とあるリラックス系部屋づくりゲーム、発表後まもなく別のゲームの制作者から“盗作”との指摘を受ける。開発元は「影響受けすぎた」と謝罪

デベロッパーのhacktic氏は6月27日、リラックス系部屋づくりゲーム『Flora Corner』を発表。一方、別のゲームの開発者からは盗作であるとの主張が寄せられている。

デベロッパーのhacktic氏は6月27日、『Flora Corner』を発表し、Steamストアページを公開した。一方本作は、別の開発者Kenney氏により同氏の手がける『Make Room』にアートデザインなどが類似していることが指摘され同作の開発者Kenney氏も盗作であると主張。hacktic氏は“一線を超えるインスパイアだった”として謝罪し、アートデザインなどを変更することを表明している。

『Flora Corner』は、リラックスして遊べる放置系ゲーム(idle game)と標榜されている。プレイヤーはクォータービューの見下ろし型視点で表現された小さな部屋にて、観葉植物をお世話しながら育てていくという。成長を終えた観葉植物は売却することができ、収益で家具を購入して部屋を飾り付けられるそうだ。

なお開発を手がけるhacktic氏は過去に『Taking Root』をリリースしており、こちらも観葉植物を育てて売却し、部屋を飾り付けるという同様の仕組みの作品であった。『Flora Corner』はアートスタイルが一新された、類似のゲームサイクルの新作として打ち出されるようだ。


そんな本作について、公開された映像やスクリーンショットなどから別のゲーム『Make Room』の“盗作”ではないかとの意見が投じられ、波紋を広げている。『Make Room』は別のデベロッパーのKenney氏が開発中のゲームだ。Steamストアページが公開されており、デモ版が配信されている。同作はクォータービューの見下ろし型視点で、小さな部屋を飾り付けるゲームとのこと。さまざまな家具や小物を配置し、天気や環境音を変更して自分好みの空間をつくることができるという。なおKenney氏はゲームのアセット(3Dモデルなど)や開発者向けツールも手がけており、10万人以上のフォロワーを擁する人物だ。

『Flora Corner』と『Make Room』はいずれもリリース前の作品であり、『Flora Corner』の“盗作”疑惑も公開されている映像やスクリーンショットに基づく意見だ。また観葉植物育成ゲームと部屋飾り付けゲームという点で主なゲームサイクルは異なるとみられる。とはいえ、クォータービューの見下ろし型視点かつ丸みのある3Dモデルなど共通点も複数存在。また屋外の表現など、アートデザインも類似しているという意見もみられる。

『Flora Corner』
『Make Room』

そうした点からか『Make Room』の開発者Kenney氏は、『Flora Corner』は“盗作(copy)”であると主張。アートデザインのほか、サウンド面でも似ているとの意見を述べている。同氏は盗作によって創造の楽しみを奪われるとして、hacktic氏を批判。同氏に向けてはユーザーからも批判が寄せられ、先述の『Flora Corner』を発表するXポストには「『Make Room』の盗作である」といったコミュニティノートまで付けられる事態となった。


こうした反応を受けてhacktic氏のXアカウントは声明を投稿した。同氏は『Make Room』をパクる(rip off)つもりはなかったとしつつも、ユーザーの反応を見てインスピレーションの範ちゅうを超えていたことを認識したと説明し、Kenney氏への謝罪を伝えている。はっきりとは言及されていないものの、実際に『Make Room』を参考にした部分はあったのかもしれない。またhacktic氏は、UIや作品の全体的な方向性が『Make Room』と似ていることを理解しており、もっとも問題があるとみられるアートディレクションやビジュアルデザインを変更していくと表明している。


そうした謝罪をおこなった一方でhacktic氏は、Kenney氏に10万人のフォロワーを差し向けるのではなく、個人的な話し合いで解決してほしかったとの意見を述べている。また同氏は自身のDiscordサーバー上で、Steamには『Flora Corner』や『Make Room』以外にも類似の見た目のゲームが先例として存在するため、Kenney氏がジャンルの第一人者ではないと主張。たしかにクォータービューの部屋づくりゲームとしては、『My Dream Setup』など先発の類似作品も存在する(関連記事)。また、hacktic氏いわく、先行作品もあるため差別化として『Flora Corner』には植物の世話をする要素を取り入れたとのこと。 同氏としては、Kenney氏から盗作であるといった批判を受けた点やその指摘の仕方に納得のいかない部分もあるようだ。

いずれもリリース前のゲームながら、公開されている映像・スクリーンショットにおける類似点から盗作疑惑が生じた『Flora Corner』と『Make Room』。結果として『Flora Corner』では今後アートディレクションやビジュアルデザインが変更される見込みだ。Kenney氏やユーザーから問題視されたような、『Make Room』とよく似た部分は変更されるのだろう。アイデアやアートスタイルなどの、インスパイアと盗用の線引きの難しさも垣間見える。

【UPDATE 2024/7/2 13:25】
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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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