『Apex Legends』Nintendo Switch版にて、「クロスプレイ無効なのに他機種と遭遇した」とのユーザー報告が上がる。批判呼ぶ乱入バグ


現在『Apex Legends』にて、Nintendo Switch向けのマッチングサーバーに、ほかコンソールのプレイヤーが入場できてしまう不具合の報告が相次いでいる。クロスプレイを避けるユーザーにとっては、場違いなプレイヤーと遭遇する由々しき事態である。


『Apex Legends』は、Respawn Entertainmentが手がける人気オンライン対戦FPSゲームだ。本作は2019年にPC/PS4/Xbox One版がリリースされ、昨年2021年3月10日にはNintendo Switch向けに展開。プラットフォームを超えたクロスプレイもサポートし、多くのプレイヤーの人気を集めている。

そして現在SNS上にて報告が相次いでいるのが、「Nintendo Switch専用のサーバーに、ほか機種のユーザーが入れてしまう」問題だ。『Apex Legends』では、設定画面から「クロスプラットフォームプレイ」を無効にすることで、同じプラットフォームのユーザーとだけマッチングできる。しかし、そう設定しているにもかかわらず、PS4やXbox Oneなど他コンソールのユーザーがマッチに入ってくるというのだ。そこで、Nintendo Switch、PC、PS4の3ハードを用いて筆者の手により乱入バグを検証した。


不具合を起こす具体的な手法については割愛させていただく。検証については、ほかプレイヤーに迷惑をかけぬよう入念に実施した。具体的には、カジュアルマッチにおいて非激戦区に降りるパーティーのそばに着陸。応戦はせず、そのまま倒してもらい死亡後の観戦画面からマッチ相手の機種を分析した。

まず、PS4版ユーザーのNintendo Switch版マッチへの乱入について。実際に、筆者はPS4版を用いてNintendo Switch版のサーバーに侵入できることを確認した。PS4版の本作観戦画面においては、同機種プレイヤーの名前の左にはPlayStationのアイコンが表示される。しかし、筆者が上述の手法を用いた上で幾度マッチを重ねても、PS4側プレイヤーの画面から同機種使用者は確認できなかった。また、ほとんどのプレイヤーが、Nintendo Switch特有のジャイロ操作とおぼしき照準の挙動を見せていた。つまり、Nintendo Switch版しかいないマッチに、PS4版で入れてしまったと考えられる状況だ。

そして、奇妙なのがPS4/Nintendo Switchのタッグで乱入バグを利用した際の、PS4側の表示だ。流布されていた手法を用いると、マッチング直前にはPS4側のプレイリスト表示は「PS4のみ(クロスプレイオフ)」となる。Nintendo Switch版のユーザーとパーティーを組んでいるので、この時点で矛盾している。しかも、表示の通りPS4版のみのマッチングであれば、観戦中のプレイヤーネームの横にはPlayStationアイコンが並んでいるはずである。以上の点を総合すると、少なくともPS4版プレイヤーがNintendo Switchプレイヤーのみのマッチングに入れてしまう現象はあると考えられる。しかし、本作のシステム上、今回の検証はあくまで推測の域を出ない点には留意されたい。


続いてPC版とNintendo Switch版間でも上述の手法を検証してみた。結果としては、Nintendo Switchユーザーと共にPCマッチングに入ることが確認できた。しかし逆は難しいようだ。少なくとも筆者が確認した手法では、PC版ユーザーがNintendo Switch専用マッチングに入るのは不可能なようだ。筆者の用いた手法での検証結果としては、PS4版ユーザーがNintendo Switch版サーバーにはいることは可能。Nintendo Switch版ユーザーがPC版サーバーに入ることは可能。一方で、PC版ユーザーがNintendo Switch版サーバーに入ることはできなかった。

前述の通り、SNS上では現在この「乱入バグ」の利用を目撃したとの報告が続出し、一時は「Switch鯖」が国内Twitterのトレンドに入るほどの話題を呼んだ。コンソール同士とはいえ、それぞれのプラットフォームで環境は違う。まず全体的に操作感が違う点は大きいだろう。Nintendo Switch特有のジャイロ操作のほか、上限となるフレームレートの差もある。『Apex Legends』のNintendo Switch版は30fps上限で動作する。一方で、PS4/Xbox One版は60fpsが上限だ。FPSゲームである本作においてフレームレートは重要な要素であり、そうした面でSwitch版はやや不利であるとも考えられる。またNintendo Switch版は視野角も狭いとされている。

各機種間ではそれぞれプレイフィールも違い、ユーザー層も変わってくるだろう。そうした差異を避けるためにクロスプレイをオフにしているプレイヤーが、この「乱入バグ」の被害を訴えているのである。

いずれにせよ、不具合の悪用は『Apex Legends』の利用規約でも禁じられた行為である。相応の罰則を受けることになるので、控えるべきだろう。乱入バグの実態については不透明な点も多いものの、多くのユーザーが「乱入者と遭遇した」として不満を訴えているのは事実だ。開発元Respawn Entertainmentは、今後そうしたユーザーの声に何らかの対応を見せるだろうか。