とあるゲーム開発者、「自作品がバズったけど盗用されまくった」と怒りの報告。でもクローンが粗悪すぎて、むしろ“本家の宣伝”に

Glass Gecko Gamesが5月28日、Steam向けにリリースした『Scale the Depths』。本作は盗用の被害にあったものの、それが“追い風”にもなった、と開発者より伝えられた。

デベロッパーのGlass Gecko Gamesは5月28日、『Scale the Depths』をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam)で、ゲーム内表示は日本語に対応する。Glass Gecko GamesのSerpexnessie氏によれば、本作はAIによる粗悪なコピー作品、いわゆる“AIslop”の被害に遭っていたとのこと。一方で、本作はそうして生まれた模造品をきっかけとして人気を博したのだという。

『Scale the Depths』は、カジュアルな釣りゲームだ。プレイヤーは漁師として魚を釣り、お金を稼ぐことになる。釣った魚は鱗をかいたり、頭を落としたりして捌く。そして船にやってきた鳥などに捌いた魚をやると、代わりにお金を貰うことができる。お金はルアーやバケツ、釣り竿の強化に使うことが可能だ。またリールの長さには上限があるものの、強化によって伸ばすことができ、より深くの海域まで針を届け、さまざまな魚を釣り上げていくわけだ。

そんな本作は、何度も“盗作被害”に遭い、生成AIを用いたゲームに転用されてしまったという。Glass Gecko Gamesのクリエイターのひとり、Serpexnessie氏がReddit上で本作の開発/リリースの経緯とともに、その被害を報告している。

「ゲームジャム発の人気作」は「コピーしやすい恰好の作品」へ

Serpexnessie氏によれば、Glass Gecko Gamesはそもそも大学時代の友人が集まって設立されたデベロッパー。そんなGlass Gecko Gamesの2作目として、ゲームジャムイベント「GMTK Game Jam 2024」に出展したのが、itch.io版の『Scale the Depths』だったという。同作はイベントにてベスト100入りを果たし、最終的にitch.ioにて当時一番人気の釣りゲームまでに躍り出たとのこと。YouTuberに取り上げられ、数百万再生を記録したものもあったという。こうした人気を後押しする動きもあり、Steamでのウィッシュリスト登録数は2025年2月末で1万5000件を超え、広く注目されるゲームになった。

一方で注目を集めたことによって、“盗作”の憂き目にも遭遇したという。2025年3月に、ある企業によるコピー作品がモバイル向けに登場。そのゲームは『Scale the Depths』のコードやアートを丸ごと盗んだだけでなく、課金要素や広告も設定されていたという。Glass Gecko Gamesとして権利者としての申請をおこなったものの、“クローン”を作ったメーカーは、そのたびにアセットをAIフィルターにかけたり、軽微な修正をおこなったりして異議を申し立て、巧みにかわされてしまったとのこと。

そうしたクローンは複数登場し、ついにGlass Gecko Gamesの数少ないメンバーで対応できる労力を超えてしまったという。そのため同スタジオは、権利者としての申し立てを泣く泣く諦めることとなったようだ。こうしてクローンが多発した理由についてSerpexnessie氏は、改変/抽出のしやすさがあったと振り返っている。『Scale the Depths』はゲームジャムへの提出後からAndroid版や中国語翻訳版などがファンメイドで手がけられていたといい、“コピー/改変のされやすさ”が、悪質な模造品の出現に拍車をかけたのだろうと分析している。

模造品の“質の悪さ”がかえって追い風に

そうして模造品の被害を受けたものの、対処を諦めたGlass Gecko Gamesは『Scale the Depths』の磨き上げに専心。パブリッシャーのPretty Soonと契約を結んだこともあり、マーケティングやローカライズについての助けを同社から貰えたという。またSteam向けに展開するにあたって、itch.io版から要素を拡張。寄生虫/フジツボといった要素も追加し、ビジュアルも刷新したとのこと。

磨き上げを施してリリースに備えた一方、意外にも“模造品”が『Scale the Depths』の後押しになったのだという。というのも、模造品は全体的に質が悪く、広告や課金要素が多すぎて評価が低い傾向にあった。さらに盗作したメーカーが『Scale the Depths』そのものの映像を使って“宣伝”したことも相まって、“模造品”に触れたユーザーがオリジナルの『Scale the Depths』に集まる結果になったという。

今回Serpexnessie氏から伝えられた“盗作”の被害。同氏が把握する事例のほか、スレッド内に寄せられた報告も見るに、対応する余裕のないインディー開発者の作品が企業に盗まれる事例は珍しくない事例のようだ。

なおSerpexnessie氏は投稿において、結局はゲームの品質が売上に繋がるといった持論を述べている。宣伝などはあくまで品質の高いゲームを後押しするにすぎないと考えているそうで、「良いゲームはそれ自体で売れる」という言説について「ある意味で真実である」との見解を示した。ゲームが早期に注目を集められるかどうか、また盗用作品に宣伝効果があるかどうかにかかわらず、結局は質の高い作品を作れなければ売上には結びつかないと考えているわけだろう。本作はさっそくSteamにてさっそく100件中87%が好評とする「非常に好評」ステータスを得ており、盗用にめげずに品質面を磨き上げたという同氏の証言の裏付けと言えるかもしれない。

『Scale the Depths』はPC(Steam)向けに配信中だ。

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

記事本文: 1954