EAのCEO「XboxではウチがNo.1パブリッシャー」と自信たっぷり発言。Activision Blizzard買収成否はそこまで気にせず

 

Electronic Artsは5月9日、現地時間3月31日におこなわれた同社の2023会計年度第4四半期決算説明会の資料を公開した。同説明会における質疑応答では、マイクロソフトによるActivision Blizzard買収方針についても言及され、EAのCEOによる“自信たっぷりの発言”が飛び出した。

マイクロソフトは昨年1月、Activision Blizzardを総額687億ドル(約9兆4554億円・現在のレート)で買収する方針を発表。その後、反トラスト法(独占禁止法)違反の恐れがないかなどについて各国・地域の規制当局による審査がおこなわれ、日本を含むいくつかの当局はすでに承認済み。一方で、欧米の主要市場においては審査が続いており、先日にはそのひとつであるイギリスでの審査結果が報告され、同国CMAは同買収を承認しないと結論付けた(関連記事)。


EAの2023会計年度第4四半期決算説明会においては、CEOのAndrew Wilson氏らが同期の業績について振り返っている。同氏は2023会計年度にて『EA SPORTS FIFA 23』(以下、FIFA 23)がシリーズ史上もっとも好調な売れ行きを見せた点に言及。また第4四半期には『Apex Legends』でシーズン16が開幕し、エンゲージメントが前シーズンと比べて最大20%以上増加するパフォーマンス回復を見せたという。また同氏は『ザ・シムズ4』の世界的な人気について言及したほか、『Star Wars ジェダイ:サバイバー』についても初動の売れ行きが好調であった点などに触れている。

そうした説明に続きCFO(Chief Financial Officer)のChris Suh氏が、EAのもつIPやライブサービス型タイトルのビジネスモデルがもつ強みを強調。不安定な市場において、めざましい業績で第4四半期を終えられたと説明した。同期の純収益としては、前年同期比3%増の19億ドル(約2550億円)になったとのこと。

その後の質疑応答のなかで、「買収・合併などがEAや業界に与える影響」について訊く質問者が現れた。この質問に対してはWilson氏が返答。同氏は合併・買収に関する質問については「ほとんど答えることができない」としつつも、マイクロソフトのActivision Blizzard買収に関して言及するかたちで回答をおこなっている。


Wilson氏は、マイクロソフトとActivision Blizzardが今後どうなるかはわからないものの、買収が成立するか否かはEAにとって大きな問題にならないと考えているそうだ。同氏は、EAがもつネットワークやIP、従業員の才能を活かせば、同買収が成立してもしなくても、EAには市場で競争し続けられる規模があるとの見立てを述べている。またEAはマイクロソフトの「最大のパートナー」であるとコメント。同社プラットフォームにおいて「No.1のパブリッシャー」であり、同買収が実現しようがしまいがそれは変わらないとの見解を語っている。投資家やアナリストたちに向け、自信たっぷりの発言をおこなったわけだ。

ではEAの勢いは実際のところどうなのだろうか。市場調査会社Ampere Analysisの調べによると、EAは2022年9月から2023年2月までの間、XboxおよびPSプラットフォームでのゲームの月間アクティブユーザー数がもっとも多いパブリッシャーであったという。Ampere Analysisの調査結果では、『フォートナイト』のEpic Games、『Call of Duty』のActivision Blizzardといった名だたるパブリッシャーを引き離し、月間アクティブユーザー数トップに君臨し続けていることが確認できる。

またAmpere Analysisの2月の調査結果においては、『FIFA 23』はXbox/PSプラットフォームにてプレイされるゲームの中でもっとも高いエンゲージメントを見せていたとのこと。同作に加えて『Apex Legends』や『ザ・シムズ4』といった人気の基本プレイ無料タイトルを複数擁していることも、EAの勢いを支えているのだろう。Wilson氏による「マイクロソフトのプラットフォームではEAがNo.1である」との発言にも裏付けがあるのかもしれない。


いずれにせよ今回の決算説明会においては、EAが第4四半期を好調な売上で終えたことが明かされている。なお同社の今後の見通しについても、先述のSuh氏により語られている。EAは引き続きライブサービス型タイトルやオンラインサービスを基盤にしつつ、7月には次世代のサッカーゲームと謳われる『EA SPORT FC』を展開予定。ビジネスのさらなる成長を見込んでいるそうだ。