国内のレーベルNOVECT(旧Novectacle)は11月22日、『ファタモルガーナの館(The House in Fata Morgana)』Steam版の販売数10万本突破を報告した。同作はコンソール版なども発売されているが、Steam版単体での10万本突破になるそうだ。
『ファタモルガーナの館』は、時代や場所の異なる悲劇を目撃して館の謎へ迫っていく、ヴィジュアルノベルゲームである。本作の主人公は、ある時気がつくと古ぼけた屋敷にいた。翡翠の目をした女中は主人公を旦那さまと呼ぶが、彼女のことはおろか自分自身についてすら思い出せない。そんな記憶喪失の主人公に対し、女中は屋敷で起こった数々の悲劇を見せるという。プレイヤーは主人公の視点から、時代や登場人物の異なる4つの悲劇を目撃。館の謎も交えつつ、悲劇と絶望の西洋浪漫サスペンスホラーが描かれていく。
本作は2012年末に開催されたコミックマーケット83にて初頒布された作品だ。その後移植が多数実施されており、3DS版やPS Vita版、Nintendo Switch版やPS4版なども登場。Steam版については、2016年5月にリリースされている。
また本作は発売後、プレイヤーから内容を高く評価されてきた。いずれも記事執筆時点となるが、美少女ゲームやADVを中心にプレイヤーの評価が集まるサイト「ErogameScape -エロゲー批評空間-」ではデータ数395件により中央値90/平均値87を記録。Steamのユーザーレビューでは、3397件中95%の好評を得てステータス「圧倒的に好評」を獲得。海外のレビュー集計サイトMetacriticでは、外伝なども収録したNintendo Switch版がメディアによるメタスコア96点、ユーザースコア8.6点となっている。なお記事執筆時点でSteam版の本作は、日本語のほか英語/ロシア語/中国語(簡体字)/フランス語/イタリア語/韓国語の7言語に対応している。
そんな本作Steam版の売上が、10万本を突破しているそうだ。パッケージ版やコンソール版、外伝作品なども含まない、Steam版本編単体での10万本突破になるという。2016年5月のリリースから、7年越しの10万本突破報告となる。一方で、本作Steam版は必ずしも順調ではなかったようだ。NOVECTの縹けいか氏による記事によると、売上が100本に届かない月も多くあり、Steam版の販売元であるMangaGamerへ申し訳ないと思っていた時期もあったそうだ。しかし、熱意ある口コミが徐々に広がり、ボランティアとして翻訳を手がけるユーザーによって対応言語が増え、海外でもコンソール版がリリースされるなど、現在では世界中で親しまれるタイトルに育ったとのこと。
また縹けいか氏は、作品への印象が本数に引きずられそうなために、売上本数の公開には消極的だったという。現実的な数字から切り離した幻想的な世界に、作品を存在させたい気持ちがあったとのことだ。しかし売上10万本は、開発者だけで到達できる数字ではないという。多数の翻訳者やパブリッシャー、口コミを広げてくれたプレイヤーなど、多くの人の力で達成できた数字であり、感謝すべき数字であると語る。そのため今回お祝いとして10万本突破が報告されたそうだ。なおNOVECTは新作として、「“M”(仮題)」を開発中だ。
『ファタモルガーナの館』はPC版に加えて、外伝なども収録したPS4/Nintendo Switch版なども発売中。Steamでは35%オフのセールが実施されており、11月29日までの期間1300円で購入できる。