龍が如く開発元新作『STRANGER THAN HEAVEN』戦闘先行プレイ感想。主人公の両手と両足をバラバラに操作して感じたのは、リアルな「命のやり取り」

今もなお謎多きゲーム『STRANGER THAN HEAVEN』の戦闘システムに関する試遊体験会が実施される運びとなった。本稿ではその模様をお伝えしよう。

RGGスタジオが手掛ける、今もなお謎多きゲーム『STRANGER THAN HEAVEN』。このたび本作の戦闘システムに関する試遊体験会が実施される運びとなった。本稿ではその模様をお伝えしよう。

『STRANGER THAN HEAVEN』は『龍が如く』シリーズで著名なRGGスタジオによるアクションアドベンチャーゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam)/Xbox Series X|S/ PlayStation5となっている。Xbox Game Passにも対応する。

本作の主人公は米国人と日本人のハーフである大東真と真城優。身寄りもなく、人種由来の差別を受けて日本に流れ着いた2人を中心に、行き場のない人間たちが必死に生き抜いた1915年から激動の50年を描く。なお開発者いわく、本作には『龍が如く』シリーズにも登場する要素が作品に組み込まれているが、インターフェースや操作性、戦闘システム、映像演出など、さまざまな点を独自に作り上げているため、開発としては完全新作タイトルとして認識してほしいとのことだ。

『龍が如く』シリーズからのリセット

まずは本作の戦闘に関して、概要の説明から始めていこう。戦闘における最大の特徴は、主人公の四肢をゲームコントローラーにおける4つのトリガー状ボタンに振り分けていることだ。たとえば、コントローラー右上のトリガーを押すと右腕で攻撃する。右下のトリガーを押せば右足で攻撃する。左上のトリガーは左腕。左下のトリガーは左足の攻撃を担う。実戦ではそれぞれを好きなように入力して、ボクシングにおけるコンビネーションを形づくるかのように戦っていく。各部位は長押しすることで強力な溜め攻撃をくり出すことが可能だ(なお、あくまで攻撃用のボタンがバラバラに設定されているだけであり、キャラクターの移動自体はコントロールスティックを用いる)。

とはいえ、筆者は本作をプレイする前に「この仕様は果たして面白いのだろうか」と疑問に思っていたことを告白したい。四肢をバラバラに入力可能にしたところで、それは面白くなるのか、と。腕と足をそれぞれ入れ替えられるロボットゲームならまだしも、本作の主人公は人間なため、できることは殴る蹴るの延長上にあるアクションに収まる。攻撃バリエーションの限界が存在するのに「四肢」という概念を作る意味があるのか、という疑問があったのだ。

実際にプレイしてみると、この疑問が単なる偏見であったことに気づく。両手両足を使うのは何も主人公だけではない。敵も左右の概念を活かして主人公を殺しにかかる。左側、右側から来る攻撃を如何に対処するのか、という攻防の戦略性が存在していたのだ。本作の戦闘における肝は敵からの攻撃をいかに受けて切り返すか、敵の防御をいかに掻い潜るか、という「防御」を中心とした戦略構築という印象を受けた。

具体的に言うと、本作には敵の攻撃を防御する「防御ボタン」が用意されている。これを入力し続けると主人公が防御体制をとり、敵が繰り出す攻撃の威力を「軽減」してくれる。だが、ずっと攻撃を受け続ければ「気力」が減少。防御が解かれ、無防備になってしまう。そこで重要になってくるのは、敵の攻撃に合わせたジャストタイミングによる防御である。本作では防御ボタンを押しっぱなしにしているとき、敵の攻撃方向に対応した、腕の攻撃ボタンをタイミングよく押すと、俗に言う「パリィアクション」が発生し、反撃が可能になる。

たとえば、敵が「右方向」から殴ってきたとき、防御ボタン長押し+「右上」のトリガーボタン入力で「パリィアクション」が発生する。本作における防御はあくまで、ダメージを無効化するのではなく、軽減してくれるものにすぎない。敵のモーションを観察し、効率よく反撃を繰り返すことで、戦況を打開していくわけだ。また、敵もこちらの攻撃方向に合わせた、左右に切り替わる防御をしてくる。敵のモーションを観察し、防御が薄い方向に合わせて攻撃を差し込んでいく必要がある。ただ、ここまで目を通していただいた読者の中には、以下のように思った方もいるだろう。「タイミングを狙うアクションが難しい」「防御が強いと、敵の攻撃を待つゲームになってしまうのではないか」。安心してほしい。これらの疑問には回答が用意されている。

まず、「タイミングを狙うアクションが難しい」という意見に関しては、ゲームスピードの遅さを通じて確保できる思考時間が回答となる。本作はリアルな人間同士による命のやり取りを表現するため、ゲームスピードがアクションゲームとしてはゆったりしている。人間の運動速度に近づけている。少なくとも『龍が如く』シリーズよりは遅い。ゆえに、敵のモーションがかなり見やすい。そして、これは本作のゲームテンポが悪いことを意味してはいない。開発者いわく、「製品版は主人公が強くなるに応じてサクサク戦闘を進められるようになっている」そうだ。

次に「防御行動が強いことに由来する、敵の攻撃を待つゲームになる」という疑問には、本作が提供する戦略性が答えてくれる。というのも、あくまで本作の防御は攻撃を完全に無力化するものではないため、特に多対一の状況ではジリ貧に陥ってしまう。中には体力回復を行う者もいる。自分から攻撃をしかけ、頭数を積極的に減らすことが重要である。また、敵によっては防御不能の拘束攻撃をしたり、即死級のダメージを与えてくる者も登場する。こうした行動には回避ボタンを押して攻撃自体を避けることが肝要だ。パリィアクションと同じ要領で、タイミングよく回避と方向を組み合わせた「ジャストスウェイ」ができればなお良い。

つまり、敵がいつでも逆転可能=可能な限り手早く倒すことが重要なデザインになっているため、必ずしも防御が常に最適な行動になっている、というわけではない。『STRANGER THAN HEAVEN』の戦闘は作中の時代において、行き場のない者たちによって行われていた命の奪い合いを、没入感のある形で再現するべく、四肢を動かすことをイメージしたアクションと、防御を中心とした戦術によって構築されている。

慣れれば意外と簡単で、奥深い

ここからは、筆者が体験したゲームプレイの内容と、それを通じて抱いた印象について語っていく。今回体験したのは戦闘用のロケーション。初級ステージ、中級、上級とプレイした。上記の概要に関する説明を受け、意気揚々と初級ステージに突入する筆者。そして4、5回とゲームオーバーを重ねていく。ちゃんと防御しているのに、何かがおかしい……。すると見かねたスタッフさんが私の耳元で囁いた。「武器です。敵を倒すには武器を使いましょう。」

本作には刃物や鈍器など武器の概念があり、右手に持つと右側のアクションが変化する。両手持ちの場合は両手のアクションが変わる(装備は強化することで戦闘能力が向上する)。また、防御の性能も上がる。敵の中には太刀を携えた者がおり、筆者はこれを「素手」の防御で受けていた。刃物を肉と骨で受け止めていたのだから、こりゃ痛い。仕切り直しとばかりに懐から「台所包丁」を取り出して立ち回る。これまでの戦いがウソのように快適だ。

そして痛々しい。包丁を肩や太ももに思いきりぶっ刺したりと、攻撃モーションが敵の命を奪うためのものになっている。では「素手」が弱いのか、と、問われれば、決してそうではない。受けがキツイなら回避中心に立ち回ればよい。素手が持つ特徴として、周辺に落ちている凶器になりそうなものを右手で掴んで使用できる。今回は椅子で殴ったり、ぶん投げて相手をダウンさせることができた。開発者いわく『龍が如く』シリーズほどではないが、こういったギミックは用意してあるとのことだ。

覚醒したかのように初級ステージをクリアする筆者。独自の仕様に面食らったが、武器を用いて、防御を中心に立ち回ればなんてことはない……。この勢いで中級ステージに向かう。このステージでは両手持ちのバールを担いで振り回してみた。動きはスローだが、範囲攻撃ができる。ぐしゃりぐしゃりというSEが生々しい。しかし、敵の数が多い。防御姿勢を取ろうにも、掴みかかって拘束してくる。面白いのは、拘束時でも主人公は攻撃できるという点だ。拘束されていない部分を使って攻撃できる。たとえば、右側を掴まれていれば左半身を使って攻撃できる。羽交い締めにされていれば両足をつかって攻撃できる。掴まれた隙を狙ってくる敵を返り討ちにできた。パリィも慣れたもので、巨漢相手に物怖じしない。

中級ステージも難なくクリアする筆者。最後に挑戦するのは上級ステージ。居合切りをしてくる太刀使いと一対一である。分かりやすくパリィで攻略しろというデザイン。なら待ちの戦法で、と思ったのだが、攻撃しないと回復してくるし、予め防御を取っていると超火力の投げをしてくる。どうやら攻撃コンビネーション中にパリィを挟むほかなさそうだ。幸いにして本作は防御の発生速度が早く、自分の攻撃中でも、敵による連撃中でも強引に攻撃を防ぐことができる。ゆったりとしたゲームスピードもあって、攻撃しながらガンガンパリィを決めていく筆者。しかし、超火力の投げが決まれば敵に一発で逆転される。はてどうしたものか。

すると、悩む筆者を見かねたスタッフさんが私の耳元で囁いた。「ダウンした相手にマウントして追撃しましょう。」本作では地面に倒れた敵に対して、マウントの体制を取り追撃することができる。とはいうものの、敵はちゃんとマウントされながら防御をしてくるため、防御していない方向を見極めて追撃を加えていく。敵の防御が成功するとマウントは解かれてしまうため注意が必要だ。そうして筆者は上級ステージをクリア。開発者いわく、「上級ステージまでのクリア率は、Summer Game Fest 2026時点で8割くらい」。「アクションゲームに慣れていないスタッフでもクリアできた」そうだ。

現時点における筆者の印象としては、慣れれば意外と簡単で、奥深い印象を受けた。敵の攻撃に対して簡単に防御を挟めるため、ゲームオーバー頻度自体は多くなく、それでいて左右のコンビネーション攻撃や、防御を掻い潜る臨機応変さが求められる。また、ゲーム中にいわゆるプレイヤーへの「チャンスタイムが存在しない」という戦闘デザインも興味深い。昨今の流行として、特定のゲージを削り切るとプレイヤーが一方的に攻撃できる時間が与えられる作品が多い。片や本作は最後まで敵に逆転のチャンスが存在している。プレイヤーが集中と没入を切らす瞬間がない。「誰もが生き延びるのに必死だった」という時代背景を反映したものだろう。製品版では装備品も増え、戦い方も広がるという。

細かい部分をみれば、今回の試遊はステージの変遷に応じて時代も移り変わっていた。主人公がいちばん若い小倉時代から中年になった大阪時代まで。時代が進むほど背景も現代化し、主人公の日本語が流暢になり、力任せだった動きが洗練されていく。本作が表現したい「主人公の50年」の一端を垣間見たように思えた。実に発売が楽しみになる試遊体験だった。

『STRANGER THAN HEAVEN』は2027年1月15日に発売予定。対応プラットフォームはPC(Steam)/Xbox Game Pass / Xbox Series X|S/ PlayStation5となっている。

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Takayuki Sawahata
Takayuki Sawahata

娯楽としてだけではなく文化としてのゲームを知り、広めていきたい。ジャンル問わず死にゲー、マゾゲー大好き。

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