりつつ、「バージョン限定」「御三家」をひとまずプレゼントとする。さらに、マックスレイドバトルの最低個体値である「3V」、そして「夢特性」持ちや「色違い」もプレゼントに含めて、洗い出しをおこなう。その結果が以下のとおり:

オペレーション・デリバード期間中のプレゼント率
12/20 60%

オペレーション・デリバード期間外のプレゼント率
11/20 55%

今回の結果においては、イベント期間中が若干高かったもののプレゼント率はあまり変わらなかった。いずれの日においても、孵化余りやバージョン違いといったポケモンが、コンスタントに流れてきた。マジカル交換は、常日頃から素敵なポケモンが流されているということだろう。という感じで終わりたかったのだが、そうはならなかった。なぜなら、今回の調査はあまりにも締まりが悪い。原因としては、方法が悪かった。

 

そもそも全部悪かった

今回の調査に欠陥があると感じたきっかけは、弊社スタッフの指摘によるものである。それなりに『ポケモン』をやりこんでいるスタッフに今回の企画を相談したところ、重要な問題を指摘された。薄々感じている人もいるであろう、そう、サンプル数が絶対的に足りない点である。世界中のポケモントレーナーが24時間中マジカル交換に勤しんでいるわけで、たった20・20のサンプル数で「期間中/期間外」のプレゼント率を推し量ることは不可能なのである。極めて真っ当な指摘であった。しかし、その指摘を受けたのは27日の昼下がり。もうピークタイムを終えていた。というか、オペレーション・デリバード自体がほぼ終わっていた。再調査をするには、2020年12月を待たねばならない。そんな事実から目をそらしながら、とりあえず調査を完遂したところ、案の定の結果が生まれてしまった。

そもそもであるが、非公式イベントの盛り上がりを計測するには、『ポケットモンスター ソード・シールド』のユーザーベースは巨大すぎた。マジカル交換を期間内/期間外で各100回していたならば、まだ信憑性は上がっていたかもしれないが、それでも全世界でおこなわれていたマジカル交換のごくごく一部の面に過ぎない。また同時期に同じような、マジカル交換型イベントが実施されていれば、その時点で今回の検証の結果は濁る。あくまで「期間中、どれだけプレゼントが配布されているか」なので、企画としては成り立つが、オペレーション・デリバードを起因とするプレゼントというコンテクストを内包するので、やはりブレる。「本当にプレゼントが流れるか」を検証すること自体が、無茶だったということになる。

また、プレゼントの定義が曖昧すぎた。弊社スタッフから「3Vはプレゼントではない」と断言されたことも含めて、プレゼント自体の定義付けが難しい。Nintendo Lifeはオペレーション・デリバードの定義にて「クリア後に手に入るポケモン」というのもプレゼントに含めていたが、これは筆者の判断で省いた。今回の計測結果には含めなかったが、オシャレボールのポケモンもプレゼントになりえるだろう。何をもってプレゼント、非プレゼントとみなすのか。そこの定義にもっと時間をかけるべきだった。かけたとしても、いまいちだったことには変わりないだろうが。

とはいえ、40回の交換、およびそれらのポケモンの記録には、それなりに時間がかかったので、虚無が生まれたとはいえ虚無のまま消し去ることはできない。恥よりも、もったいないという気持ちが勝った。ということで、今回コラムという形で手向け、そして繰り返さぬように自戒をこめて、あてにならない調査結果を共有させていただいた。調査も記事書きも、下調べと準備が8割。結果を見通しておき、結果が見通せないもしくは検証意義がなければ実行前に中止する。普遍的にいえる、物事の基本である。2020年をまたいで無の原稿を作り上げてしまった身として、あらためて雑な仕事をしてはいけないと痛切に感じる次第であった。

やたらと多かった海外産ココガラ。

ちなみにマジカル交換のマッチングは、夜は20秒程度(おそらく最短)ですぐ終わるが、昼はやや待つことが多かった。1分を過ぎてもマッチングしないこともあった。今回の調査での、マジカル交換相手の外国人プレイヤー率は55%程度。流れてくるものも夜のほうがいいものが多かったので、やはり欧米で日中である日本時間の夜のほうが、マジカル交換は活発なのかもしれない。ただし、これらの考察も、少ないサンプル数によって導き出された推測なので、説得力に欠いていることをお忘れなく。