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2人協力プレイゲーム新作『オービタルズ Orbitals』先行プレイ感想。「会話」が重要になる、『It Takes Two』とも『スプリット・フィクション』とも違う協力プレイ体験
本稿では、『オービタルズ Orbitals』を実際に遊んで感じた本作の特徴や魅力を伝えていく。

『オービタルズ Orbitals』は、Shapefarmが開発し、Kepler Interactiveがパブリッシュを行うNintendo Switch 2専用タイトルである。本作はレトロアニメ風のSFを舞台にした2人協力型アドベンチャーで、ローカルの画面分割プレイに加え、Nintendo Switch 2ならではのおすそわけ通信によるオンライン協力プレイにも対応しているのが特徴だ。
今回AUTOMATONは、東京に拠点を置くShapefarm本社にて、ゲームディレクターのJakob Lundgren氏およびクリエイティブディレクターのMarcos Ramos氏から『オービタルズ Orbitals』についてのブリーフィングを受けた。その後先行プレイの機会もいただいたため、実際に遊んで感じた本作の特徴や魅力も合わせて伝えていきたい。
レトロアニメ×非対称協力プレイを目指した『オービタルズ Orbitals』
『オービタルズ Orbitals』の開発を手がけるShapefarmは、2010年に東京で設立されたゲーム開発スタジオだ。本社は東京に置きながら、ニュージーランドにも拠点を構え、世界各国にリモートで開発者を繋いだ分散型体制を取っており、外国人開発者が集まって生まれた国際色豊かな会社だ。これまでは他スタジオとの共同開発や受託業務を中心に手がけており、『サムライジャック:時空の戦い』や『NARUTO TO BORUTO シノビストライカー』など、アニメに縁深いタイトルに携わってきた。
今回自社初のオリジナルタイトルとして『オービタルズ Orbitals』を開発中。ブリーフィングはアートとシステムの両側面から紹介が行われたが、Jakob氏とMarcos氏は本作のジャンルになぞらえ、「2人で協力して説明していきます」と会場の笑いを誘っていた。
ストーリーの舞台は、人類が「宇宙嵐」に閉じ込められてから15年が経過した居住区。長らく外界と隔絶されていた世界にある日亀裂が生じ、主人公のマキとオムラは外の世界へと探索に赴き、物資を確保しながら居住区を支える旅に出ることになる。その過程は、いわば「少年ジャンプ」的な王道の冒険活劇を基調としており、成長や仲間との絆が物語の中心に据えられており、派閥間の対立や戦争といった構図には重きを置いていないと紹介。あくまでキャラクター同士の関係性や内面的な変化に焦点を当てている点も特徴だ。さらに共感しやすく愛着の湧く人物描写に加え、起承転結における「転」すなわち予想を裏切る展開を意識したストーリーの仕掛けも用意されているとのこと。

本作はジャンルをシンプルに説明すると2人協力アクションアドベンチャーだが、ゲームの軸は「レトロな80年代〜90年代のアニメスタイル」と「楽しい2人協力プレイ」だといえる。アートについては80〜90年代アニメへの強いオマージュとして、徹底的に当時のアニメを見て研究。一目見た瞬間に「ゲームではなくアニメの中にいるような感覚」を味わえるよう、ライティングや色彩などを細かく作り込んでおり、キャラクターが自由に動き回るだけで強い没入感が生まれる空間を目指したと説明された。
さらにゲームプレイの特徴は、「2人だからこそ成立する協力体験」を追求した点にあるという。2人のキャラクターは非対称な能力を持ち、お互いの能力を組み合わせなければ解決できないパズルやギミックが多数用意。単なる順番待ちのバトン式協力ゲームではなく、同時にタイミングを合わせて行動する必要がある仕組みが採用されており、プレイヤー同士のリアルタイムなコミュニケーションを自然に促す仕掛けが盛り沢山で、ゲーム内の協力だけでなく、ゲーム外における相方との会話や連携も重要な鍵となる。
また協力プレイの設計は『A Way Out』『It Takes Two』『スプリット・フィクション』といった同ジャンルの代表作に影響を受けており、Jakob氏自身が過去これらの作品に関わった経験を活かしているという。またターゲット層を広く想定しており、家族や子供・ゲーム初心者でも楽しめるように操作自体はシンプルに抑えているとコメント。反射神経や高度なゲームスキルよりも、コミュニケーションと仕組みの理解が中心となる設計で、初めてゲームに触れる人でも、相手と話し合いながら楽しめる体験を目指しているとの話があった。
フィールドを隅々まで巡り、会話が弾む宝箱のような体験
ブリーフィング後には、実際にチャプター1およびチャプター5を試遊することができた。序盤にあたるチャプター1では、本作の基本となる探索と協力ギミックが丁寧に提示される一方で、チャプター5ではより発展的な仕掛けや連携が求められ、ゲーム全体の手触りを幅広く体験できる構成だった。物語は居住区を守る「ストームウォール」を強化するために必要なリアクターカセットを求め、宇宙嵐に生じた亀裂の先にある世界へと足を踏み入れていく流れが描かれた。

まず強く印象に残ったのは、やはりビジュアル面の完成度の高さだ。事前にブリーフィングでレトロアニメを意識したと説明されていた通り、80〜90年代アニメを研究したルックは、プレイ中も一貫して維持されていた。特にSTUDIO MASSKETが手がける手描きのカットシーンと、プレイヤーが操作するゲームパートの背景にほぼ乖離がない点は驚きで、シームレスに“アニメの中を動いている”感覚が持続する。カメラワークやライティング、色彩の作り込みも含め、視覚的な没入感は本作の大きな魅力のひとつだろう。
一方でゲームプレイの核となる協力要素も、一見アニメ風グラフィックの“オマケ”と思ってしまうかもしれないが、見た目の印象に負けない強度を備えていた。各ギミックは一見シンプルながら、攻略するには意思疎通とタイミングの共有が求められ、“流れに身を任せるだけでクリアできる”設計にはなっていない。ブリーフィングで話があったようにスクラップフック、リキッドランチャー、ビームキャノンといったツールを駆使した非対称かつ同時タイミングが中心だ。片方がビームを照射して周囲を照らしながら、もう片方がフックを活用して足場を移動させるような多段ギミックも登場するため、手に汗握るマルチタスクが要求された。
今回筆者は単身で試遊イベントに臨み、初対面のスタッフとペアを組む形となったが、だからこそ探り合いや関係構築にあたるリアルタイムの声かけが発生し、試行錯誤を重ねる過程そのものが濃密なコミュニケーションとなったのは興味深い。ゲーム内の操作と現実の会話が密接に結びつき、プレイ体験そのものが対話のきっかけになる設計は、本作が掲げる「2人で遊ぶ意義」を強く実感させるものだった。

『It Takes Two』『スプリット・フィクション』を友人とクリア済みの筆者が、特に興味深かったのはキャラクターごとに役割が固定されていない点だ。多くの協力型ゲームでは、キャラクターと能力が明確紐づけられており、それに応じた役割分担が軸となることが多い。そのため特定の操作に苦手意識を抱いた場合、ステージを戻すかキャラクターを交代するしかなく、ある種の没入感を損なう要因となっていた。しかし本作ではマキとオムラの双方がアイテムを選択できるため、プレイヤーはスタートからクリアまで一貫して同じキャラクターを使い続けながら、プレイスタイルを柔軟に調整することが可能だ。これによって操作の得手不得手に応じた試行錯誤や持ち替えもしやすく、ストーリーやキャラクターへの没入感・愛着を維持しやすい設計として機能していた。
そして、本作で特に印象深かったのが、操作に対するゲーム側の細やかな反応の数々だ。同じオブジェクトに触れても、マキとオムラではリアクションやアニメーションが異なり、ふたりの性格や関係性が自然と浮かび上がってくる。例えばストーリー進行とは直接関係のないパンチングマシンのようなミニゲーム的要素や、各キャラクターの自室に置かれた楽器(マキはドラム、オムラはキーボード)など、寄り道的なインタラクトが豊富に用意されていた。フィールドでオブジェクトに触れるたびに発見があり、舞台自体がキャラクターを語る“環境ストーリーテリング”として機能しているように感じられた。
今回の試遊で本作の全てを語ることはできないが、単にゴールを目指して効率よく進むタイプのゲームではなく、世界観をじっくり味わい尽くすことに価値が置かれている作品だと考えた。各所に散りばめられた演出の積み重ねは、探索するほどに新たな発見をもたらす“宝箱”のような体験を生み出している。だからこそゲームの進め方が似た気心の知れた相手と時間をかけてプレイして隅々まで世界を巡り、効率よりも共有体験を重視することで『オービタルズ Orbitals』の魅力は引き出されるだろう。
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