「ゲーム開発者はSteamユーザーからの不評レビューに、あえて返信すべき」との知見が注目集める。“返信しない方がいい”レビューもあるけど

ゲームデザイナー兼マーケティングコンサルタントのJoe Henson氏は、Steamレビューについて、いくつかの理由に基づき、「否定的なレビューにもあえて返信すべき」とする考え方を示した。

ゲームデザイナー兼マーケティングコンサルタントの、Indie Game JoeことJoe Henson氏は5月14日、Steamレビューに対する自身の考えを披露した。同氏によれば、否定的なユーザーレビューへの返信は積極的におこない、適切に対応すればメリットもあるとの見解を示している。

Joe Henson氏はDigital Cyber​​cherriesに在籍するゲームクリエイターだ。Henson氏は同スタジオが手がける『New Retro Arcade: Neon』などでマーケティングディレクターを務めたほか、『Don’t Scream』や『Paranormal Tales』にてデザイナーとして制作に携わっている。

Henson氏はSteamユーザーレビューにて寄せられる否定的なレビューに対し、どう対応すべきかを自身の職務経験に基づき、アドバイスを送っている。同氏はSteamでのレビューのやりとりが基本的にオンラインとなり、口調や表情がわからないことを前提としつつ、その場の勢いで対応するのではなく、建設的な批判に対応を集中すべきと前置き。まずは冷静に反応するように勧めている。

またプレイヤーは開発者と違い、そのゲームには初めて触れるため、思いもよらない意見も寄せられる可能性があると分析。一歩引いてフィードバックを客観的に見るように伝えている。

そしてHenson氏は架空のレビュー例を取り上げつつ、どう“建設的な返信”をすべきかの具体例を示している。対応例としては、不満や指摘が寄せられたときには、実際に当該要素を確認して、指摘に対してひとつずつ丁寧に返信。誤解があればそれを解き、全体として親切かつ有用な返信をするように勧めている。改善要望についても、有用なアイデアであれば素直に感謝するような返信を提案。一方で、詳細がわからない際には丁寧に聞き返すことや、仮にゲームデザインと合致しないようなアイデアだったとしても、相手がそれを望んでいること自体は理解を示すように勧めている。一方で、誹謗中傷まで達するようなレビューには時間を割く価値もないと一蹴し、返信しない方がよいレビューもあるとした。

Henson氏は意見の全体を通し、否定的なレビューに返信するのは、ユーザーに媚びるわけでも、誤解を与えたりするわけでも、ましてやレビューを改めさせるように求めるわけでもないと述べている。Henson氏によれば、レビューへの丁寧な対応は、あくまでゲームを一番よく理解している立場の人間として、レビュワーに別の視点を提供し、意見やゲームを捉えなおす手助けをするためだと位置づけている。

加えて、そうした丁寧な応対は別のメリットも生むと述べている。消費者からすると、自分自身の声を聞いてもらったことは、開発者に対する信頼に繋がるという。そうした信頼は、固定ファンの獲得にもつながりうる。反対に、プレイヤーが不快に感じるような返信をすれば、ユーザーを失い、ゲームに二度と興味を抱いてもらえなくなる可能性もある、そのためできるかぎり透明性が高く、丁寧な返信を心掛けるべき、と伝えている。Henson氏のこの意見は、4年前にReddit向けに投稿され、当時注目を集めたものであるが、今回改めてX向けに投稿され、再び話題となっているかたちだ。

なお、こうした立場を表明しているのはHenson氏だけでない。過去には、ベセスダのスタッフなども『Starfield』の不評レビューに積極的に対応していることで注目を集めていた(IGN)。積極的にユーザーとやりとりをおこなうことで、懸念の解決だけでなく、コミュニティとの繋がりをアピールしていく狙いもあるようだ。そのほかWorld’s Edge Studioでディレクターを務めるWill McCahill氏は、Steamの否定的なレビューにアップデートなどで対応しつつ返信をおこなった際には、そのうちの約12%が肯定的なレビューへの変更をおこなったという独自の調査結果を述べている(Substack)。Henson氏の方法論は実際に開発者によって一部で実践され、ゲームの評価の改善に一定の効果をあげているといえそうだ。

ちなみに、Valveが開発者向けに記したSteamの公式ドキュメント「ユーザーレビュー」のページでは、おおむねHenson氏と同様の方向性を示しつつも、すべてのレビューに返信すべきでないと伝えている。レビューに囚われ、製品への取り組みの妨げにならないよう注意喚起。さらに“公式”からのコメントが、コミュニティ内の議論においていかに大きな影響力を与えるかを考え、ユーザーとの口論を回避すべきとしている。積極的“すぎる”介入は、場合によってはユーザーを萎縮させかねず、また一方では開発者がレビューに振り回される危険性を説いているのだろう。

そのためレビューへの返信には一定のリスクがあることもうかがえる。とはいえ、業界事情を知るクリエイターよりあえて返信するメリットが改めて示されたかたち。Henson氏は否定的なレビューは誰にとっても辛いとして理解は示しつつ、そうした“痛み”にも向き合うことが、時として評判の獲得、そしてゲームそのものの改善につながることを示唆している。

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

記事本文: 1930