『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』にて「ハイラルの重力は地球の約3倍」との試算が出る。リンクを高所から落として検証

 

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』にて、ハイラルにおける重力が「地球の約3倍」であると、ユーザーによる試算が報告されている。高重力を示すデータを割り出したのは、リンクの落下速度計測による計算だという。


『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』、Nintendo Switch向けに発売中のアクションアドベンチャーゲームだ。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編である。本作では前作に引き続きハイラル王国を舞台としつつ、世界はより立体的に拡張。地底や高空に浮かぶ空島の探索の楽しみなどが増えている。そのため、ゲームプレイのなかでは「高所からの落下」といったギミックも印象的に用いられている。

そんな本作の重力について、「地球の約3倍とのデータが出た」とのユーザー報告があがっている。Redditの本作“工学系”コミュニティ/r/HyruleEngineeringにて、JukedHimOuttaSocksなるユーザーがデータを伝えるスレッドを投稿した。


同投稿では、ハイラルの重力を導き出した検証方法がグラフとともに語られている。投稿者はまず、“消える足場”を自分で作ってそこにリンクを配置。リンクが落下する際の動画を撮影して、高さを示す座標の変化と時間経過を比較したという。その結果割り出されたのは、「重力加速度28.2m/s2」とのデータだったという。

重力加速度は、文字通り重力によって生じる加速度をあらわす指標だ。たとえば、地球上での重力加速度は場所にもよるものの、およそ9.8m/s2(9.8メートル毎秒毎秒)となる。このため、地球上に真空環境をつくりボールを落としたなら、ボールは毎秒ごとに秒速9.8mずつ加速して地面に迫っていくことになる。それは地球の重力がそれだけの強さで、ボールを誘引しているからだ。

前述の内容を踏まえれば、ハイラルで物体が落ちるスピードを測定できれば、同地での重力加速度、すなわち重力の強さの指標が導き出せることになる。そうしたわけで、今回の投稿者は「リンクが落下しはじめてから、何秒で何メートル落下するか」を測定。落下ペースを調査して、ハイラルの重力加速度28.2m/s2、地球のおよそ3倍と導き出したのである。

投稿者は、経過時間については本作の仕様にもとづき「30フレーム=1秒」として計測している。一方で気になるのは「高さ座標の1ユニット=1メートル」といかにして裏付けたかだ。この点については、リンクの身長が手がかりになったという。

まず投稿者は、ゲーム内に登場する長さ4ユニットの支柱に目をつけたそうだ。その支柱とリンクを背比べさせてみると、支柱の長さはおよそリンク2.5人分であることに気づいたという。そのため、リンクの身長はおよそ1.75ユニットと結論できる。1ユニットが1メートルならば、リンクの身長は175cmとなる。あくまで確定的な証拠ではないものの、不自然ではない数値となるわけだ。

*こちらでは高さ2ユニットに積み重ねた柱と、リンクを比較しているとのこと

なお補足として、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』に登場したリンク(『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』主人公としてのリンク)は、海外有志により「およそ身長175cmである」と分析されている。こうした点からも、高さ座標1ユニット=1メートル説は有力になり、重力加速度の計算に活かされたわけだ。

以下の動画では投稿者による検証の様子を見られる。1ユニット1メートルとして考えると、普通の人間ならよくて大怪我、少なくとも自分で身動きは取れなくなるであろう大落下である。勇者リンクの体の強さがよくわかる。

なお、現実で落下スピードに大きく影響を与える要素といえば「空気抵抗」だ。この点については投稿者も意識はしているとのこと。実際に空気抵抗が本作でシミュレートされているかには疑問を呈しつつ、落下スピードがこれ以上あがらない終端速度を求められれば、「ハイラルの物体の質量単位が求められる」と意欲を示している。

こうした検証はあくまでユーザーによる推察である点には留意しておきたい。しかしながら、本作においては天秤も開発され「リンクの体重はおよそりんご10個分」といったユーザー検証結果も報告されていた(関連記事)。ハイラルにおける物理学は、これからもさらに発展していきそうだ。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はNintendo Switch向けに発売中だ。




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