EAにBAN処分された『FIFA 20』元プロプレイヤー、EAの提案どおりにアカウントを作り直すもふたたびBANされる

 

Electronic Artsのサッカーゲーム『FIFA』シリーズの元プロプレイヤーKurt0411ことKurt Fenech氏のEAアカウントが、EAによってBAN処分されたことを先月弊誌にて伝えた。EAアカウントがBANされると、同社のオンラインサービスが一切利用できなくなるが、新しいアカウントを作れば話は別。しかしFenech氏に対してEAは、そうした“抜け道”すら許さない構えのようだ。

EAは2月25日、Fenech氏が『FIFA 20』のゲームプレイ配信中やSNSに、EAスタッフやほかのプロプレイヤーに対する暴言や脅迫を投稿し、これがEAアカウントのユーザー契約に基づく行動規範に違反しているとしてBAN処分にすると発表した。特定の個人のアカウントについて、このような声明が発表されるのは異例だが、Fenech氏はTwitchやYouTubeにて多数のフォロワーを持つインフルエンサーであり、また『FIFA』シリーズのプロシーンにて活躍してきた選手だったことが背景にあるのかもしれない。また、昨年にはEAの公式大会からの永久排除処分も受けている(関連記事)。

Fenech氏は、もともと歯に衣着せぬ物言いや乱暴な言葉遣いで知られ、それが同氏の人気にも繋がっている側面がある。配信中は第一言語ではない英語を話していることも関係しているのかもしれないが、今回の処分については、ゲーム展開にイライラしていた中での感情を表現したものであるとし、また発言内容についてはあくまで個人の意見であるなどとして不服を示していた。

とはいえ、長年プレイし続けてきた『FIFA』シリーズは、さまざまな面で不満はあれど辞めるつもりはなかったようだ。そして同氏は、新たなアカウントを作りプレイを再開。しかし、そのアカウントもまたBANされてしまったという。

*EAはTwitchに対して、Fenech氏のこの動画は著作権違反であると申し立てている。その影響からか、映像の最後の部分が唐突に切れている。

EAアカウントがBANされても、オフラインのキャリアモードなどはプレイ可能。しかし、Fenech氏はあくまでオンラインプレイにこだわり、新たなゲーマータグ(Xbox One版)にてEAアカウントを作り直して『FIFA 20』をプレイしていた。ところが、そのアカウントもBANされてしまい、また別のアカウントを作って再挑戦しているのが上の映像である。

前回はアカウント名が配信映像に映り込んでしまったため、EAにバレてしまいBANされたと考えた同氏。今度はインサート画像でアカウント名を隠すという対策を講じるも、挿入するタイミングが遅れて結局この新アカウントも晒してしまっている。その後、このアカウントもBAN処分となったかどうかは不明である。

このように、処分を回避するためにアカウントを作り直す行為について、本稿冒頭では抜け道と表現したが、実際にはEAが勧めていることではある。先の映像では、Fenech氏はBANされたアカウントの警告表示も示しており、そこには規約違反によりアカウントが永久にブロックされていることを伝えると同時に、プレイを続けたいなら新たなアカウントを作成する必要があると明記されているのだ。

つまりBAN処分を受けたとしても、アカウントを作り直せばオンラインプレイが可能であるとEA自身が認めていると受け取れる。であるにも関わらずFenech氏の場合は、配信映像をチェックされているのか、BAN処分が繰り返されている状況だ。先に述べたように、同氏の処分については異例の発表がおこなわれている。EAは通常の事案とは区別し、アカウント単位ではなく個人に対する処分として対応を続け、Fenech氏のEAタイトルにおけるオンライン環境への復帰を認めない姿勢のようだ。

こうしたEAの強硬な姿勢、またゲーム内でのメッセージとは矛盾した対応には、Fenech氏のSNSの投稿への返信にて疑問や批判の声が多く聞かれる。一方のFenech氏は、EAが“提案”したとおりアカウントを作り直した『FIFA 20』の実況配信では、過去最高の同時視聴者数を記録したとファンに報告。そして、そのアカウントをBAN処分にした同社の度量の狭さは別次元であると揶揄している。ただ、直近の配信では「Final Fifa Stream?」ともコメントしており、EAといたちごっこをしてまで配信を続けるのかどうか、揺れる気持ちがあるのかもしれない。