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ゲーム業界で「生成AI使用禁止」を盛り込む契約書、ここ1年で急増傾向との証言。もはや定型文、大手から小規模パブリッシャーにも波及
パブリッシャーなどのスタジオが、契約にあたって生成AIの利用禁止を盛り込むケースが急増しているという。GamesRadar+による弁護士へのインタビュー記事にて明かされている。

近年では、ゲーム開発においても生成AIが用いられる機会が増え、それに伴い利用の是非を巡った議論も日夜交わされている格好だ。そんな中、パブリッシャーなど各スタジオが契約の条項に生成AIの利用禁止を盛り込むケースが急増しているとのことだ。
ゲーム開発における生成AIの利用については、訓練用データとなるコンテンツの権利関係を中心とした議論が続けられ、各国で法整備なども進められている。一方で生成AIを利用した作品はゲームをはじめ各分野で増加傾向にある。たとえばSteamでは、ゲーム内または宣伝素材などに生成AIが使用されているかどうかがストアページ上で開示されており、Totally Human Mediaの独自集計では、2025年11月時点で、Steam上の全タイトルの8%にあたる1万258タイトルがAI生成コンテンツを用いていることを開示していたという(関連記事)。

今回海外メディアのGamesRadar+が、カナダの法律事務所Voyer Law Corporationのビデオゲーム部門を担当する弁護士のHaley MacLean氏にインタビューを実施。MacLean氏によれば、最近取り扱っているパブリッシング契約の中に、「生成AI」の利用を完全に禁止する条項が設けられるケースが頻繁にみられるようになったという。こうした条項はデベロッパー/パブリッシャーの規模を選ばず、インディーからAAレベルのスタジオまで、幅広く存在するとのこと。
直近では、『Manor Lords』『He is Coming』『9 Kings』のパブリッシングを手がけているHooded Horseが契約の条項に「AIアセット一切禁止」を盛り込んだことでも話題を呼んだ(関連記事)。なおHooded Horseは、CEOを務めるTim Bender氏が生成AIを用いたゲーム開発を拒絶しているほか、同社が雇用するアーティストを尊重する姿勢を見せていることが条項制定の背景にあったようだ。同社に限らず、パブリッシング契約において生成AIの利用を禁じる企業は増えているのだろう。

こうした“潮流”についてMacLean氏は、2、3年前は限られたケースだったが、ここ1年で急増していると説明。当初はリスクを回避したり、生成AIに否定的な態度を表明したりしている大手のパブリッシャーが条項を盛りこむ程度であったとのこと。ところが今では、「大手パブリッシャーが盛り込んでいるのだから、我々も盛り込もう」と追従する姿勢を示すデベロッパー/パブリッシャーが多くなっているようだ。またMacLean氏によれば生成AIに関する条項はもはや定型条項になっているという。開発者が同氏に、そうした条項が“含まれていない”パブリッシング契約書について相談してきた際に、開発者だけではなくパブリッシャー側もアセットを制作するような場合には、条項を盛り込むことを強く推奨するという。パブリッシャーがゲームのマーケティング、移植、QA(品質保証)などに生成AIを用いることを防ぐ狙いがあるそうだ。
MacLean氏いわく、現時点では生成AIを取り巻く環境は複雑であり、法的リスクも孕む可能性があると説明。そして、判例や将来制定され、訴求されうる法などの存在も鑑みて、「リスクに見合わない」として使用を控えるべきとする見解を明らかにした。また同氏は、“反AI感情”についても指摘。欧米では特に反対姿勢が顕著で、ビジネス面での影響を気にしたクライアントからの相談も多いとのこと。
なおMacLean氏は先述したとおりカナダの法律事務所の弁護士であり、カナダおよび米国での案件を請け負っているようだ。そのため一連の同氏に見解について、日本国内では状況や法的な扱いが異なる可能性がある点には注意したい。

ゲーム制作における生成AIの利用について、たとえばUnreal EngineやUnityといった汎用ゲームエンジンには生成AIを活用した開発支援ツールも導入されている。またSteamでは、今年1月からは開発作業の効率向上のために使用されるAIツールに関しては、情報開示や審査におけるアンケートでの報告が不要であることが明示された(関連記事)。ひと口に生成AIといってもアセットやアートなどとは別の部分で制作に活用されている側面もあるわけだ。
一方でゲーム内アートやプロモーション映像など、目立つかたちで生成AIが用いられるケースでは批判が集まるケースもみられる(関連記事)。学習データの権利関係や、雇用への影響に加え、アートや映像においては品質面も論点になっており、ユーザーと業界人の双方から生成AIの利用に批判的な見方も示されてきた。ちなみに国際ゲーム開発者会議Game Developers Conferenceが今年1月に公開したレポート「2026 STATE OF THE GAME INDUSTRY」では、生成AIがゲーム業界に悪影響を与えているとする回答者が52%に及んだことも伝えられている(関連記事)。
あくまで一人の弁護士の証言という点には留意したいものの、今回はそうした業界の慎重な姿勢が、契約書面にも表れていることがうかがえるだろう。今後生成AIに関する法整備や制度設計が各国でどのように進められていくのか、そして業界やユーザー間の生成AIに対する風当たりが変化していくのかには引き続き注目が寄せられるところだ。
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