UE5専門集団が作るヒーローオープンワールド『UNDEFEATED: Genesis』、ツールも含め「ほぼUE5だけ」で開発。“チーム全員UE5使い”だから成り立つ現場を訊いた

UE5製ヒーローアクションゲーム『UNDEFEATED: Genesis』のゲームディレクターの篠原友磨氏と、ゲームプロデューサーの兵藤大瑚氏にインタビューを実施した。

コーラス・ワールドワイドはIndie-us Gamesと共同で、5月22日から24日にかけて「BitSummit PUNCH」に出展。このなかでは5タイトルが試遊出展されており、そのうち『UNDEFEATED: Genesis』については初公開となる新たなデモ版が展示されていた(関連記事)。弊誌は会場にて、本作のゲームディレクターの篠原友磨氏と、ゲームプロデューサーの兵藤大瑚氏にインタビューを実施した。

『UNDEFEATED: Genesis』は、高い評価を得たヒーローアクションゲーム『UNDEFEATED』の前日譚となる完全新作だ。開発はUnreal Engine専門の開発会社Indie-us Gamesが手がけている。本作の主人公アルバート・ハートリー(アル)は、見知らぬ惑星ヴォルティシアに突如転移してしまう。ヴォルティシアでは500年前に起きた「謎の爆発現象」によって文明が崩壊。生き残った生物の多くは凶暴なミュータントと化し、わずかに残された住人「エネルフ」の平穏な生活を脅かし続けていた。

アルはこの星に転移したことで超人的な力を獲得。広大な世界を自由に飛び回り、ミュータントをねじ伏せていくのだ。またアルは、ミュータントの討伐や探索で得られる素材を、取り込むことで新たな能力を発現する。獲得したスーパーパワーやアビリティで、探索や戦闘の幅を大きく広げていくことが可能だ。

「BitSummit PUNCH」では『UNDEFEATED: Genesis』の新たなデモ版が展示されており、チュートリアルを兼ねた10分程度の試遊が可能であった(試遊プレイ感想記事)。今回弊誌は試遊を踏まえて、本作のゲームディレクターの篠原友磨氏と、ゲームプロデューサーの兵藤大瑚氏にインタビューを実施した。前作『UNDEFEATED』は両氏を含む3人のチームがバンタンゲームアカデミーでの学生時代に手がけたゲームであり、『UNDEFEATED: Genesis』はそのうち2人が再結成して開発されている。Unreal Engine特化集団に加入しておこなうゲーム開発がどのように進められているのかを訊いた。

左:篠原友磨氏、右:兵藤大瑚氏

──お二方の自己紹介をお願いします。

篠原友磨氏(以下、篠原氏):
本作のゲームディレクターの篠原です。バンタンゲームアカデミー大阪校を卒業後はTango Gameworksで1年間ほどゲームデザイナーとして働いていました。『Hi-Fi RUSH』でもレベルデザインやゲームデザインを担当した部分があり、クレジットにスペシャルサンクスとして記名いただいています。

兵藤大瑚氏(以下、兵藤氏):
兵藤です。『UNDEFEATED: Genesis』は篠原がゲームディレクターとして手がけているので、僕はそれ以外全部を担当しています(笑)ゲームデザイナーでありプログラマーでありPMであり……といった風に篠原を応援する立場ですね。

僕もバンタンゲームアカデミーを卒業後は別の会社にいちど入ったのですが、Unreal Engine(以下、UE)が凄く好きだったので、UEを使える会社にいきたいなという思いがありました。学生時代の恩師でもあったIndie-us Gamesの中村社長(中村匡彦氏)に相談したところ、歓迎してくれて。

──篠原さんよりも先にIndie-us Gamesに入られたんですね。

兵藤氏:
そうですね。実は卒業後も篠原がずっとひとりでヒーローゲームを作っていることを共有してくれていて、中村社長に篠原もIndie-us Gamesに呼んで『UNDEFEATED』の次回作を作ってみてはどうかと提案したんです。そこから篠原がIndie-us Gamesに加入して、ビジネスとしてちゃんと風呂敷を広げて、チームを作って進めることになりまして。Epic MegaGrants(※)にも採択されて資金も受領したうえで、開発を進めている感じですね。中村社長は僕にとっても篠原にとっても学生時代からの恩師ですから、3人とも10年来の付き合いになります。

※Epic MegaGrantsはEpic Gamesによる開発者支援プログラム

──学生プロジェクトだった前作から打って変わって、『UNDEFEATED: Genesis』はゲーム会社でチーム開発されているわけですね。前作では実現できなかったような要素もあるのでしょうか?

篠原氏:
代表的なところはストーリー部分ですね。前作だと意味深なカットシーンがちょこちょことあるくらいだったのですが、『UNDEFEATED: Genesis』では声優さんを起用してカットシーンもちゃんと作っています。

兵藤氏:
あとは「破壊」ですね。前作でも街灯や車など一部破壊できるオブジェクトはあったんですが、ビルなどは壊せなくて。これは技術的にできなかったのもあるんですけど、コンセプト的にスーパーヒーローなので何でもかんでも壊していいものかという考えもありました。

ただ、圧倒的なスーパーパワーを表現するのにビルや地形の破壊は必須だと思っていて、『UNDEFEATED: Genesis』では「壊すことが褒められる世界」を作ろうと思い至りました。本作のヴォルティシアは文明が崩壊して復興活動の最中にあるので、ビルでもなんでも壊して、得た素材を人々に渡すと喜んでもらえるわけです。そういった世界観を構築して、なおかつ技術的にも破壊表現を実現できているのが学生の頃との大きな違いですね。

──たしかに、デモ版をプレイする限りでも破壊表現は目を惹きました。

篠原氏:
表現でいえば、環境表現にも学生の頃にできなかった技術が盛り込まれています。水の中に入ったり、水の上を飛んだときの波打つ表現だったり。

兵藤氏:
挙げ始めるといろいろありますが、バトル面も大きく変わりましたね。高速空中戦闘は技術的にもゲームデザイン的にもどうしても学生時代には難しくて。一応前作にもボス戦はありますしチャレンジはしたんですけど。

──学生時代からチームの規模はどれくらい変化しましたか?

兵藤氏:
チーム結成当初は5人くらいで1年間、7人くらいで2年間、今は13人のチームになりました。このチームでリリースまで進むかなと思います。マイルストーン区切りで増やしてはいるんですけど、とにかく人が足りない(笑)

篠原氏:
みんな楽しんで開発していますけど、本作はコンテンツ量にも気合をいれているので、それぞれタスク量が凄いことになっていますね(笑)

兵藤氏:
とはいえエネミーやキャラクターのモデルを中心に、篠原がディレクションするかたちで外注も活用しています。メインの開発は13名ほどですが、クレジットには60名ほど記名されることになるかなと。けっこう特殊な開発体制かもしれません。

──同じくUE5で開発されていた『Clair Obscur: Expedition 33』でもコアチームは30名ほどと小規模で外注が活用されていましたが、そうしたイメージでしょうか?

兵藤氏:
そうですね、近いと思います。

篠原氏:
僕らが学生だったころよりUE5が普及しているおかげで、大体どこの会社でも対応してくれるようになった恩恵を感じますね。

──UE専門を掲げるIndie-us Gamesさんの社内のノウハウも活用されているのでしょうか?

兵藤氏:
Indie-us Gamesでは受託開発を通してさまざまなノウハウが蓄積されているので心強いですね。もちろん他社の案件で作ったものをそのままは使えませんが、ノウハウを積んで自社開発にも活かせるし、別の外注案件にも活かせるといった良い循環が生まれていると思います。

あとIndie-us Gamesでは、UEの最新技術を勤務時間中にいろいろ試してもいいんです(笑)バージョンアップしたら即いろいろ試して、社内にチャットで共有して……という感じで。

──さすがUE特化企業ですね……『UNDEFEATED: Genesis』のチームがUEにおいて特に自信のある分野はあるのでしょうか?

兵藤氏:
あえて挙げるなら、私やチームはUEの中だけで大体何でも作れます。たとえばカットシーンのキャラクターやセリフもすべてExcelなどは使わずに扱っていて、UE内のツールを使ったり、場合によってはUE内の機能でツールを作ったりもしています。Excelで管理しているのは、ローカライズ用に外部委託するものなどだけですね。

チームについては13人全員がUEを触れるので、UE以外のツールを使う必要がまったくありません。これはイテレーションの高速化にも繋がっていて、データの入力・確認・不具合チェックなどがすべてUE内で済むんです。ほかに使うツールといえば、モデリング用のMayaとBlenderと、テクスチャー用のツールくらいですね。

篠原氏:
僕もアニメーションなども基本的に手付けで、UE内のプラグインや機能を使って作っています。エフェクト用のメッシュもUE内の機能を使って作っていますし、もし納品されたキャラクターモデルに細かい修正点があれば、UE内のモデリング機能で整えていますね。

エフェクトについては破壊表現にも活かされていて、モデルを動かすのではなくモデルとエフェクトを置き換えるような仕様にしています。物理演算で動かすこともできるんですが、物理挙動をしているように見えて実はエフェクトで、負荷も軽いという。破壊については個人開発時代から試行錯誤していた部分なのですが、最終的にかなり良い表現に仕上がっていると思います。

──UEのノウハウが、開発進行面とゲーム内容の双方に反映されているんですね。最後に、読者へのメッセージをいただけますでしょうか。

篠原氏:
めちゃくちゃ強い超人、いわば“スーパーマン”のような主人公のゲームって世の中ではまだ珍しいと思うのですが、『UNDEFEATED: Genesis』はそこに真っ向から挑戦しています。そういうゲームが遊びたい人はぜひ本作をプレイしてほしいです。

兵藤氏:
「空を飛ぶだけで楽しいゲーム」をずっと作り続けた3年間だったので、空を飛んでほぼ何でも破壊して回るだけで楽しいゲームに仕上がっていると思います。スーパーパワーを使って人々を救うというような子供の頃の夢を実現できるゲームなので、ぜひ期待していてください。

──ありがとうございました。

『UNDEFEATED: Genesis』はPS5/PC(Steam)向けに2027年初頭に発売予定だ。

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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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