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不穏メルヘン探索アドベンチャー『アリスインワンダーアンダーランド』は、“かつてのインターネット体験”を呼び覚ます。何が起きるかわからない不安とワクワクに満ちたカオス探索
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筆者が多感な時期を過ごした2010年代は、パソコンからスマートフォンへインターネットの主軸が推移していく年代だった。筆者は学校から家に帰ってすぐ、パソコンを開き、インターネットに明け暮れていた少年であった。当時インターネットでやったことといえば、もっぱらフリーゲーム漁りやFlash製コンテンツやおもしろ動画探しだった。
インターネットを彷徨い、見つけたありとあらゆるものを持ち帰る。その中身は実際に開けてみないとわからない。中には悪臭漂う凶悪なものさえある反面、自分の人生を揺るがすようなコンテンツも眠っていた。ただ単に当時を美化しているだけかもしれないが、昔のインターネットにはそういった「カオスな世界を探索する」楽しさがあった。
いきなり回顧録のような語り口になってしまったのも、『Alice in Wonder Underland -AIWU-』を遊んだ時、その感覚がまざまざと蘇ってきたからだ。本稿では筆者がなぜそれを感じることとなったのか、紹介していきたい。
パブリッシャーの有限会社レジスタは4月23日、探索アドベンチャーゲーム『Alice in Wonder Underland -AIWU-(アリスインワンダーアンダーランド アイウ)』(以下、『AIWU』)をリリースした。対応プラットフォームはNintendo Switch/PC(Steam)となっている。

ジャンルレスなカオス世界
『AIWU』は摩訶不思議な夢の世界を舞台とした探索アドベンチャーゲームだ。主人公はある日見知らぬ部屋で目覚めた少女アリス。アリスは何も知らぬまま、好奇心で部屋を飛び出してしまう。プレイヤーはアリスとなり、部屋の外に広がる未知の世界を冒険することとなる。舞台となる摩訶不思議な世界には、30種類以上にもおよぶエリアが存在。アリスはこの世界ではなぜか話すことができないが、手助けをしてくれる「黒ウサ」や世界の住人の助けを借りて、広大な世界を探索していくこととなる。
本作は小鳥遊すずめ氏の漫画作品である「アリスの物語」を原作としたゲームとなっており、「不思議の国のアリス」を始めとしたおとぎ話の世界をベースに、さまざまな世界が描かれる。この「さまざまな世界の存在とディテール」こそが本作随一の魅力となっているのだ。
おとぎ話の世界から、船長を失った宇宙船、住民たちが色を奪われる退廃的な世界、中には日本の昭和の町並みを再現した世界などが存在する。探索できる世界はそれぞれがテーマも年代も全く異なる。エリアへの説明もなく、行ったら何が起きるのかも不明。行ってみるまで何が起きるかわからない様子は、筆者が昔のインターネットに感じたカオスを想起させる。

そう思わせたのも本作は「ダークメルヘン」や、「昭和の日本の街並み」「レトロゲーム」「ネットミーム」「リミナルスペース」といったあらゆる要素を作品内に融合しているという点もあるだろう。ひとつの作品内にあらゆるカルチャーが行き交う様子は、筆者がのめり込んだインターネットの「見たことのない世界」とリンクされる。このジャンルレスなカオス世界こそが、『AIWU』の大きな魅力のひとつとなっているのだ。
あらゆるものに触れる能動的な探索
そしてジャンルレスなカオス世界を、「手探りで探索することができる」ところも本作ならではの魅力のひとつ。本作はこのあらゆる世界を自由に探索することができるのだ。探索する順番も決められていないし、イベントの攻略もプレイヤーの自由。何が起きるかわからないカオスな世界を探索するのは、どういったことが起こるのかわからない不安とワクワクが常に付きまとう。
筆者も最初こそ、この大きな世界にそのまま放り込まれて驚いたが、プレイを進めていくと、当時インターネットを彷徨ったあの頃を思い起こした。当時のインターネットには、AIによるサジェストもSNSもトレンドもなく、ただ膨大な情報が未整理のまま置かれているように感じられたものだ。情報の箱のような検索結果をじっくりと眺め、自らの意思で必要なものを手繰り寄せる。本作の手探りな感覚は、まさにあの「能動的な探索」そのものだったのである。
そう感じさせた要因のひとつに 、本作の探索の魅力のひとつである「あらゆるものにインタラクトできる楽しさ」があったからだ。本作のマップにはあらゆるギミックやイベントが用意されており、それを解決させることで次のマップに行けるようになったり、新たなる展開を呼び起こすことができる。マップ上のありとあらゆるものにインタラクトができ、プレイヤーはそれを自由な順番で試すことで新たなギミックや展開を楽しむことができるのだ。
たとえば、探索できる世界のひとつである昭和の町並みをテーマにしたマップでは、駄菓子屋、消防署、公園といったところから、一般家屋や廃墟に至るまでさまざまなところに入ることができる。その場その場でさまざまな発見があるのだが、筆者が驚いたのはゲーム機にインタラクトした瞬間。アリスは、ゲーム機に吸い込まれるように入っていき、電脳世界に突入するのだ。
基板の上を歩くことができるその電脳世界では、特定のポイントに触れることで、実際に作り込まれたレトロゲームを遊ぶことさえできる。 その内容もかなり凝っており、これ単体で発売することもできるのではないか……と思えてしまうようなクオリティだ。その他にも街の中に100円が落ちており、それらを拾うことで自販機でジュースを買ったり、ガチャガチャや、ゲームで遊ぶことができたりと、本作のマップには、こうした遊び心が至る所に散りばめられている。

これだけでも探索の充足感は十分に得られるが、筆者がより強く惹かれたのは、「インタラクトが必ずしも幸福な結果を招くわけではない」という点だ。
世界には思わずドキリとさせる演出も数多く用意されている。純粋な好奇心から何かに触れた結果、思わぬ不条理や、不穏な展開に直面することもあるだろう。この「何が起きるか予測できない」という危うさは、かつてのインターネットにまだ残っていた、ウイルスや危険なサイトの恐怖にも似ているだろう。先入観を捨ててあらゆるものに触れてみると、思わぬ驚きがあるのも、本作ならではの楽しさだ。

現代っ子でもストレスフリー
自由な探索を楽しめるのが魅力の本作であるが、今のゲームプレイヤーから見ると若干不親切に思われるかもしれない。しかし、本作はさまざまな要素が張り巡らされている分、プレイヤーが次の一手に気づける手助けもしっかりと用意されている。
たとえば、アリスの後ろをついて回る黒ウサが丁寧に状況を説明してくれたり、プレイ中に現れるヒントや、アイテムを拾ったときのテキストなど、あらゆるところに導線が流れており、プレイヤーはそれに気づくことで探索の動機となるのだ。
また、「完全に詰まった!」と感じたら一旦リセットすることができるのも優しいところ。本作には「懐中時計」というアイテムがあり、それを使えば時間がリセット。世界を選択するところから始めることができるのである。これによって、くまなく探索し続ける必要はなく、気軽に探索をやり直すことができるのだ。本作は、アリスの衣装によって進める場所が増えていくのもポイントのひとつ。違うマップで手に入れた衣装が思わぬところで役立つこともあるので、探索を放棄するのもひとつの攻略の足がかりとなるのだ。

このストレスフリーなところも本作の良いところ。探索は自由で能動的でないと攻略できないと同時に、マイペースに探索できるという良さもある。自分の思うがままに世界を見て、満足したらやり直すような自由な遊び方も本作では可能だ。
熱意とカオスがオリジナリティ
また、当時のインターネットの好きなところのひとつとして、「あらゆるところがお手製」というのも忘れたくない。手作りのブログやお手製Flash作品、フリーゲームなど作り手のこだわりや個性が見え、それを見ているだけで楽しかった。『AIWU』には、そういった記憶と重なる熱意が宿っていると感じる。
本作のもうひとつの魅力として、キャラクターのデザインや、アイテム、マップなどゲームのほとんどのグラフィックは、原作者である小鳥遊すずめ氏描き下ろしとなっている。全てのビジュアルが一人の手によって生み出されているため、どれほど世界観がカオスであっても、作品に揺るぎない一貫性があるのだ。
特にレトロゲームや昭和の街並みに対する描写のこだわりからは、作者の「好き」という感情がダイレクトに伝わってくる。この圧倒的な熱量は、作品に唯一無二のオリジナリティとなっているのだ。
また、世界に彩りを添えるテキストの数々にも注目したい。収集要素であるアイテムの一つひとつには小粋なフレーバーテキストが添えられており、探索の緊張感の中に心地よい「緩和」をもたらしてくれる。

さらに、各地の住人たちとの会話も探索の醍醐味だ。思わずくすりと笑ってしまうような彼らの言葉には、小鳥遊すずめ氏が参考にしたという『moon』や『ゆめにっき』といった作品のエッセンスも感じられる。そういった小さなところにもカルチャーを感じられるのも、本作のお気に入りポイントだ。あらゆるところがお手製だからこそできる遊び心の仕組ませ方だろう。
本作は、インターネットカルチャーに慣れ親しんできた方であれば、筆者のようにあの時の記憶を呼び起こすような体験ができるかもしれない。逆に、配信大歓迎や考察要素なども用意されており、現代のゲームの楽しみ方にも対応しているも魅力だ。筆者としては、スマホネイティブ世代が本作をプレイしてどう感じるのかも気になるところである。どのユーザーがプレイしても、間違いなくワクワクする探索を楽しめる作品だ。
『Alice in Wonder Underland -AIWU-(アリスインワンダ―アンダーランド アイウ)』はNintendo Switch/PC(Steam)向けに配信中だ。価格はNintendo Switch版が2480円(税込)、PC(Steam)版が2300円(税込)。なお、いずれのプラットフォームでも本作を20%オフで購入できるセールを実施中だ。
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