Steam『クッキークリッカー』の“とある実績名”が尋常でなく長い。とんでもなく長い

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Steamにおける実績のタイトルは、どこまで長くできるのだろうか。9月2日にリリースされた放置ゲーム『Cookie Clicker(クッキークリッカー)』が、べらぼうに長い実績タイトルにより、ひとつの可能性を示したようだ。PC Gamerが報じている。

実績システムは、ゲーム進捗のマイルストーンを記録する要素だ。プラットフォームベースの実績システムは、黎明期にはXbox Liveで実装され、後に同様のシステムがPlayStationやSteamなどにも盛り込まれた。ゲームクリアや成し難い目標を達成した証として、プレイヤーの心を潤す存在だ。実績にはしばしばタイトルと説明文が付随しており、達成条件を端的に示す簡素なものから、ゲーム内アクティビティにちなんだ小洒落た名前を持つものまでさまざま。いずれにせよ、実績タイトルは数文字から数十文字といったところで、100文字を超えるケースは極めて稀である。


そんな実績タイトル文字数の常識を、『クッキークリッカー』が打ち破ってしまったのだ。ずばり、文字数にして609文字。全角140文字制限のTwitterでつぶやけないのはもちろんのこと、400字詰め原稿でも溢れてしまう文字数である。

同実績名の文面は「実績タイトルの文字数って制限ないみたいだし何文字まで入るのかなんだか正直気になっちゃって」から始まる。そして唐突に「Green氏のキャリアは1864年マサチューセッツ州グロトンにある高校の校長から始まりました」と謎の人物紹介が長々と続く。これは英語版Wikipediaの、食品メーカーナビスコ共同設立者Adolphus W. Green氏の経歴を引用したものだ。同社はオレオやリッツなどのお菓子の製造で知られているため、クッキー関係の偉大な人物として登用されたのだろう。そして、最後はまたも唐突に「で、今日どんな調子?」という開発者からの呼び掛けで終わりだ。この実績は秒間クッキー生産数が100垓枚(10000000000000000000000枚)に到達すると手に入る。


実をいえば、この長大な実績名はSteamの限界を試そうとしたものではない。Steam版『クッキークリッカー』は、2013年にリリースされたブラウザゲームの移植版。ブラウザ版時代からゲーム内に実績システムが盛り込まれていた。Steamにはブラウザ版と同じ実績がほぼそのまま移植されており、今回の長すぎる実績はもともとブラウザ版に存在するのだ。つまり、今回やたら長いSteam実績が誕生したのは、開発者のユーモアもそのままにSteamに移植した結果だったのだ。

約5年前のデータとなるものの、実績トラッキングサイトcompletionist.me運営者のLucas Seinfeld氏が「Steamでもっとも長い実績名」について海外掲示板Redditで語っている。同氏によれば、当時のSteam販売タイトルでもっとも長い実績名は『Tales of Maj’Eyal』の104文字にわたるものだったようだ。ほかにも、そもそもタイトルも長い『AaaaaAAaaaAAAaaAAAAaAAAAA!!! for the Awesome』では、実績名や説明文も全体的に長いなど、興味深いデータが示されている。2021年9月時点では記録が更新されている可能性はあるものの、『クッキークリッカー』実績名の609文字がズバ抜けて長いことがわかる。

また、『クッキークリッカー』は実績数も532個とかなりの多さを誇る。一方で、Steam販売タイトルに盛り込める実績数は、基本的に100個までとなっている。これはかつて同プラットフォーム「実績を売る」ようなスタイルのゲームが氾濫しつつあり、Valveによる取り締まりの一環として設定されたものだ(関連記事)。ただ、実績数上限についてはValveと開発者の相談の上で解除されることもあるようで、本作についてはブラウザ版から同等の実績数があった点などから特例として多数の実績を盛り込むことが許されたのだろう。もしそうならば、本作の突出して長い実績名も特例になっている可能性はありそうだ。


なお、本作は記事執筆時点で、Steamにおける同時接続プレイヤー数TOP10に入っており、ピーク時には6万人を超えるプレイヤーがクッキーを焼いている盛況ぶりだ(SteamDB)。今回の実績名のように、開発者Julien Thiennot(Orteil)氏のユーモアも同作の魅力のひとつなので、興味のある方は是非クッキーを焼いてみてほしい。

『クッキークリッカー』はPC(Steam)向けに520円で配信中だ。

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