Global Sites
オンラインゲームのボイチャで「誰か殺したい」「FBIが来たら撃ってやる」と発言したプレイヤー、本当にFBIに逮捕される。リアルBAN
『フォートナイト』のボイスチャットにて繰り返し殺人願望を発言していたプレイヤーについての情報がFBIへ提供され、当該プレイヤーが逮捕・起訴されたことが明らかとなった。

Epic Gamesが『フォートナイト』のプレイヤーによるゲーム内での発言をFBIへ情報提供し、当該プレイヤーが逮捕・起訴されたことが明らかとなった。プレイヤーはボイスチャット上で「誰かを本当に殺したい」「FBIが家に来たら撃つ」といった趣旨の発言をしていたとされ、同社は発言内容に加えて音声データなどもFBIへ提出。その3日後となる9月23日、米国アラバマ州に住む29歳の男性が逮捕・起訴された。海外メディアAftermathなどが報じている。

逮捕されたのは、Edward Lee Frith氏だ。FBIが提出した宣誓供述書によると、Epic Gamesは9月20日、「WagesOfNinja」というユーザー名を使用する人物が同社プラットフォーム上でおこなった一連の発言について、FBIに「自発的な緊急情報開示(voluntary emergency disclosure)」をおこなった。
宣誓供述書によれば、Frith氏は「誰かを本当に殺したいから、怒りを全部吐き出している」といった趣旨の発言をしたほか、毎日、誰かを殺害することを考えているなどと発言したとされる。また、もし逮捕されることになれば警官を殺害し、その後に自ら命を絶つだろうとも口にしていたという。
そして一連の発言の中では、FBIについても言及。「FBIが俺の家まで来るか見てみよう。来たらあいつらも撃ってやる」といった趣旨の発言をしたとされている。ほかにも「いつか殺人者になる」「人を殺す」といった発言が記録されており、ゲーム内での単発の暴言ではなく、現実世界での殺人などに繰り返し言及していたことがうかがえる。

Epic GamesはFBIへの情報開示にあたり、「WagesOfNinja」に紐づくアカウント情報なども提供した。さらに同アカウントについて、アラバマ州に位置すると判定されるIPアドレスから1700回以上アクセスされていたことも明らかにしたという。FBIはそうした情報や外部のデータベースなどをもとに調査を進め、「WagesOfNinja」のアカウントを使用していた人物としてFrith氏を特定したとされる。
またEpic Gamesは、問題となった発言を収録した音声データもFBIに提供している。事件を担当したFBI捜査官は実際にその音声を確認し、宣誓供述書に記載された発言について、内容が適切かつ正確に文字起こしされていることを確認したとしている。

そうしてEpic GamesがFBIに情報を提供した翌9月21日、FBI捜査官はFrith氏に対する刑事告訴と逮捕状の発付を求める宣誓供述書を提出。そして9月23日、Frith氏は逮捕され、連邦法「18 U.S.C. §875(c)」に違反した罪で起訴された。同条文では、州間または国外との通信を通じて、他者を誘拐したり危害を加えたりするとの脅迫を送信する行為を禁じており、有罪となった場合には最大5年の拘禁刑が科される可能性がある。FBIについて「家に来たら撃つ」といった趣旨の発言をしたとされる同氏が、通報からわずか3日で本当にFBIにより逮捕されたかたちだ。
もっとも、Frith氏の有罪が確定したわけではない。同氏は翌9月24日に無罪を主張している。その後9月29日には、裁判まで矯正施設に収容するよう命じる拘禁命令が出されたといい、公判は12月に予定されているとのことだ。

ここで気になるのは、なぜゲーム内でおこなわれたボイスチャットの内容をEpic Gamesが把握し、音声そのものをFBIに提供できたのかという点だろう。『フォートナイト』には2023年より「音声通報」機能が実装されている(関連記事)。
同機能がオンになっている場合、ボイスチャットの直近約5分間がプレイヤーのゲーム機やPC上に一時的に記録される。新たな音声が記録されれば、5分以上前のデータは削除される仕組みで、通常の音声データがEpic Gamesのサーバーへ常時保存されているわけではない。そして参加者が音声通報を送信すると、直近約5分間の音声が通報内容とともにEpic Gamesへアップロードされ、モデレーターによる調査に利用される。
Epic Gamesによれば、音声には発言者を判別できるようデジタル署名が施される仕組みを採用しており、通報された音声がどのアカウントによるものなのかを確認できるという。一方で、音声通報がオンになっていても、参加者が実際に通報を送信しない限り、同社側からボイスチャットの音声へアクセスする手段はないとのことだ。つまり今回のFrith氏のボイスチャットにおける一連の発言を、ほかのプレイヤーが通報したことが逮捕のきっかけとなった可能性もあるだろう。

ちなみにEpic Gamesの音声通報システムでは、通報によって同社へ送信された音声データであっても原則として14日後、または処分期間の終了後のいずれか遅い時点で削除される。ただし法的義務を果たすために保持する必要がある場合には、法律上必要とされる期間にわたって保存される場合があるという。
オンラインゲームのボイスチャットをめぐっては、ゲーム内での発言が思わぬかたちで現実世界に波及することもある。過去には『ARC Raiders』のプレイヤーが「撃たれた」と助けを求めて叫んだ結果、周囲の人物が実際の事件と勘違いし、警察が駆けつける事態も報告されていた(関連記事)。
一方、今回Frith氏がおこなったとされる発言は、そうした行き違いとは性質が大きく異なる。ゲーム内のボイスチャットとはいえ、殺人願望などを繰り返し口にして通報され、わずか数日のうちに逮捕に至ったかたちだ。『フォートナイト』に限らずボイスチャットにおける暴言などは各社が対策を強化している。発言内容によってはアカウント停止だけでなく、今回のように警察機関に情報提供される可能性はあるだろう。通報・モデレーション機能などの整備も進むなかで、ゲーム内での問題発言を把握し、必要に応じて対応につなげる仕組みも整いつつあるといえそうだ。Frith氏は現在無罪を主張しており、今後の裁判でどのような判断が下されるのか注目したい。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。


