HD-2D風ツクール「RPGツクールU2U」開発インタビュー。過去作ツクールアセットも活用可で、手軽に3D化で出来るRPG作りサポートを目指して

Gotcha Gotcha Gamesの開発者に「RPGツクールU2U(ユーツーユー)」の率直な質問をぶつけてきたので、本稿ではその内容をお伝えしよう。

Gotcha Gotcha Gamesは5月21日、「RPGツクールU2U(ユーツーユー)」を発表した 。同作は「RPGツクールMZ」「RPG Maker Unite」などが登場してきたPC用ツクールシリーズの新作。「P2D」と呼ばれる機能で、奥行きのある表現ができるのだという。HD-2D風のグラフィックが目を惹く一方、同作に対しては「ツクール」である点や、「Unity」ベースのエンジンとされているところなど、気になるところも多くあることだろう。

5月22日より開催されていた「BitSummit PUNCH」には本作のマップエディタ体験版が出展していた。Gotcha Gotcha Gamesの開発者に率直な質問をぶつけてきたので、本稿ではその内容をお伝えしよう。

一之瀬氏の写真

──自己紹介をお願いします

一之瀬裕之(以下、一之瀬)氏:

一之瀬と申します。「RPGツクールU2U」ではプロデューサーをしています。

──改めて「RPGツクールU2U」についてご紹介よろしくお願いします。

一之瀬氏:

近年だと「RPGツクールMZ」、2023年には「RPG Maker Unite」という作品をリリースしてきましたが、そうしたPC用の「RPGツクール」シリーズに連なる新しいツクールになります。PC用ツクールの歴史の中では、これまでずっと2Dの表現を追求して、「いかに簡単にゲームを作れるか」にフォーカスしてツールを作ってきました。「RPGツクールU2U」は、そんな中でPC用としては初の3Dに挑戦しようと立ち上がったプロジェクトになります。コンソールでは、PS2向けの「RPGツクール5」で3Dに挑戦していましたが、PCでは今回が初となります。

──ちょっと話が逸れるのですが、「RPG Maker Unite」発表の際には、今後はツクールではなくMakerシリーズとするといった告知もありました。「RPGツクールU2U」はツクールとなっていますが、方針が変わったのでしょうか。

一之瀬氏:

「RPG Maker Unite」の際に、弊社で一度今後は「Maker」にするという判断をしました。しかし「RPGツクール」のツクールという呼び名は四半世紀も使われてきて、日本ですごく浸透しています。唯一無二のワードで国内コミュニティでは根強く使われており、クリエイターさんにも響くワードをやはり捨てるわけにはいかない。原点に立ち戻ろうという意味も込めて、今回「RPGツクール」となっています。ユーザーさんを混乱させることになってしまったんですが、X(旧Twitter)の反応を見る限りだと変更を好意的に受け入れてくださっていますし、今後は国内では「RPGツクール」海外では「RPG Maker」と切り分けて、しっかりやっていこうと思っています。

──「RPGツクールU2U」では、いわゆるHD-2D風のP2Dという奥行きのある表現が特色になっています。なぜ今回のツクールでは、P2Dの表現に挑戦することとなったのでしょうか。

一之瀬氏:
原点は、やはり3Dに挑戦したいところですね。もう20年か30年ぐらい2Dをずっとやってきた中で、既存のツクラーさんたちがすんなり入っていける3Dとは何かといったことを考えてきました。今回我々はP2Dと呼んでいますが、2Dをベースにしたドット絵の見た目であれば、RPGツクールと親和性がある。そして完全な3DでなくP2Dであればカメラを左右に振ったり、画面をぐるぐる回したりせず、正面だけなので直感的に作りやすいです。

完全な3Dではないけれど、既存のツクラーさんたちが入っていきやすい3Dとして考え出したのが、今回のP2Dになります。またHD-2Dの作品として『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』や、『オクトパストラベラー』などがでてきて、非常にインパクトがあったことも理由ですね。

──会場でデモを拝見させていただきましたが、ツクールの素材そのままなのに、綺麗で立体的な画面になっていて驚きました。

一之瀬氏:
従来の作品だと2Dのテクスチャをそのまま表示させていました。今回は3Dの中でキューブに張って、それをカメラ越しに見るので、空気感やエフェクトも加わって見た目が大きく変わります。また今回は過去の素材がまるまる使えます。我々は何十年にもわたって「RPGツクール」を作り続けてきました。その中で膨大なアセット資産が蓄積されています。特に「RPG ツクール MV」や「RPG ツクール MZ」向けのアセットは、修正なしでそのまま利用できるんです。そこは結構こだわったところで、たとえば「RPGツクールMZ」使っていた人が、その素材を丸ごと持ったまま新作に移れるのは非常に意味のあることだと思っています。

──ちなみに本作では視点となるカメラは固定だと伺いました。なぜカメラは固定となったのでしょうか。

一之瀬氏:
ツクラーさんが求めているのは、カメラをぐるぐる回せることではないと思っているんです。カメラが回せることで開発のハードルが3倍、4倍に上がってしまうのであればやらなくていい。今作はカメラが固定なので、後ろ側のポリゴンなどを気にしなくていいし、整合性を取る必要もないんです。ゲームを作りたいと思って入ってくる人たちが、いきなり3Dのハードルにぶつかってしまうといけないので、しっかりユーザーさんのことを考えた表現としてP2Dを採用しています。

──直感的に開発できるということですが、開発はどのくらい難しくなっているんでしょうか。

一之瀬氏:
少なくともマップに関しては、大丈夫だと思います。サンプルマップの制作はツクラーさんに依頼していますが、彼らはかなりすんなりはいってくれました。当然、2Dと3Dで作り方はまったく違います。でも直感的に作れるようになっているので、3Dになってもマップに関しては作りやすいものにできていると思います。

──今作はUnityベースの独自エンジンになっていると伺いました。同じUnityベースの前作「RPG Maker Unite」では、ユーザーからレスポンスがよくないといった声も上がっていました。今作は快適にゲームが作れるよう工夫されていますか。

一之瀬氏:

「RPG Maker Unite」では確かに重い部分があったと思います。今回は当然その反省に立って制作しており、アセットの扱いやプロジェクトが大きくなってしまうといった問題についても、なるべく軽減していこうとしています。

Unityは根本的に重く、どうにもならないところもあるのですが、一方でUnityのおかげでNintendo Switch 2やPS5に向けて書き出せるといったメリットもあります。3Dのエフェクトについても、やはりUnityあってこそなので、そういうメリットも考慮してUnityを採用することとなりました。当然ユーザーさんが一番気にする動作の重さ、レスポンスの部分については、今後開発を進めていく上で納得できるところまで軽さを追求していくことが大きな課題になると思います。

──読者へ向けてメッセージをお願いします。

一之瀬氏:
本作の一番のポイントはやはりP2Dです。「RPGツクールU2U」を機会に3Dを触り始めるユーザーさんもきっと多いと思うんです。もしかしたら、ここからUnityで完全な3Dをやり始めるかもしれない。「RPGツクールU2U」は非常に直感的にできるので、そうした点でも適したツールになると思います。また本作では、我々が蓄積してきたノウハウも活かしています。「RPGツクールU2U」ではこれまでのゲームやイベントの部分などがP2Dに結びついているので、まずはぜひ体験してください。

──ありがとうございました。

インタビュー後、筆者も出展されていた「P2Dマップエディタ」 を体験させていただいた。今回触ったマップエディタでは、マップが3D化しているにもかかわらず、確かに直感的な操作でマップが構築可能。あらかじめ用意されたオブジェクトを使う場合には、場所を選んでオブジェクトを配置していくだけで、簡単に3Dのマップが作れるようになっていた。オブジェクトを自ら作る場合も、3Dのキューブにテクスチャを貼り付ける形式となっており、こちらも直感的に作業を進めていけそうになっていた。

また筆者は、Gotcha Gotcha Gamesの開発メンバーに説明を受けながら体験させてもらった。その際体験版はGPUを搭載していないビジネス向けのノートPCで動作。マップエディタを弄っている範囲では、動作も非常にスムーズだった。機能としては、アスレチック風のステージを作ったり、水面を上下させたり、時間によって変わったりといったことも可能。インタビューで受けた印象通り、今後に期待をもてそうな新ツクールとなっていた。

RPGツクールU2U」は PC向けに開発中だ。

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Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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