モバイルゲームの運営を譲り受け「長命化」させるマイネット。彼らはどのようにサービスを移管しているのか?インフラ担当会社ビヨンドと共に内情を明かす

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サービス型のゲームには、いつか終わりが訪れる。しかし、その寿命を伸ばすことは可能。株式会社マイネットは、数々のスマホゲームを他社から譲り受け、長期運営を目指す「ゲームサービス事業」を柱としている。さまざまなスマホゲームの運営が続けられており、現状の運営タイトル数はなんと36本(※2020年9月時点)に及ぶ。中には『黒騎士と白の魔王』『ウチの姫さまがいちばんカワイイ』といった有名タイトルの名も。しかし、実際にサービス移管をするとなると、運営だけでなくサーバーやプログラムなどのシステム部分も譲渡されることになる。そうした移管は実際どのようにおこなわれるのだろうか。

マイネットの運営移管の影には、そのサーバーの運用や保守を担当する株式会社ビヨンドの貢献があるようだ。ビヨンドは、サーバーの保守運用やシステム開発を業務とする会社だ。本稿ではマイネットの膨大なゲームの同時運営を可能にしているインフラ技術と、ゲームを延命させる上で欠かせないスマート化への飽くなき情熱、そして両社の厚い信頼関係に、2時間近くにも亘るインタビューを通じて迫っていく。


ビヨンドは、大阪・難波を拠点とするサーバー事業やシステム開発事業に携わる会社。「サーバーのことは全部丸投げ」をサービスモットーに、現在急成長中。24時間365日のエンジニアよる有人監視や、大規模高負荷なWebサービスの運用、マルチクラウド対応を特色としている。

ビヨンドホームページ:
https://beyondjapan.com/



サービスと想いを引き継ぐ会社、マイネット

───本日はよろしくお願いします。まずは皆さん、自己紹介からお願いします。

堀越氏:
株式会社マイネットにて技術統括をやっています、堀越と申します。

マイネットの技術統括・堀越氏



岡崎氏:
株式会社ビヨンドのインフラチームで、主に移設などをメインにやっている岡崎と申します。今回の対談では、マイネットさんのタイトルの移設担当者として参加しています。

中内氏:
同じく株式会社ビヨンドの営業担当、中内と申します。本日はよろしくお願いします。

───はじめに、会社紹介をしていただけますか。

堀越氏:
マイネットはスマートフォンゲームの運営に特化した「ゲームサービス事業」を主力事業としています。もともとはソーシャルニュースやモバイル集客SaaSなどの事業を展開していたのですが、その後スマートフォンゲーム市場の成長に注目し、自社でゲームを開発しました。数本のゲームをリリース後、縁あって他社様より既存のタイトルを譲り受けて運用させていただいたところ大変好評で、複数の会社様から同様のお話を頂くようになりました。以降は運営をメインにビジネスの方向性を切り替えて今に至っています。2020年9月現在、スマートフォン、ガラケー、PCブラウザなど複数のプラットフォームを跨いで36本のゲームタイトルを同時に運営しています。多くのタイトルの同時運営に必要不可欠な技術面を担当する部署に私は所属しています。

岡崎氏:
株式会社ビヨンドはさまざまな会社のサーバーの運用、監視、構築、移設などをメインの事業として行っています。私の部門では運用や構築を行っておりますが、一番力を入れているのはサーバーの移設ですね。そんな中で普段から私が携わっているのがマイネットさんの移設事業ということになります。

ビヨンドのエンジニアである岡崎氏



中内氏:
私はビヨンドでは営業を担当しており、主にゲーム会社さんなどを中心にやり取りさせていただいています。ただゲーム会社にこだわっているというわけではなく、「落ちては困るサーバー」をお預かりするのが我々の仕事ですので、事業の種類に関わらず声をかけさせていただいています。ただ最近はコロナの影響もあり、問い合わせや紹介を頂いた案件でお伺いするのがほとんどですね。

ビヨンドの営業担当である中内氏



───具体的にマイネットさんが運用されているタイトルについて教えていただけますか。

堀越氏:
現在36タイトルを運営しています。弊社で運営しているタイトルのほとんどは他社様からお譲りいただいたタイトルです。その中でも個別に譲渡頂いたタイトルと事業ごとなど複数本まとめてお任せ頂いたものがあり、前者は最近だと『グラフィティスマッシュ』(バンダイナムコオンライン様)や『神式一閃 カムライトライブ』(アプリボット様)など。後者は2019年にgloops様から合流した『大戦乱!!三国志バトル』『SKYLOCK(スカイロック)』、2018年にグラニ様から合流した『神獄のヴァルハラゲート』『黒騎士と白の魔王』などがあります。それぞれサービス開始時期やプラットフォームが大きく異なり、ガラケーのブラウザゲームからスマホアプリまで幅広く運用しております。当然ジャンルもさまざまですね。

───ぶっちゃけたところ、ビジネスになっているのでしょうか?

堀越氏:
詳細は弊社の決算短信を見ていただくのが確実ですが、現在ゲームサービス事業は弊社の主力事業として会社の柱になっています。「譲渡自体をビジネスとする」というより、データドリブンを軸としたスマート化で収益性を向上し、タイトルの長命化に繋げることで成立させています。とはいえ今後ゲームの在り方が変化していくことも見込んで、セカンダリ以外の事業領域の調査や投資も並行して行っています。


どのように始まり、どのように引き継ぐか

───しっかり収益を出していると。マイネットさんがゲームを買い取る時は具体的にはどういう手順を踏むのでしょうか?

堀越氏:
マイネット側の営業部隊からゲームメーカー様にお声がけすることもあれば、「このタイトルどうですか」とメーカー様側からお話をいただくこともあります。後者の理由は本当にさまざまですが、「もうサービス終了したいから代わりにやりませんか」と言われることはほぼありません。やはりメーカー様はそのタイトルに非常に愛着を持たれていますし、ユーザーさんを大切にしていらっしゃいます。ただ「もう会社としてゲーム事業からは撤退する」とか「新しいタイトルを開発したいけれど人員が足りない」とか、そういった理由で手放されるパターンは多いようです。


───インフラ面での取り組みについても伺ってもよいでしょうか。

堀越氏:
マイネットでは比較的いろいろなクラウドを使用しています。大きなメーカー様だと単一のクラウドベンダーに集約していることも多いと思うのですが、弊社の場合はまず移管されてきた時点でさまざまなので。

岡崎氏:
元々運営されていた会社さんによって、利用しているクラウドも全然違いますよね。

堀越氏:
そのクラウドを採用した理由は、元の運営会社様でないと分からないですからね。そのままで運営することもありますが、より最適な環境を模索するために別のクラウドに移設することも多く、そういう時にビヨンドさんにお願いしています。

定番から海外の新興クラウドまで、広く選択肢に入れる

───ビヨンドさんの関わった案件で印象に残ったものが3つあるとおっしゃられていましたね。まずひとつめについて教えていただけますか。

堀越氏:
最初は『モバプロ2レジェンド』ですね。プロ野球のゲームで、現役引退したレジェンド選手達を自由に配置して強いチームを目指すというゲームです。このタイトルはマイネットに移管されたタイミングではAmazon Web Services(以下、AWS)で動いていましたが、インフラ構成を精査した結果、当時日本でのリリース間もないAlibaba Cloudへの移設を決め、ビヨンドさんに作業をお願いしました。

岡崎氏:
2019年の夏頃の話ですね。

堀越氏:
当時Alibaba Cloudは新興クラウドで、Googleで検索しても日本語の記事すら出てこないほどでした。

岡崎氏:
Googleどころか公式のドキュメントですら英語メインで、詳しいところだと中国語オンリーでした。サポートに都度問い合わせをしたり、他のクラウドの知識でアタリをつけたりとかなり手探りの案件でした。

堀越氏:
Alibaba Cloudはアジア太平洋では非常に勢いのあるクラウドだと前から名前は聞いていて、とうとう日本に入ってきたのでこれは良さそうだなと。ECサイト「アリババ」のバックエンドを支えているというのが最初に聞いた評判でしたし、技術力は相当高いのだろうなと。中国で11月11日に「独身の日」というセールを行った際、その日の瞬間最大秒間トランザクションが50万に到達したらしいんです。それを支えるパワーを持つインフラサービスなのだとセールスを受けました。何か月か社内で試験的に触ってみたのですが、確かにこれは良さそうだなと。後発サービスということで金額面やサポート面も魅力的でしたね。

中内氏:
ビヨンドも扱っているクラウドの種類は多い方だと思うのですが、それでも使ったことも聞いたこともないようなクラウドの話を堀越さんが次々持ってこられるので(笑)そのせいというかおかげというか、扱えるクラウドの種類がどんどん増えていっています。

対応クラウドの多さは、ビヨンドの強みのひとつ



堀越氏:
クラウドサービス、いろいろありますからね。それぞれの国で各会社さんがいろんな意図で作るサービスですので、それぞれ光るところがあって面白いです。『モバプロ2』以前は基本的に大手クラウドか国内系クラウドで運営しているタイトルがメインだったので、海外の新興クラウドに手を広げていくきっかけにもなりました。マイネットに移管されてくるタイトルというのはリリースから平均3~5年程度のものが多く、たとえば去年マイネットに来たタイトルはリリースが2016年頃の物が多かったのですが、この時期はAWSを使用しているタイトルばかりなのですよね。それ以降もAWSは増え続けていて、最近だと移管タイトルの8割以上はAWSかなという印象です。

岡崎氏:
見返してみても、最近の移設案件はもうほとんどすべてがAWSからのものですね。


堀越氏:
AWS、きちんと管理しないとお値段が嵩んでしまう場合もありますよね(笑)もちろん、ちゃんと管理すれば適切なコストで運用出来ますし、機能面や安定性では文句なしです。ただ、移設によって安定性を担保したままインフラ部分でコスト削減できれば、その分の予算でイラストの発注量を増やしたり、有名な声優さんに収録をお願いしたり、コンテンツの充実にあてられますからね。

ユーザー空間が熟成したゲームは長生きさせやすい

中内氏:
改めて思いましたが、マイネットさんからいただいた案件はサービスが長く続いていますね。設計から関わって時間をかけてリリースしたものが、1年保たないなんていうのも良くあるのですが、マイネットさんに移ってきたタイトルはどれも長く続いている印象です。

堀越氏:
マイネットはゲームを移管する前にサービスの運営計画を作っています。ゼロから作るゲーム会社さんはリリースに際してある程度大成功のビジョンを持っていると思うんですね。脚本、声優、イラストを豪華にして、プロモーションもガンガン打ち出して、みたいな。これはコンシューマでもスマートフォンでもゲーム開発の上ですごく大事なことなのですが、現実としてはそれが上手くいかないケースもままあるわけです。

特に今はゲームの数が多いですからユーザーさんも目移りしますし、長生きさせるのが非常に難しい。そういうこともあって、現在マイネットでは、ユーザー空間の熟成度合いも一つの重要な指標として見ています。ユーザー空間の持続という意味では、ある程度空間が熟成されている方が、ユーザーさんが何を求めているかはっきりしてくるので計画も立てやすいと聞いています。

───ユーザー空間が成熟していない、というのはユニークユーザーが少ないことが原因なのでしょうか?

堀越氏:
ユニークユーザー数だけが直接の原因ではありません。マイネットでは「ボラティリティが高い」という表現を使っています。年数が経つごとにユーザー数が増えていくタイトルはほとんどなくて、基本的には徐々に減っていきます。ユーザーさんが離れていくきっかけにもいろんな種類があります。たとえば、学生の頃はすごく遊んでいたけれど社会人になって時間が取れなくなったとか、新しく面白いゲームを見つけたからそちらに移ったとか。リリースから年数が浅いゲームだと、試しにしばらく遊んでみたけれどあまりハマらなかったという理由で離脱するユーザーさんもいますので、先が読みづらいことも正直ありますね。

そういう意味では、ユーザー空間が成熟しているタイトルは、ユーザーさんがその空間に何を求めているのかが明確になっていると感じます。



新興クラウドの活用でコスト8割カットも

───なるほど。では印象に残った2つめの案件について教えて下さい。

堀越氏:
『刻のイシュタリア』ですね。これは運営メンバーごと譲り受けたタイトルで、今年で6周年という長寿タイトルでもあります。日本版と北米版があり、北米版を提供していたクラウドサービスが終了してしまうことが一連の移設の起点でした。ゲームサーバーをどこかに引っ越さないといけなかったのですが、気付いた時には1か月以内に移設を完了させないといけない事態になっていました。そこでビヨンドさんにお願いして強行スケジュールで移設したという(笑)

───北米版の緊急移設も岡崎さんが?

岡崎氏:
はい、自分が担当しました。1か月しかなかったんですね、あまり短かったという印象はありませんでした(笑)

堀越氏:
結局クラウドベンダーに交渉して少しだけ終了期限を伸ばしてもらったんですよ。

岡崎氏:
なるほど。北米版は一旦AWSに移設したのでしたね。


───北米版をAWSに移設した後、今度はもともとAWSだった日本版をOracleに移設したと?

堀越氏:
はい。日本版は当時リリースされたばかりのOracle Cloudに移設し、その後北米版もOracleに再移設しています。というのも、日本版移設でのコスト削減効果が凄まじかったのです。社内でも歴代1位くらいの効果をあげ、移設前に比べてコストの約80%カットを達成しました。Oracleさんとしても驚きの結果だったようで、営業資料に取り上げてもらいました。これだけ効果があるなら、ということで北米版も再移設に踏み切りました。

岡崎氏:
北米版の移設も自分が担当しました。去年の年末あたりで、比較的最近の案件ですね。その時ちょうど自分の中でマイブームが来ていたAnsibleという自動化構成ツールの定義ファイルが残っていて、比較的楽に移設をすることができました。この案件ではそもそもOracleがクラウドを出したことにまず衝撃を受けましたね。リリース直後ということでAWSやAlibabaに比べると機能面では物足りない部分もありましたが、インスタンスのスペックやディスクの性能が良く、魅力的な部分が多かったです。

堀越氏:
OracleはIT全般ではビッグネームですがゲーム産業ではあまりシェアもないですし、「ゲームで使って良いですか?」と問い合わせたら先方も相当驚いたみたいで。Oracle側としても新しい分野への試みだったようで、サポートなど非常に積極的に動いていただきました。タイミングが良かったかなという感想です。

岡崎氏:
考えてみれば当たり前ではあるんですけど、北米版は向こうのタイムゾーンにシステム時計を合わせてくれという要望があり新鮮な驚きがありましたね。

堀越氏:
サマータイムに変わる時に毎年メンテナンスが必要だったりしますしね。

岡崎氏:
ピークタイムも全然違いますし、勝手が違います。

堀越氏:
ビヨンドさんは24時間動いてくれていますので、そこは安心してお任せできます。北米のピークタイムは日本の深夜3時なのですがトラブルも迅速に対応していただけますので、安心感がありますね。

ビヨンドは現在カナダにも拠点を置き、24時間サポートをおこなっている



───それでは最後、3つめの案件について教えて下さい。

堀越氏:
『神式一閃 カムライトライブ』(以下、カムトラ)というタイトルですね。今年で3周年を迎える比較的若いゲームではありますが、世界観が非常にしっかりと固まっているという印象のゲームです。移管してきた時はAWSだったのですが、この時個人的に注目していたのがTencent Cloudでした。もともとは別件で「日本のゲームをローカライズして中国でリリース、もしくは中国のゲームを日本でリリースしませんか」というお話をテンセントさんからいただいていました。そちらはお断りしたのですが「今後日本のタイトルを中国リリースする時はぜひテンセントのクラウドで!」という話もいただきました。「テンセントにもクラウドサービスがあるんですね」と聞いたら「そろそろ日本でも出ますよ」と言われ、そちらは興味があるなと(笑)

Tencent Cloudは完全にゲーム特化のクラウドサービスです。日本で最初のリリースは中国のゲームを日本語にローカライズしたもので、中国でもTencent Cloudで動いていたものを持ってきたという話を聞きました。なので、一からTencent Cloudの日本リージョンに移設/構築されたゲームとしては『カムトラ』が第一号となるそうです。

岡崎氏:
個人的には『未来家系図 つぐme』(以下、つぐme)も印象に残った案件です。


堀越氏:
『つぐme』はいわゆる箱庭系のゲームです。ゲーム内に街を作り、キャラクターたちとお金を稼いだり結婚したりして一族を繁栄させます。このタイトルだと、長時間メンテナンスをするとユーザーさんから「うちの子が結婚適齢期を過ぎてお嫁にいけない」といった切実なお問合せが届きます。ゲームがそのユーザーさんにとって本当に大切な日常の一部なのだなということを実感しますね。

岡崎氏:
『つぐme』の案件は最初、特定のOS上で特定のデータベースを動かす時はある設定を入れないといけないとか、ちゃんとメモリにデータが乗っていないとめちゃくちゃ遅いなどの問題があって、サーバー台数の増減も結構大変でした。

堀越氏:
マネージドサービスといって、データベースの管理などをクラウドサービス側が最適化した状態で提供してくれるサービスがあり、ゲームではよく使われるのですが、移設するとなるとこのクラウドサービス側が担っている部分を自分たちで構築しなおす必要があります。『つぐme』はその部分が特に大変でした。


長生きさせるためにも、クラウドの最新事情を追う

───3つの案件はどれも新興クラウドへの移設案件ですが、新しいクラウドを常に探しているのですか?

堀越氏:
ゲーム運営で技術が占める領域は比較的煮詰まりやすい部分で、「これを使っておけばいいんだよね」のように固定概念化してしまうパターンが多いと考えています。クラウドに関しても最近は「とりあえずAWSで動かしておけばいいよね」となってしまいがちで、そうなると「サーバー費を考えるとこれ以上売り上げがないとゲームが存続できない」という売上の到達ラインが高く定まってしまいます。ただ、工夫次第ではその売上ラインに届かないゲームでもうまく調整して存続することはできるわけで、ゲームをプレイするユーザーさんのためにも努力を欠かさないようにしたいと心がけています。そのためにも、新しい技術動向のチェックは怠らないようにしています。

岡崎氏:
堀越さんからいただく案件のほぼすべてに知らないクラウドが関わっているといっても過言ではないです。移設元か移設先のどちらかが初めて触れるクラウドのパターンばかりですね。

中内氏:
マネージドサービスからの移設は、はじめは無理だと思っていましたし、そもそも挑戦する機会もないような案件を、お金をいただいて取り組むことが出来るという点では本当にありがたいですね。得難い経験になっています。そのおかげもあって、ビヨンドが取り扱えるクラウドの数は日本でも屈指の豊富さなのではないかなという自負があります。



マイネットとビヨンドの信頼関係

───そもそもビヨンドさんとはどのような縁でお仕事されるようになったのですか?

中内氏:
自分と堀越さんは前職からの付き合いです。

堀越氏:
はい。私は前職で縁あってビヨンドさんを紹介していただき一緒に仕事をした時に「ここはいいなあ」という感触がありました。そして転職した後もたまたま一緒に仕事をする機会が巡ってきたんですよね。

中内氏:
そうですね。実は堀越さんの前職ではSkype上でのやり取りしかなかったので、実際にお会いしたのはその時が初めてでした。そこで自分が「激安にするから1回ぜひ使ってくれ」と(笑)そこからのお付き合いになりますね。

堀越氏:
ゲームは24時間動いているものなので、サーバーの運用に関しては信頼できるところを常に探していました。前職から縁があったこともありビヨンドさんなら間違いなく信用できるだろうと。これが2018年末の話で、そこから継続的にお願いしています。社内の評判は非常に良いですし、何より私自身がすごく安心してお任せできるなと常日頃から感じています。

───最初に「いいなあ」と思った理由は何でしょうか?

堀越氏:
感覚的な話になるのですが、私が技術的な課題に直面した時に「こういう風に解決するだろうな」というアプローチがビヨンドさんとはすごく似ていると思いました。あるいはそれにかける時間や手間に対する肌感がすごく合っていたというか。ここの感覚がズレていると「これは軽く出来るよね」という気持ちでお願いしたものが重く受け止められて「数か月かかります」となるなど、お互いに不幸になってしまいます。そういう意味で空気感が一致していたことが良かったかなと。

岡崎氏:
そうですね、堀越さんからいただく課題や案件だと、もちろん難しいものもありますが、おおむねちょうどよくこなせる程度のものが多いので、非常に助かっています。堀越さん以外のマイネットメンバーさんからいただく課題に関しても、ビヨンド側から提示する手法と堀越さんが提示される手法のギャップが少ないため進めやすいですね。

堀越氏:
「せーの」で提示した解決手法が、たまたま同じだったということはよくありますよね。

中内氏:
ビヨンドに24時間365日の保守をお願いされる方は、サーバーのことをまったく分からないか、サーバーのことは分かっているが常時対応は内製しない選択をされているかのどちらかなんですよね。堀越さんは後者で、サーバーに関して豊富な知識がありますし、プログラムも分かる。あと自分たちは3交代で24時間保守しているのに、アラートが鳴ると堀越さんは何時だろうが出てこられるので時々びっくりします(笑)

岡崎氏:
最近はこっちも負けじとすぐ反応しようとしています(笑)


中内氏:
社内でもマイネットさんの案件に携わっている人間はどんどんエンジニアとしてレベルアップしていると思います。

36タイトルを運営するための工夫や移設スケジュール

───ビヨンドさんにはゲームタイトルごとに依頼されているのですか?

堀越氏:
そうですね。会社の方針でゲームタイトルごとにプロジェクトチームとして独立していて、社内ではよく「それぞれが独立した小さい会社」などと表現されています。それぞれにプロデューサーがいて、ディレクター、企画、技術、クリエイターがいて……といった形です。ビヨンドさんに依頼する時もその単位であるタイトルごとに相談しています。

───複数タイトルを同一サーバーでまとめて運用する方法は取られていないんですね。

堀越氏:
マイネットに移管されてきた時にすでにそういう状態(複数タイトル同居)であった、ということはあります。ただ、今ある36タイトルは基本的にはそれぞれが違う会社様からお譲りいただいたものになりますので、大体の場合は別々の環境で稼働しています。

───ビヨンドさんに依頼されるタイトルの選定基準などはありますか?

堀越氏:
運用保守業務はいくつかの会社さんに分担してお願いしてはいますが、新しく移管されるものはビヨンドさんの比率が高くなっていますね。比較的大きいタイトルをお願いすることが多いと思います。やはりそのあたりは安心感から来ています。

中内氏:
マイネットさんからの依頼は最初に私のところに来ています。「年間でこれくらい移設しようと思います」という見積もりをいただいていて、ビヨンド側、特に岡崎の手が空いているタイミングを見計らって堀越さんから依頼をいただくという感じですね。Chatworkでタイトルごとにグループを作っているので、そこにビヨンドのメンバーと堀越さんと、マイネットさん側のメンバーさんなどが入っています。


───マイネットさんが、36ものタイトルを同時に運営するにあたっての工夫や秘訣はありますか?

堀越氏:
それぞれのゲームは独立したプロジェクトとして動いていますが、各ゲームで得られた知見や、イラストなどの資産をシェアリングし活用するように仕組み化しています。また、インフラ面ではランニングコストがかさまないように、スマート化と安定稼働を特に意識していますね。ここでもビヨンドさんには助けられています。

───移設スケジュールはどのような流れですか。

岡崎氏:
まずは納期が決まり、そこから大まかなスケジュール合わせをしていきます。大体移設元の調査に1~2週間、移籍先の構築に1週間、データ移設に1週間、検証期間に3週間ほど取って、そこから移設の日程を決めます。実際に移設するまでおよそ合計2~3か月くらいかかります。

中内氏:
それほどドキュメント化を求められず、Chatwork上のやり取りでほとんど完結できるのが自分たちとしてはありがたいですね。また、新しいタイトルだとマイネットさん側のプランナーさんやエンジニアさんとはほぼ毎回初対面なので、結構気を遣うのですが、毎回堀越さんが間に入ってくれるので本当に助かっています。

堀越氏:
スケジュールに関しては、サーバー移設は納期厳守の新規リリースとは異なるので比較的余裕を持たせて組むようにしていますね。安全第一ですので。

ユーザーさん同士の繋がりを守るために

───ちなみに、マイネットさんがゲームサービス事業に注力するのはどのような理由からなのでしょう?

堀越氏:
ゲームというのは一人で遊ぶだけのものではなく、ユーザーさん同士が繋がりあえるコミュニティ空間だと思うんですね。あるタイトルでは「学生時代に友達と一緒に始めて、今はお互い社会人になってしまって会うこともないけれどゲーム内では毎日ギルドバトルしている」といった嬉しいご意見をいただいたこともあります。そういう貴重な空間がサービス終了で消えてしまうのは非常に悲しいことです。もちろん売り切りのゲームでしたらユーザーさんの手元に残って遊び続けることもできますが、ネットワークを介さない以上他のユーザーさんと繋がることは難しい。しかしネットワーク上のゲームですと開発側にサーバーの保守や運用といった継続コストがどうしてもかかってしまいます。こうしたジレンマが存在する中で、ネットワークでユーザー同士が繋がれる貴重なゲーム空間をなるべく長く存続できるように、出来る限りのことをするのがゲームサービス事業の目指すことです。

私たちはエンディング(マイネットにおけるサービス終了の呼称)をとても重く捉えています。「タイトルのエンディングとは馴染みの喫茶店が閉店するようなものだ」と弊社代表がよく言っています。なくなっても思い出は残りますが、それでもその空間を介して出会えた人たちと疎遠になってしまったりするのは、現代のサービス型ゲーム特有の悲しい特徴だと思います。一般的にどのプラットフォームでも10年以上運営が続いているタイトルはかなり貴重だと思いますが、マイネットではその空間を長命化する目標を『10年空間』というコンセプトで呼んでいます。もちろん上手くいくタイトルもそうでないタイトルもありますが、ひとつひとつのタイトルが長くワクワク遊べるように全力を尽くしていくことが私たちの目標となっています。


───改めて今後の抱負について、メッセージをお願いします。

堀越氏:
新しい技術への挑戦を続け、より良い方法を見つけて、よりゲームを長く運用できる方法を技術面から模索し続けることがマイネットの技術部門の役割だと思っています。ゲームがマイネットに移管されることでユーザーさんに「助かった」「これで長く遊べる」と思っていただけるようになったら嬉しいですね。なかなか大変なミッションではあるのですが、少しずつユーザーさんからも評価していただけるようになってきたと思います。今後もゲームを救ってくれる会社だというイメージを持っていただけるよう、引き続き頑張ってまいります。

中内氏:
ビヨンドの企業理念は「共に創り支え続ける」です。特に運営型ゲームに関しては作って終わりではないですから。我々は24時間365日、どの時間もエンジニアを配置して頑張っていますので、裏からコンテンツやサービスを長続きさせる一助になれればなと思っております。

───マイネットさんとビヨンドさんの、今後のご活躍を楽しみにしております。本日はありがとうございました。


ビヨンドへの問い合わせは、こちらから可能。興味の湧いた方は、ぜひ資料請求をしてみてほしい。
https://beyondjapan.com/contact/

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