『ボーダーランズ』映画版の監督は鬼才イーライ・ロスであると正式発表。脚本はドラマ「チェルノブイリ」のクレイグ・メイジン

 

Lionsgateは2月21日、『ボーダーランズ』の映画化作品の監督としてイーライ・ロス監督を起用したことを正式に発表した。『ボーダーランズ』の開発元であるGearbox SoftwareのCEO Randy Pitchford氏は、1日前の時点で発表ツイートを投稿していたが、フライング投稿だったのかすぐに削除。21日になってから改めて投稿を公開し直している。

『ボーダーランズ』の映画化は2015年に発表されたもので、Arad Productionsが製作を担当。Avi Arad氏、Ari Arad氏、Erik Feig氏がプロデューサーとして、Randy Pitchford氏およびTake-Two InteractiveのCEO Strauss Zelnick氏がエグゼクティブ・プロデューサーとしてプロジェクトに参加する。Avi Arad氏はMarvel Studiosの創設者であり、さまざまなスーパーヒーロー映画に携わってきた人物だ。また映画化プロジェクトの脚本は、エミー賞受賞脚本家のクレイグ・メイジン氏が担当することが判明している(Hollywood Reporter)。Take-TwoのIPをもとにした映画化は、2008年公開の「マックス・ペイン」以来となる。

イーライ・ロスは、「拷問ポルノ(Torture Porn)」とも評される強烈な暴力描写で有名な映画監督。初期作品の「キャビン・フィーバー」では、春休みに森小屋を借りて休暇を楽しむ大学生たちが、皮膚の急速なただれを症状とする奇病に襲われるという、ホラーの典型を借りつつも違った方向性の恐怖を体験させる内容でインパクトを残すことに。そして2005年の拷問ホラー「ホステル」シリーズで一躍有名となり、2013年には「食人族」をモチーフにした食人ホラー「グリーン・インフェルノ」を公開。注目ほしさに環境保護活動に取り組む浅はかな若者たちが、ジャングル奥部で食人族に捕まり地獄を見るという、作家性を感じ取れる内容となっていた。

ただ近年では他のジャンルにも挑戦し、より大衆向けの作品を手がけるようになっている。2016年公開のキアヌ・リーブス主演エロチックスリラー「ノック・ノック」、2018年公開のブルース・ウィリス主演アクション復讐劇「デス・ウィッシュ」。そして同年公開のファミリー映画「ルイスと不思議の時計」。「デス・ウィッシュ」は74年に公開されたチャールズ・ブロンソン主演の同名映画のリメイク、「ルイスと不思議の時計」は児童小説を原作とした作品であり、既存IPを活用した映画作りは経験済みである。なお俳優としては「イングロリアス・バスターズ」にてドニー・ドノウィッツ役を演じたほか、「ピラニア3D」「アイアン・フィスト」などにカメオ出演。イーライ・ロス監督というと、初期のゴア表現満載な作風の印象が強いかもしれないが、大衆・家族向けの映画も撮れることを実証している。活動の幅を広めつつある同監督は、はたして『ボーダーランズ』をどう調理するのだろうか。

なお今回の発表にあたりイーライ・ロス監督は、これ以上ない出来栄えの脚本、これ以上ない優れた製作陣・製作スタジオが揃っており、『ボーダーランズ』の世界に飛び込めることに興奮しているとコメント。Lionsgateとは長い付き合いであり、彼らと一緒に成長を遂げてきたように感じると述べたほか、彼の映画監督としてのキャリアはすべて、このようなスケールが大きい野心的なプロジェクトへと繋がっていたのだと、意気込んでいる。

脚本を担当するクレイグ・メイジン氏は、脚本部門を含むエミー賞10部門受賞作品となった「チェルノブイリ」で脚光を浴びた人物。チェルノブイリ原⼦⼒発電所4号炉で発生した原発事故を巡るさまざまな関係者たちの視点から語られる力作だ。シリアス路線ばかりではなく、パロディ映画「Scary Moive 3(最’狂’絶叫計画)」「Scary Movie 4(最終絶叫計画4)」や「ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える」「ハングオーバー!!! 最後の反省会」といったコメディ作品の脚本を手がけてきたほか、「パイレーツ・オブ・カリビアン」6作目の脚本家としても抜擢されている。

そんなメイジン氏とイーライ・ロス監督がタッグを組むという頼もしい製作陣営の『ボーダーランズ』映画化プロジェクト。さらなる情報は、今月開催予定のPAX Eastにて明かされる。日本時間2月28日午前4時30分からのパネルセッションでは、『ボーダーランズ3』のストーリーDLC第2弾の情報も公開される予定となっている。