『クレイジータクシー:ワールドツアー』先行プレイ感想。ボケ、町並み、キャラ、音楽、テキスト、あらゆる方向から笑いを誘う『クレイジータクシー』最新作

『クレイジータクシー:ワールドツアー』を2時間試遊してわかったことを本稿で伝えたい

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セガは、数多くのIPを有するゲームメーカーだ。セガは社是として「創造は生命(いのち)」を掲げており、他社とは一風変わったタイトルを世に送り出してきた。『クレイジータクシー』もセガのIPであり、ノリの良い音楽を聴きながら街中を爽快に駆け抜けるという独自のプレイフィールを持つ。『クレイジータクシー』でしか体験できないことも数多く、同シリーズのファンは長年にわたって新作がリリースされないことに悲嘆に暮れていた。

そんな空白期間を経て、セガは、『クレイジータクシー』シリーズの最新作として『クレイジータクシー:ワールドツアー』を2027年に発売する予定だ。直近の家庭用ゲーム機向けタイトルである『クレイジータクシー3 ハイローラー』からは25年ぶりのことになる。このたび、弊誌は新作の『クレイジータクシー:ワールドツアー』を2時間試遊する機会に恵まれた。『クレイジータクシー』がきちんと復活できているのかや新しい要素について、2時間の試遊を通じてわかったことを本稿で伝えたい


過去作ファンにお馴染みの名曲を新作でも聴きながら爆走可能

『クレイジータクシー』は、当初はアーケードゲームだった。プレイヤーはタクシードライバーとして乗客を愛車に乗せて、制限時間内に目的地へ向かう。目的地に到着するのが早ければ早いほど喜んでくれるし、ドリフトを駆使してテクニカルなドライビングができれば特別にチップをもらうこともできる。いわば、プレイヤーがタクシードライバーとして働く職業シミュレーターなのだが、交通法規などお構いなしのプレイができるので自由度は極めて高い。

対向車のスレスレを通り抜けて目的地に急ぐスピード優先のドライビングを追求することもできれば、ドリフトを連続で決めてお客さんから多額のチップをもらうこともできるのだ。交通事故の罰金を気にする必要もなく、「ヤーヤーヤー」のボーカルでお馴染みのThe OffSpringの「All I Want」といったひたすらにノリの良いパンクロックをBGMに聴きながら街中を爆走していく。そうした爽快感は『クレイジータクシー』だけにしか得られないもので、ファンはその続編を待ち続けていた(私もそのひとりだ)。

試遊をプレイした私は、『クレイジータクシー』過去作のファンが求める要素が新作の『クレイジータクシー:ワールドツアー』に備わっていると考える。本作ではアーケードゲームに端を発したタクシードライバーとしてのゲームプレイはもちろん可能だ。アナウンストレーラーの楽曲として使用されたThe Offspringの「All I Want」やマルチプレイクローズドネットワークテストのトレーラーの楽曲として使用されたBad Religionの「Ten In 2010」が新作のBGMに起用されていたことには、ファンが『クレイジータクシー』にとって楽曲が重要なものだと見なしていたのと同じように、開発陣もそうした気持ちであったことがうかがい知れる。25年の時を経ても、プレイヤーと開発者の目線が同じであることに、私は感動を覚えた。

今回は試遊だったので、ゲーム内で使用される楽曲は制限されていた可能性が高い。以下のように過去作でお馴染みの楽曲が繰り返し流れていた。どの曲も名曲だが、新規楽曲が登場するとしたらどのような楽曲が加わるのだろうか。開発者インタビューでは、「楽曲については今後発表予定」とのことだったので続報に期待したいところだ

  • The Offspringの「All I Want」
  • The Offspringの「Change The World」
  • Bad Religionの「Ten In 2010」
  • Bad Religionの「Inner Logic」
  • Bad Religionの「Them And Us」


日本マップにはSHIBUYA109やセガも登場など各マップに特色

本作には、世界各国を舞台にした5つのマップが登場する。初代作がアメリカ西海岸のサンフランシスコをモチーフにしたもの1つだけだったことから比較すると、新作のマップはかなりバリエーションに富んでいるといえるだろう。今回の試遊ではドイツと日本のマップをプレイすることができたが、それぞれにそのマップならではの特徴が見受けられた。例えばドイツマップでは賑わっている市街地は近代的な建物が並んでいるが、郊外は中世ヨーロッパからの伝統を感じさせる城塞のような建物が見えてくる。私はドイツに行ったことがないのでモデルとなる場所を思い浮かべることはできなかったが、ヨーロッパならではの文化や歴史が息づいているように感じた。

両方のマップで現実に即した場所が数多く登場するが、とりわけ日本のマップには日本を彷彿とさせるお馴染みのランドマークが数多く存在したように思う。SHIBUYA109といった実在の店舗が登場するし、日本のサブカルチャーを代表する場所ともいうべき渋谷駅前のスクランブル交差点らしきものも目にすることができる。リアルに立脚しながらも、マップのスケールやつながりはある程度のファンタジーで作られており、ゲームとしての楽しさを追及していることがわかる。

日本のマップでお客さんを乗せていて楽しかったのは、「セガのゲームセンターまで行って」や「ABCマートまで行って」などと日本に馴染みのある場所への移動を依頼されたことだ。主人公のアクセルは外国出身だが、日本人のプレイヤーとしては外国からの観光客をもてなしたい気持ちになる。もてなすといっても、そこは『クレイジータクシー』の流儀に従うので道中はスピードとドリフトテクニックを満喫してもらうことになるのだが、喜んでくれているので良しとしよう。マップの密度は高く、日本の下町では通り抜けられる細い道が数多く存在する。そうした道が存在することを学べば学ぶほど、制限時間内に送り届けられる乗客の数が増えていく。こうした要素は過去作であったアーケードモードの上達方法と変わらない。

お客さんを乗せずにマップを周回するだけでも、ドライブゲームとして楽しめる。日本で暮らしている筆者にとって日本マップは馴染み深いし、走り込めば小道を知って短時間で遠い場所に行ったりと、どんどん走ることが楽しくなっていく。なお、マップの時間帯は朝、昼、夕方、夜とプレイヤーが好きなタイミングで任意の時間帯に変更可能となっている。浅草の仲見世通りをモチーフにしたと思われる場所を朝に訪れたり、首都高らしき道路を抜けて夜のサービスエリアに行ってみたりすることで、ほかの時間帯とは異なる雰囲気を味わえるところが趣深い。


ストーリーモードのブッ飛んだミッションでハイテンションに

新作の『クレイジータクシー:ワールドツアー』では、いわゆるストーリーモードに相当する「ワールドツアー」が新たに搭載される。具体的なストーリーは主人公のアクセルが盗まれた車を取り戻すために全世界を訪れるものになるそうだが、試遊した限りではどのようにすればストーリーが進行するかまではわからなかった。しかし、過去作と異なるのは通常の乗客とは異なる特別な依頼人がいることだ。

例えば、ドイツでピザを流行させたいと考えている依頼人を乗せてピザを配達していくミッションがある。制限時間内に規定のピザ枚数を配り終えればクリアとなるが、この依頼人とは日本のマップで後日再会した。日本でもピザを配達するのかと思えば、依頼人は来日後に蕎麦にハマったとのことで、今度は蕎麦を配達して回ることになった。なお、依頼人の名前は「チーズバーガー」という。

チーズバーガーさんがドイツでピザを配り、チーズバーガーさんが日本で蕎麦を配るというのはなかなかシュールな絵面だ。もしかしたら、このチーズバーガーさんとはシリーズでおなじみの西海岸マップで最初に出会うのかもしれない。ツッコミ不在で進むところにやや戸惑いつつも、マップを超えて登場する依頼人の存在はこれまでお客さんとは一期一会だった過去作とは異なり、『クレイジータクシー』の世界観を広げてくれるものになるだろう。

配達系のミッションは、一発でクリアできるほど簡単なものではない。たとえば、配達しなければならない荷物すべてを同時に持つことはできないため、補給所を把握することが肝心となる。対向車に接触して荷物を壊さないようにすることも重要だ。タクシーとして乗客を運ぶのとはまた異なる繊細さが求められるようになっており、ミッションの登場でゲームプレイの幅は広がっている。簡単過ぎるということはないものの、数度の再挑戦でクリアできる難易度だったので、ゲームプレイにメリハリがつくものとなっている。

ワールドツアーでプレイヤーが挑戦するミッションは、バラエティに富んでいる。食べ物を運ぶといったミッションのほかには力士を乗せた状態で長時間ドリフトに挑戦したり、宙に浮き、乗客のスケートボーダーにトリックを決めてもらうといった奇抜なものもあった。もっともシンプルなミッションとしては、依頼人と主人公による1対1のレースだ。相手は愛車に女性の名前を付けるほどのクレイジーでありながらも、その愛車の性能はかなりのものだ。クレイジーな走りを売りとする主人公の愛車でも、性能面はレース向きではない。

ただし、このゲームはレースゲームではなくなんでもありのドライビングアクションだ。筆者は曲がりくねった坂道の最短距離を直線で突破し、リードを築く。マシンの性能差がスピードに直結するストレート区間では相手が取ろうとするコースを先読みしてブロックすることも辞さない。ミッションに応じて機転を利かせていくのには、これまでのシリーズ作にはなかった新たな楽しみが存在する。

なお、主人公の運転する自動車についてはカスタマイズができるようだ。記事執筆時点ではどのようなことをすればカスタマイズの幅が広がるかは不明なものの、試遊では主人公の駆る車種を変更することができた。主人公の愛車は「デボラダ・イエロージャック」で昔ながらのタクシーといった風体だ。その一方で、「ミヤビ・クエーサー」はよりスポーティーな印象を受ける。試遊の終了時間が迫っていたために2つの車の性能を比較することはできなかったが、カスタマイズによってプレイヤー独自の愛車を作り上げていくのも楽しそうだ。お客さんを乗せて目的地まで運ぶのを繰り返して運賃を獲得したり、ストーリーモードを進めていくことでカスタマイズできる幅が広がっていくことに期待したい。

2時間の試遊を経て、私は『クレイジータクシー:ワールドツアー』がずっと待っていた『クレイジータクシー』の新作であると確信している。そう思ったのは、過去作で良かったところをきちんと踏襲しているからだ。「ヤーヤーヤー」のボーカルでお馴染みのThe OffSpringの「All I Want」は引き続きBGMに採用されているし、そうした優れた楽曲を聴きながら街中で爆走できるプレイフィールは実に爽快だ。

シリーズがアーケードゲームとして始まったとはいえ、現代においてストーリーモードに相当するワールドツアーの搭載は必須といえるため、同モードの実装を支持したい。ストーリー中に登場するミッションについても、『クレイジータクシー』らしい笑えるものが多かったし、そうしたミッションを通じてキャラクターたちや世界観をもっと知ることができるメリットは大きいだろう。とはいえ、ストーリーの詳細やマルチプレイなど、ゲームの詳細はまだ謎に包まれている部分が多いのも事実。公式による今後の情報公開に注目していきたいところだ。

クレイジータクシー:ワールドツアー』は、PS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/PC(Steam/Microsoft Store)向けに2027年に発売予定。弊誌は前後編の開発者インタビューも掲載しているので、そちらもぜひ読んでほしい。インタビュー前半では『クレイジータクシー』復活の経緯や新作における開発チームの特徴などについて話を聴き、インタビュー後半では『クレイジータクシー』シリーズが持つ魅力や新作『クレイジータクシー:ワールドツアー』ならではの特徴などについての話を訊いた。

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Ryuichi Kataoka
Ryuichi Kataoka

「ドラゴンクエストIII」でゲームに魅了されました。それ以来ずっとRPGを好んでいますが、おもしろそうなタイトルはジャンルを問わずにプレイします。

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