『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』売上1000万本に迫る。EA全体業績としては、ライブサービスが売上全体の約半分

『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』売上1000万本に迫る。なお EA全体としては、こうしたゲーム本体の販売ではなく、ライブサービスから生じる収益が全体の約半分を占めている。

Electronic Arts(以下、EA)は1月30日、2020会計年度第3四半期(2019年10月~2019年12月)の決算を発表。あわせて投資家向けの収支報告をおこなった(Seeking Alpha)。売上高(非GAAPベースのNet Booking)は、前年同期比23%増の19億8000万ドル(約2160億円)。『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』の好調、そして『Apex Legends』『The Sims 4』『FIFA』シリーズといったライブサービス型タイトルの継続収益が成長を牽引し、アナリストたちの予測値を上回る決算結果を残した。

ライブサービスの売上が全体の約半分

ゲーム本体のダウンロード販売やライブサービス収益を含むデジタルセールス比率は、売上全体の77%。そのなかでもライブサービス収益は大半を占める

ライブサービス型タイトルのゲーム内課金やDLC販売が大きな収益源となっており、ゲーム本体購入を除く、ライブサービスから生じた売上だけで10億ドル近くに達している。『Apex Legends』が好調のほか、『Madden NFL 2020』が同シリーズの30年以上にわたる歴史において最高のパフォーマンスを叩き出しているという。ゲーム本体のデジタルダウンロード比率も高く、過去1年間におけるゲーム本体売上全体の49%を占めている。次期会計年度においても、引き続き『Apex Legends』や『FIFA』シリーズを筆頭としたライブサービス型タイトルがEAの成長を引っ張っていく見通しだ。

『バトルフィールド』新作は2021年4月~2022年3月

2022会計年度(2021年4月~2022年3月)には『バトルフィールド』新作のリリースが控えていると、CEOのAndrew Wilson氏は改めて強調している。EAは前回の第2四半期決算時、次世代コンソール機のプレイヤーベースが拡大するまでは、『バトルフィールド』の新作を出してもポテンシャルを発揮できないと説明していた(関連記事)。次世代コンソール機が浸透しているであろう2022会計年度に、期待の主力タイトルを投入するわけだ。

『The Sims 4』のユニークプレイヤー数が累計2000万人を突破したと報告されている。なお同作は2月のPlayStation Plusフリープレイ対象タイトル

『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』は1000万本ペース

2019年11月に発売され、評価・売上ともに好調であった『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』はEAの予測を大幅に上回ったと、COO兼CFOのBlake Jorgensen氏より伝えられている。EAの売上本数予測は、会計年度内600万~800万本であったが、第3四半期中にはその見積もりの最高値に達し、このままいけば会計年度内に約1000万本にまで伸びる見通しであるという。これは「シングルプレイのアクションゲーム」としては非常に優れた数値であると、偉業ぶりが強調されている。

ライブサービスを主軸とするEAとしては異例の結果。CEOのAndrew Wilson氏は、プレイヤーベースが増えるにつれて、プレイヤーがゲームを遊ぶ動機も多様化するため、それぞれのニーズを満たすような幅広いポートフォリオ作りが重要であると言及。『Star Wars』フランチャイズは特にファンベースが大きい。競技性のあるマルチプレイを好むプレイヤーが多いものの、『Star Wars』ユニバース内でひとりのキャラクターになりきる、ジェダイとして生きるシングルプレイの物語も、ファンに訴求し得ることが分かったと伝えている。今後も多彩なIPを活用し、幅広いプレイヤー層のニーズと動機に応えていくとのことで、ライブサービスにとらわれないゲーム作りにも期待できそうだ。

次期会計年度は14タイトルリリース予定

↑今期のリリース作品

Jorgensen氏は、次期会計年度(2020年4月~2021年3月)の展望について、今会計年度の約2倍となる14タイトルをリリースする予定であると語っている。そのうちスポーツ系は4タイトル。『FIFA』『Madden』シリーズ新作は決定済み。続いてEAの既存IPを使った4タイトルが発売されるという。Respawn Entertainmentが開発中のVRタイトル『Medal of Honor: Above and Beyond』(2020年発売予定)もこのカテゴリに当てはまりそうだ。残りはモバイル向けの2タイトルと、小規模デベロッパーからの4タイトルが次期会計年度のリリース予定に含まれている。EAはひとつのタイトルだけを頼りにするのではなく、ポートフォリオの多様化によるリスク軽減を目指している。ラインナップの充実化もその一環である。

Nintendo Switchに展開しても、サードパーティーのマーケットシェアは限られる

『FIFA 20』

なお、EAはかねてよりNintendo Switchへの参入には慎重姿勢を取っており、今期第1四半期の決算でも、Nintendo Switchに対するスタンスを語っていた(関連記事)。『FIFA』シリーズこそNintendo Switchに進出しているが、他タイトルの展開は少ない。その理由について、Nintendo Switchユーザーの大部分はPS4/Xbox One/PCも所有しており、EAがNintendo Switch以外のプラットフォームでリリースした場合、Nintendo Switchのヘビーユーザーであっても該当プラットフォームでEA作品を楽しんでくれるというデータがあると説明していた。そして今回Jorgensen氏は、Nintendo Switchのトップセラーは任天堂の内製タイトルが大半であることに言及。サードパーティーのマーケットシェアは限られているとコメントしている。ただし、今後Nintendo Switch向けにゲームを出さないわけではないとも述べられた。

『Apex Legends』中国およびモバイル展開に向けた準備も順調

『Apex Legends』

『Apex Legends』の中国およびモバイル展開に関しては、2019年5月にアナウンスされて以来、決算発表のたびに進捗が報告されている。現在は、現地パートナーとともに計画を進めており、グローバル市場向けのモバイル版『Apex Legends』開発にも協力してもらっているという。展開時期については、現時点では公表できないとのこと。

ただ、次期会計年度には『Apex Legends』を新たなプラットフォームに展開するとも伝えている。モバイル版、Nintendo Switch版、次世代コンソール版など、複数の可能性が考えられるだろう。なお『Apex Legends』シーズン4は2月4日開幕予定。当初新レジェンドとして紹介されたフォージは実装前に息を引き取り、レヴナントが新たなレジェンドとして発表されている(関連記事)。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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