株式会社ポケモンの宇都宮崇人氏は、ポケモンワールドチャンピオンシップスにてメディア向けインタビューに回答。その中で、『ポケモン』新作ゲームのリリースペースを変えずに、クオリティの向上を検討している旨の回答をしたという。ComicBook.comが報じている。
「ポケモン」フランチャイズは、大人気IPとして世界的な成功を収めている。新作ゲームにおいても売上面では結果を出し続けている。一方で、必ずしも問題がないわけではない。というのも、不具合が多くなってきているのだ。直近の例としては『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』があげられる。特にオープンワールド化を果たした『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』は、パフォーマンスに多くの問題を抱えているとの指摘がなされてきた。
その多くはアップデートによって修正されたものの、不具合の増加やパフォーマンス問題はリリーススケジュールによるものではないかと推測もあがっている。『ポケモン』シリーズのゲームはリリースペースが速い。シリーズ本編だけに絞っても、2018年に『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』がリリースされてから、毎年のように新作が発売されており、5年の間に5作品が届けられてきた。『ポケットモンスター ソード・シールド』では大型DLCが発売されたことを踏まえても、驚異的なペースである。一方で、そうしたスケジュールは、納期のタイトさにつながる。デバッグ期間も短くなると推察され、リリースペースの速さが不具合の多さにつながっていると考えられているわけだ。
こうした背景を踏まえて、ComicBook.comは宇都宮氏に「新作の『ポケモン』のリリースに関しては、ポケモンブランドとして守らなければいけない特定のスケジュールがあるのか」と尋ねたそうだ。すると宇都宮氏は通訳を介して、「過去事例を踏まえると、これまで(『ポケモン』新作ゲームは)同じような周期でリリースしていた点で、コンスタントなリリースでした」とコメント。続いて「お客様に常に新しい体験をしてもらうために、そうしたペースで製品を出してきた」と語る。そして「こうしたやり方は続けます」とコメント。一方で「開発環境が変化していることを踏まえ、こうしたやり方を続ける上で、高品質な製品を生み出すためにどうすればいいかという対話が多く出てきています」と語った。
宇都宮氏はおそらく日本語で回答をしたと見られ、それが英語になり、そして日本語になる……と考えると、発言ニュアンスについてはもともとの発言から乖離している可能性も考慮すべきである。一方で、リリースペースは変えずに品質を上げる術が検討されているとすれば、興味深い。
株式会社ポケモン自体は、『ポケモンSV』のリリース翌月の12月に、ゲームの品質についてお詫び。「その他さまざまなご指摘やご意見をいただいていることにつきましても、関係各所にて認識を共有しております。いただいたご意見を真摯に受け止め、これからも改善を続けてまいります」と語っていた。問題点があることは把握していると見られる。何かしらの対策を打つのは自然だろう。『ポケモンSV』は、ストーリーやシステムなどゲームとしての進化は評価されている。不具合やパフォーマンス問題にどう対処すべきかが課題になる。そうした中でリリースペースを変えないとすれば、どのような手立てを打つのだろうか。
いずれにせよ、『ポケモンSV』のふたつの大型DLCリリースが年末に控えていることから、品質改善の結果が見られるのは来年からになるだろう。IPとしての進化を続ける『ポケモン』シリーズの、ゲームとしての新たなかたちを楽しみにしたい。