リリース直後から内輪揉め中の『Dragon Sword』、今度は訴訟沙汰に。“勝手にSteam版を出そうとした開発元”をパブリッシャーが提訴する泥沼状態

Webzenは発表の中で、HOUND13がSteamでリリース予定の『DragonSword : Awakening』は、正当なパブリッシング権を持たずに展開されているものだと主張している。

パブリッシャーのWebzenは4月21日、『Dragon Sword(드래곤소드)』の公式コミュニティにて、開発会社のHOUND13を訴訟したと発表した。Webzenは発表の中で、HOUND13がSteamでリリース予定の『DragonSword : Awakening』は、正当なパブリッシング権を持たずに展開されているものだと主張している。

『Dragon Sword』はPCおよびモバイルに対応した、アニメ調のオープンワールドアクションRPGだ。Unreal Engine 5を用いて描かれた広大なファンタジー世界を探索する作品で、コンボアクションを駆使した戦闘も特徴となっている。開発を手がけるのは、韓国に拠点を置くHOUND13。『Dragon Sword』は元々「Project D」として発表されていたタイトルで、2022年12月30日に正式発表(関連記事)。Webzenのパブリッシングのもと、2026年1月21日に韓国で正式サービスを開始した。

『Dragon Sword』

そんな同作を巡っては、サービス開始から約1か月後となる2月19日、HOUND13がWebzenとのパブリッシング契約を2月13日に解除したと発表。HOUND13は、Webzenが支払うべきミニマムギャランティ(契約の最低保証額)の残金が、HOUND13の財政状態の悪化や先行きの見えない開発状況を理由に未払いになっていたからだと説明していた。同社はWebzenとの契約上、3か月はサービスを継続しながら移管等を進め、自社パブリッシングへ切り替えるか、もしくは新たなパブリッシャーを探すかして同作のサービスを継続する姿勢を表明していた。

一方で、同日にWebzenが掲載した発表では、パブリッシング契約が解除されたとするHOUND13の発表は、同社への事前の合意なしに一方的におこなわれたと主張。消費者保護のため、同日時点でゲーム内の決済機能を停止し、サービス開始後から現在までにユーザーがおこなった課金を全額返金する対応方針を示していた。

Webzenによれば、2024年1月におよそ300億ウォン(約32億円)の投資をおこなって『Dragon Sword』の開発費を支援し、その後パブリッシング権を獲得。当時は2025年3月に開発完了すると見積もられたそうで、前述した投資額は、開発完了後1年間の運用コストなども加味して算出された金額とのこと。ただし、その後開発は難航し、HOUND13は資金難に陥ったという。ただ、本来正式サービス開始後に支払い予定であったミニマムギャランティを特例的に先に支給するなど、プロジェクト継続のための支援を継続していたそうだ。

『Dragon Sword』

そしてWebzenは今年3月3日にも声明を出し、HOUND13の契約解除通告は法的要件を満たさず、パブリッシング契約は依然として有効であるという立場を示している。なお、ゲームサービスに支障が発生しないように、2月27日付でミニマムギャランティの残金は全額支払ったとのこと。この支払い自体はHOUND13も認めているものの、本来指定日に支給されるべきであり、今回の入金で契約解除が自動的に回復されるわけではないと主張(GameMeca)。『Dragon Sword』のサービスがどのように再開・運営されるのか、見通しは立たないまま時間が経過した。

その後4月10日、HOUND13はSteamにて『DragonSword : Awakening』を発表。韓国にてサービスをおこなっていた『Dragon Sword』とは別に、HOUND13が自社パブリッシングをおこなう買い切り型のRPG作品としてグローバル配信されることが明かされた。

『DragonSword : Awakening』

これを受けてWebzenは声明を発表。HOUND13の独自パブリッシングは事前の合意なく独断的に進行されているものだと主張した。HOUND13は『Dragon Sword』の正当なパブリッシング権を持っておらず、被害の補償を進める中では、Steam版の展開はユーザー保護の観点で混乱を生じさせるものだとしている。そのため、パブリッシング権の効力を確認する関連訴訟とあわせて、『DragonSword : Awakening』の公開差し止めの仮処分を申請したとのこと。

現時点では訴訟を受けてのHOUND13側の声明は確認できていない。Webzenのパブリッシング契約が有効であるのかどうか、またHOUND13がSteam版を販売する正当な権利を有するのかどうかなど、双方の主張が食い違っていて不明瞭な点も多い。韓国サービスを継続する『Dragon Sword』と、Steamでの発売を控える『DragonSword : Awakening』。両作の動向や訴訟の行方は注目されるところだろう。

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Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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