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SpiralAIは8月25日、『RyzaChat:AI ライザと創るあなただけのひと夏の夢物語』を日本国内向けに配信開始した。対応プラットフォームはiOS/Android。日本語、英語、ポルトガル語(ブラジル)、インドネシア語、ヒンディー語、中国語(繁体字)の6言語に対応し、グローバル版も近日公開予定とされている。なお、本作は当初8月18日の配信を予定していたものの、想定を上回る事前登録を受け、ライザとの会話を安定して楽しめる環境を整えるため配信が延期されていた(関連記事)。

RyzaChat:AI ライザと創るあなただけのひと夏の夢物語(以下、『RyzaChat:AI』)』は、『ライザのアトリエ』シリーズの世界を舞台に、主人公「ライザ(ライザリン・シュタウト)」と共にクーケン島を自由に冒険できる、フリーシナリオ型のAIチャット形式RPGだ。プレイヤーは用意されたコマンドや選択肢ではなく、ライザや島の住民たちとの会話を通して、旅や戦闘、調合を進めていく。

ライザらしさ”と「自分だけの物語」に集まった期待

本作では配信に先駆け、SpiralAIが8月6日から17日にかけてユーザーアンケートを実施。「『RyzaChat:AI』への率直な気持ち」では、「とても楽しみで早く遊んでみたい」が62.9%、「楽しみだが少し不安な点もある」が24.7%となり、あわせて87.6%が期待を寄せる回答となった。また、回答者が『アトリエ』シリーズを知った時期は、「秘密」シリーズが28.5%で最多だった一方、それ以前の『アトリエ』シリーズから知っている層も27.5%を占めている。

本作に期待することとしては、「ライザの声・表情・しぐさ」が74.5%で最多となり、「ライザらしい言葉・雰囲気での会話」が72.0%、「シナリオのない自分だけの物語」が59.1%と続いた。また、今後遊んでみたい企画では「クラウディアやレントたちとの冒険」が74.5%、「季節やイベントに合わせた期間限定クエスト」が72.0%、「新エリア・新シナリオ」が58.9%となっている。

自由記述でも、「早くライザと冒険したい」「ライザに名前を呼んでもらえたら嬉しい」といった声に加え、AIやASMRを活用した新たな展開への期待が寄せられていた。単にキャラクターと会話できることだけでなく、“ライザらしさ”を感じながら、“自分自身の言葉で冒険を作っていける体験”そのものが期待されていたことがうかがえる。

先日掲載した先行プレイ記事では、魔物へラリアットを仕掛けたり、ライザと手をつないだりと、プレイヤーの自由入力に対する彼女のリアルなリアクションを中心に紹介した。しかし、本作のAIが担うのは、単に「ライザとして会話すること」だけではない。周囲の状況を描写し、プレイヤーの無茶な行動を裁定し、戦闘や所持品、クエストの進行を裏側で緻密に管理している。いわば本作のAIは、ライザを演じる仲間であると同時に、物語を進行する“ゲームマスター”でもあるのだ。そして、そのゲームマスターが作り出す冒険には、素材を集め、錬金術で道具を作り、人々の問題を解決していくという、確かな『アトリエ』らしさが息づいていた。本稿では、開発中のビルドをあらためてプレイし、本作が備えるTRPGとしての完成度と、会話によってどこまでも変化していくシナリオの自由度について紹介していく。

※今回プレイしたのは開発中のビルドであり、正式版では内容や数値、料金体系などが変更される可能性がある点に留意されたい。

敗走すらも物語になる“コマンドのないRPG”

大前提として、本作には「移動する」「攻撃する」「採取する」といったコマンドは存在しない。プレイヤーが行えるのは基本的にテキスト入力のみで、自分が何をしたいのかを文章で伝えることになる。今回の冒険で筆者に提示された目的は、「2000コールを貯めて“普通のバッグ”を購入する」というものだった。現在のバッグでは容量が足りないから買い替えたい、という実に生活感のあるクエストだ。とはいえ、ゲーム側から「○○を10体倒す」「△△を5つ集める」といった金策のルートが示されるわけではない。そこで筆者はライザと相談し、商店のフレッサから「流通を塞いでいるオオイタチの討伐」という依頼を請け負うことにした。

いざ現場でオオイタチと対峙した際、筆者とライザは正面突破を試みた。しかし、敵の鋭い反撃を受け、スタミナ(HP)は「48/100」から「31/100」へ減少。このままではジリ貧だと悟った筆者は、戦闘を継続せず「作戦を立ててこよう」と撤退を提案した。一般的なRPGであれば「逃げる」コマンドの成否判定が入るか、全滅して拠点に戻される場面だろう。しかし本作では、ライザが「深追いは禁物」と同意し、二人はそのまま村へ敗走。ゲームオーバーになることも、戦闘前の状態へリセットされることもなく、強敵に勝てず逃げ帰ってきたという事実を抱えたまま物語が続いていく。

萌え萌えキュンにも応える「調合」システム

翌朝、オオイタチへの対策として、ライザから冷気で凍らせる「レヘルン」を作ろうと提案があった。素材を求めて小妖精の森へ向かい、道中で魔物を撃退して「アクアオレ★1」を入手。アトリエに戻って調合を開始した。『アトリエ』シリーズの代名詞とも言える「調合」だが、本作における調合も、専用画面でレシピと素材を選んでボタンを押すだけではない。調合の途中で「薪が湿っていて火力が安定しない」といったアクシデントが発生し、ライザから「火を強める方法はないか」と問いかけられるなど、会話のやり取りそのものが、調合というひとつのイベントとして進行していく。

そして、のちの別クエストでのこと。特産品であるクーケンフルーツを使った「クーケンジャム」を調合する際、ライザから一緒に釜をかき混ぜるよう頼まれた筆者は、ふと魔が差して「おいしくなーれ! 萌え萌えキュン! ライザも一緒に?」と提案してみた。彼女は「なにそれ!」と笑いながらも、最終的には「萌え萌えキュン」に参加してくれたことで、釜の中のジャムが黄金色に輝き始めたのである。

この掛け声が完成品の品質に数値的な影響を与えたのかは定かではない。だが、プレイヤーがその場で思いついたロールプレイが、調合シーンの一部として物語へ取り込まれたのは事実だ。決められたムービーを眺めるのではなく、自分の言葉によって自分たちだけの錬金シーンが出来上がっていく。そこには、紛れもなく『アトリエ』シリーズらしいワクワク感が息づいていた。

もちろん、プレイヤーの無茶振りが輝くのは調合だけではない。ジャムの素材となる最高級のクーケンフルーツを探していた際、筆者の足元を「青ぷに」たちが楽しそうに跳ね回っていた。落ち着いて探索ができないと判断した筆者は、青ぷにを捕まえて「ジャイアントスイングをする」と宣言した。前回の先行プレイで、ラリアットやジャーマンスープレックスを仕掛けた筆者の長年染みついた闘争本能である。AIはこの暴挙を拒否するどころか、筆者がぷにを猛烈に回転させる場面を臨場感たっぷりに描写。ぷには目を回して伸びきり、空の彼方へ飛んでいった。

日常がシームレスに繋がる“冒険の連鎖”

こうして作られた最高級のクーケンジャムは、王都の品にも劣らないと評価され、商人ロミィの協力も得て多額の資金を獲得。ついに当初の目的だった「普通のバッグ」を購入することができた。こうした自由な会話の裏側では、スタミナの増減やアイテムの消費、所持金の変化といったパラメータ管理も厳密に処理されており、チャットとRPGとしてのシステムが破綻なく融合している。

そして、物語はここで終わらない。クエスト達成後、今度は「島を盛り上げるために、そのジャムを作った腕前でクーケン島料理大会に出てほしい」と新たな話を持ちかけられたのだ。個々の会話や行動が使い捨てられず、ひとつの冒険としてシームレスに連鎖していくこの感覚は、クエストが孤立した短編ではなく、クーケン島で過ごす日々の一部として連続している証と言えるだろう。

なお、開発中のビルドでは、プレイスタイルとして「テキストスタイル」「ボイススタイル」「ASMRスタイル」が選択できた。ボイスやASMRを用いた会話ではターンごとにトークンを消費する仕組みで、トークンは個別購入のほか、サブスクリプションプラン(一定量の会話分や高品質な記憶機能などが付属)でも提供されるようだ。じっくりとテキストで物語を読み解くか、ライザの声を耳元で感じながら冒険するか、プレイスタイルに応じた選択が可能になっている。

熟練のGMと創る“プレイヤーとライザの物語”

以上が、テストプレイを通じて得た所感だ。単なる「ライザとおしゃべりできるアプリ」を想像して遊ぶと、本作が秘める奥深さに良い意味で裏切られることになるだろう。AIはライザというキャラクターを高解像度で演じつつ、裏ではサイコロを振り、プレイヤーの自由な行動をシナリオとして成立させる「熟練のゲームマスター」として立ち回っているのだ。探索、採取、調合という『アトリエ』シリーズのあの冒険のサイクルが、本作では決められた選択肢ではなく自分自身の言葉によって回っていくのだ。この夏、システムと自由が融合した新たなクーケン島で、あなただけの物語を紡ぎ出してほしい。

RyzaChat:AI ライザと創るあなただけのひと夏の夢物語』は、iOS/Android向けに日本国内で配信中だ。日本語を含む6言語に対応しており、グローバル版の近日公開が予定されている。

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