『ダークソウル』をAIのデタラメ助言に従いプレイしたユーザー現る。知ったかぶりの果てに、勝手にラスボス「ナイトメア・ドラゴン」を設定

 
Image Credit: 『ずんだもんRTA』with 太陽アスタ on YouTube

AIによる自然言語処理ツールChatGPTのアドバイスを用いて、『ダークソウル(DARK SOULS)』の攻略を試みたユーザーが現れた。動画制作には約2か月前のChatGPTに利用したとのこと。当時の回答精度からか珍回答を連発しており、オリジナルの武器やボスを創り出して堂々と紹介するお茶目なアドバイスの数々が確認できる。


『ダークソウル』は2011年に発売の、フロム・ソフトウェアが手がけたアクションRPGだ。呪われた不死が現れ始めた世界にて、不死である主人公はロードランの地を巡る旅を繰り広げる。ダークな世界観と歯ごたえのある難易度といった、硬派なゲームデザインが国内外で高評価を獲得。シリーズ展開がなされ、今なお多くのファンに愛されている。

本作をAIを利用して攻略するという試みが注目を集めている。AIを使ってダークソウルのクリアを目指す動画を制作したのは、動画投稿者の太陽アスタ氏。本動画はYouTubeとニコニコ動画に投稿され、本稿執筆時点でそれぞれ約6万6000回、約7万3000回の再生回数を記録している。

太陽アスタ氏の動画は、ボスの倒し方、使う武器、攻略に向かう先などをAIによる自然言語処理ツールChatGPTに尋ね、回答に従いながら『ダークソウル』をプレイするという内容。なお動画投稿日は3月1日であり、質問がおこなわれたのはさらにその約1か月前とのこと。回答の精度は低めであった点が強調されている。

手始めに太陽アスタ氏はGhatGPTに対して、『ダークソウル』について知っているかを質問。回答の発売年や開発元などは正しいものの、物語については「魔王を倒すために旅をするというもの」との説明がなされておりすでに雲行きが怪しい。その後本作をクリアするためのアドバイスを訊かれた際の回答にも、“ポーションを入手する”や“人形を使用する”といった怪しい助言も入り混じっている。一方で「失敗を楽しむ」との心構えを説いている点は印象的だ。

続いて、おすすめの素性を訊かれたChatGPTはいきなり「スワッド」といった聞きなれないステータス名を列挙。そもそも質問の回答になっていない。さらに、素性が11種類あると間違う、素性の特徴は攻撃力/防御力/回避力が高いというざっくりした説明で済ませるなどデタラメな回答をしている。さらには、基礎能力がすべて低レベルに押さえられた「持たざるもの」を「物理攻撃力が高く、防御力も高い」といい加減に紹介している。おすすめの贈り物を訊かれた際には、存在しない“オリジナル贈り物”を創り出して堂々と紹介。本当にあるのか問い詰められると「申し訳ありません、『ダークソウル』には起動時に選ぶことができる贈り物はありません」と自信喪失。説明が二転三転する、意志薄弱なChatGPTの回答がみられる。なお『ダークソウル』には起動時(キャラメイク時)に選ぶことができる贈り物はある。


その後もChatGPTの『ダークソウル』攻略アドバイスはかなり怪しい様子で展開。最初のボス「不死院のデーモン」を“特に難しい敵のひとつ”と紹介し、火力を上げたり火を使った攻撃をしたりすれば速く倒せると助言している。不死院のデーモン時点ではレベルアップや装備強化の方法がなく、落ちている装備を拾うくらいでしか火力を上げようがないのだ。そんなちぐはぐなアドバイスでも、太陽アスタ氏は無理やり従うことに。グリッチを使用し、不死院のデーモンを倒さずに北の不死院から脱出。念入りすぎる火力強化をおこなってから北の不死院に舞い戻り、ChatGPTのアドバイスどおり炎属性の呪術「炎の嵐」を用いて不死院のデーモンを一撃で葬った。

そして「山羊頭のデーモン」戦のアドバイスを求めた際には、なぜかエラーが発生し回答が途中で終了したという。そこで“犬のデーモン”と訊きなおすと、ChatGPTは下層のボスと回答するとともにアドバイスを再開したそうだ。山羊頭のデーモンには、2匹の犬が付随している。この犬たちが非常に強力なため、一部ユーザーからは犬が本体とも称されているのだ。いわばChatGPTが本作のネットミームをもとに回答したともいえる一幕だろう。ちなみに“犬のデーモン”戦のアドバイスでChatGPTは、またもやオリジナル武器を創出し、堂々と紹介していた。ドラゴンと名の付く武器が好きなようだ。

頼りないアドバイスを連発する一方で、「貪食ドラゴン」戦では的確な助言もあり。相手の身体を回転させる攻撃にあわせて動く、遠距離攻撃が有効、といった攻略アドバイスを伝えている。しかしその後ChatGPTは、本作の最終ボスは最下層エリアの“ナイトメア・ドラゴン”だと言い張りはじめる。本作にナイトメア・ドラゴンなるボスは存在しないし、そもそも最下層エリアに最終ボスはいない。そんなナイトメア・ドラゴンを堂々と紹介し続けるChatGPTと太陽アスタ氏とのやり取りの結末が気になる人は、動画で確認してみるといいだろう。


『ダークソウル』攻略においては、かなりおぼつかないアドバイスばかりとなった太陽アスタ氏の動画でのChatGPT。オリジナルのアイテムやボスを創出して堂々と紹介したり、それを指摘されて一転自信喪失したりと、お茶目な一面も垣間見えた。一方、現在では動画制作当時よりもChatGPTの回答の精度は高まっていると思われる。また有料プラン「ChatGPT Plus」加入者は、ChatGPTにて次世代の大規模言語モデルである「GPT-4」の一部機能を利用可能。こちらではさらに高精度の回答が得られることだろう。あるいは的確なアドバイスのもとで『ダークソウル』の攻略が可能かもしれない。






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