EAが『FIFA』シリーズの著名プレイヤーのアカウントをBAN。暴言はNGと突きつけるもプレイヤーは反発

 

Electronic Artsは2月25日、公式Twitterアカウントを通じて声明を発表。同社のサッカーゲーム『FIFA』シリーズの著名プレイヤーKurt0411ことKurt Fenech氏のEAアカウントをBAN処分にしたことを明らかにした。これによって同氏は『FIFA』だけでなく、EAのオンラインサービス全般から締め出されることとなる。

Fenech氏は、『FIFA』シリーズのプロプレイヤーとして、FUTチャンピオンズカップなどの公式大会にて活躍してきた人物。またTwitchでは11万人以上、YouTubeでは8万人以上のフォロワーを持つ人気配信者でもあり、同シリーズのゲームプレイを配信している。自らを「史上最高のFIFAプレイヤー」と称する勝気な性格である一方、歯に衣着せぬ物言いや乱暴な言葉遣いでも知られ、こうしたキャラクターも同氏の人気に一役買っているようだ。

ただ、配信ではほかのプレイヤーに対してや、ゲーム内容への不満ついでに開発者に対して悪態をつくことも。EAからは、プロ選手が遵守すべき公式大会ルールに違反しているとたびたび警告され、昨年11月にはついに『FIFA 20』グローバルシリーズおよび将来のすべての公式大会から同氏を排除する処分が下された。

*EAロゴの入ったスカーフに唾を吐きかけながら怒りをぶちまけるFenech氏。公式大会からBANされたきっかけのひとつになったと見られている。

ちなみにこの当時には、同氏のファンと思われるグループがEAスタッフの個人SNSアカウントに対して多くの暴言を投げかける騒動に発展。さらには、スタッフのアカウントがハッキングされたのち削除される被害が発生している(Eurogamer)。

こうした“前科”がありながらも、Fenech氏は態度を改めることなく、EAスタッフやプロプレイヤーに対する暴言や脅迫を投稿。EAスタッフをネズミ呼ばわりし、絶滅させるべきだと発言したこともあるという。また配信の視聴者に向けては同様の行為をするよう煽ったと、今回同氏のEAアカウントをBANしたEAは説明する。こうした行為は、EAアカウントのユーザー契約に基づく行動規範に違反しているとのこと。EAアカウントを使用できないと、同社のオンラインサービス全般が利用不可となる。オフラインプレイについては不明だが、『FIFA』シリーズでの対戦を楽しむFenech氏にとって非常に重い処分だろう。

処分を受けたFenech氏は、自分が言うべきでないことを言った覚えはないと反論したうえで、「無能なスタッフを脅迫したという証拠を示してくれ」とEAに返信。さらに「俺が勝つことを恐れたから競技イベントから排除したんだろう。『FIFA』において2番目の配信者である俺が、奴らのゴールデンボーイを追い抜くことが怖いんだ」と述べる。そして、EAには金があるが自分には数があるとし、最終的には自身が勝利すると強気のコメントをしている。

また今回の処分に先立っては、EAはFenech氏が投稿した複数の動画について、著作権違反だとしてTwitchとYouTubeに申し立てて削除させている。これに対して同氏は、EAはこれらのアカウントまでも停止させる気でいるようだとし、こんな専制的は手法では何も止められないだろうと批判している。

https://twitter.com/JakeEXE09/status/1231300965845929984

*大会でのインタビューで「(『FIFA 20』は)やりがいがないし、誰でも勝てる。楽しんでる人なんていないよ」と語ったTekkz選手。率直すぎる意見に歓声が上がる一方、BANされると揶揄されることに。

『FIFA 20』あるいはシリーズの近作においては、バグなどへの不満を訴えるプレイヤーが絶えず、『FIFA 20』のローンチ直後には「#FixCareerMode」というハッシュタグが一部地域でトレンド入りするほどに。しかしEAの反応は鈍く、同シリーズが売り上げ面で大きな成功を収めるなか、コミュニティは軽視されているという批判の声が上がっていた。

Kurt Fenech氏の怒りの根底にはそうした問題が含まれていることから、処分を受けた同氏を支持する声は一定数存在する。一方で、プロ選手としてまたユーザーとしての規約を無視し続けている(とされる)行動にも批判があり、これはEAに対する賛否両論にも繋がっている。

*開発者側の視点としてインディースタジオVlambeerのRami Ismail氏は、インフルエンサーによる開発者への暴言は、そのコンテンツで利益を得ているという点においても許されるべきではないとし、EAの判断を支持。

一連の処分についてFenech氏は、著名YouTubeメディアDramaAlertの取材を受けており、これを通じて自身の主張を広く発信する考えのようだ。ただ、それによってEAが判断を改めるかどうかは未知数である。