2Dイラストに立体的アニメ加えるミドルウェア「Live2D Cubism」は、制作を効率化+よりクオリティアップに注力できるようにアプデ中、あとUE対応中。担当者に近況を訊いた

「Live2D Cubism」担当者に近況を訊いた。6月28日に大阪で実施されたGTMF 2024の会場にて、株式会社Live2Dのマーケティング担当の小関陸海にインタビューを実施している。

昨今、動くイラストはもはや珍しいものではなくなり、ゲームやVTuberによる配信など身近な幅広いコンテンツでキャラクターが表情豊かに表現されている。「Live2D Cubism」はそんな2Dのリアルタイム表現をダイナミックにする、ミドルウェアである。実際にツールに触れたことがなくとも、「Live2D」という単語に聞き覚えのある方は多いのではないだろうか。

また「Live2D Cubism」はコンスタントにアップデートが続けられており、表現の強化や効率が進められているのだという。今回弊誌では、6月28日に大阪で実施されたGTMF 2024の会場にて、株式会社Live2Dのマーケティング担当の小関陸海にインタビューを実施。Live2Dの進化について伺ってきたので、その内容をお届けしよう。

──まずは自己紹介と、改めて簡単に概要をお願いいたします。

小関睦海氏(以下、小関氏):
株式会社Live2DのマーケティンググループSDKライセンシングチームの小関と申します。Live2Dは、イラストをそのまま動かせる表現技術です。会社としては主に、実際にLive2Dを制作するソフトウェア「Live2D Cubism」の開発販売を行なっています。ゲームでは、アドベンチャーゲームやストーリーパートやアドベンチャーパートのあるソーシャルゲームで多くご利用いただいています。表情豊かに動いてくイラストは、Live2Dで作られているケースが多く、キャラクターの表情を重視するコンテンツで使っていただいている印象です。


AIの補助でクオリティアップが可能に

──Live2Dは広く知られているツールではあると思うのですが、近年ではどういった機能改善がおこなわれているのでしょうか。

小関氏:
最近では制作時間の短縮につながる機能開発をメインで行っています。具体的には直近の(本記事の公開の時点ではCubism5.1が公開済み)では、AIを使った顔の動き付けの自動生成を導入しました。顔の動き付けはおおまかには同じような動きになるので、ある程度パーツを分けた上で自動生成機能を使うと、ベースの動きをつけられるようになっています。

ベースの部分から先の、より顔の可動域を増やしたい場合などはクリエイターさんが制作する形になるのですが、基本的な範囲についてはAIが半自動的に動きをつけてくれます。このようにクリエイターさんの創造性を奪うのではなく、AIがベースの部分を自動化することで、よりクリエイティビティを発揮できるような形で進化しています。


──AIをクリエイティブそのものではなく、クリエイティブを活かす方向で使うわけですね。

小関氏:
はい、その方針です。Live2Dの製作上クオリティアップには直接関係ないけど、どうしても時間がかかってしまう制作工程を効率化することで、効率化によって余った時間でクオリティアップに繋げていただければと考えています。

また、効率化としては、先日素材分けを補助するPhotoshop向けプラグインのアルファ版もリリースしました。Live2Dでは動かすために原画からパーツ分けをおこなうのですが、パーツ分けに大変な工数がかかります。たとえば髪を分けるのであれば、まず周りの部分をすべて削って、足りない部分を書き足す必要があり、そこがLive2Dのありがちな悩みになっています。一方で素材分けの補助プラグイン使うと、一定の範囲を囲うことで塗り足しと切り分けを自動で行なってくれるので、大幅に工数が削減可能です。

ベースの顔の動き付け同様、プラグインによる自動化で制作効率を向上させることで、クリエイターさんがクオリティアップに注力してもらえることを目指しています。パーツ分けも重要な工程であるのですが、創造性を発揮する部分ではないので、より良い表現を実現するための作業に集中できる環境を整えていければと思っています。

──今後力を入れていきたいポイントなどあれば伺わせてください。

小関氏:
ゲーム向けの用途では、Unreal Engineへの対応を進めています。現状Unityには対応していて、ネイティブでコンソール向けも可能となっています。Unreal Engineを含めて幅広いゲームエンジン・プラットフォームに対応し間口が広がることで、より多くの方に使用していただけると嬉しいです。

──ありがとうございました。

Live2D Cubism」は、公式サイトにて販売中。42日間利用可能なトライアル版も公開中となっている。


[執筆・編集:Keiichi Yokoyama]
[聞き手・編集:Ayuo Kawase]

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